新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

エキノコッカスのおさらいとリスコミ

2018-04-04 12:06:20 | エキノコッカス

3月末から愛知県知多半島で騒ぎになっているエキノコッカス。いくらかのおさらいとリスクコミュニケーションの伝えどころ。

  • 日本国内では北海道全域が本場。国境の向こうではアラスカ、ロシアなど。
  • 終宿主はキツネ・戌(キツネはイヌ科、親戚筋)で腸管内で成虫、2~4カ月生存。だから流行地域から離れた動物は6カ月経ったら大体OK。
  • 中間宿主はヒトやネズミ。肝臓内に幼虫が腫瘤形成。
  • ヒトでは経口感染して数年~10年ぐらい無症状。ある程度以上大きくなったら周辺の胆管や血管を圧迫して黄疸や肝機能障害などなど。自覚症状は腹痛や上腹部違和感など非特異的(だから何年も放置してしまう人もいる)。
  • 治療はオペで摘出。駆虫薬は戌やキツネに寄生した成虫には効くが、幼虫、肝腫瘤には×。薬はプラジカンテル(つまり、管理人アラシックスが学生時代に習ったのと変わらない)

一部(名古屋ローカル以外の)メディアも、なんだなんだと動き始めています。本日4日は東京FMの電話出演でお話、朝はFM岡山の定期出演でもネタに入れ込み。リスクコミュニケーション。動物に寄生してウンチでばらまかれる寄生虫の注意事項なら、(エキノコッカス自体はいなくても)管理人もスーダンやセネガルでさんざん手間をかけてきたところ、渡航医学にかかわる皆さまもお馴染みのところですね。

  • 野生動物のウンチに出てくるのだから、野生の植物、水、土壌が汚染される。
  • だから、ハイキングなど大自然を満喫してハッピーな気分になっても、せせらぎの川水をうまそうに飲むのはNG。
  • 野草をつんで食べるということが一時期はやったが(今でも根強い愛好家がいるが)、生ではNG。管理されていない野菜も右に同じ。
  • 特に流行地においては、ペットの犬や猫から目を離してはいけない。中間宿主のネズミを戌が食べて感染。どうせ野犬だろうと思い込んではいけない。札幌市の飼い犬からさえ報告あり。いまどきは航空機にペット積んで旅行も容易。これから北海道のシーズンに入ってゆくが、ペットを連れていってレンタカーで徘徊、草原を思い切り走り回らせても、目を離さない、洗う。逆に心配なら帰ってからでもペットクリニックに相談、駆虫薬はあり(人間には役に立たないが動物にはOK)。
  • ペット以外の動物を流行地で触るのはもってのほか。野生キツネは赤ちゃんだろうがダメ!ゼッタイ。 蔵王でキツネに触れる動物園があるが、ものすごく手間をかけてエキノコックス対策をしてある。定期的に餌に駆虫薬を入れるなど。それぐらい気を遣ってあるキツネじゃなきゃNG。
  • 手洗い!手洗い!手洗い!

愛知県HP
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenkotaisaku/0000071035.html

キツネを触れるのは、これぐらい至れり尽くせり対策してあるものだけ(蔵王キツネ村)そうじゃなけりゃNG
http://zao-fox-village.com/descriptions/echinococcosis


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