便利と退化

日常でコンピュータを使うようになって、今まで当たり前だった事ができなくなっている
ことに気づく。例えば漢字。ワープロを使うようになってから、「字は読めるのに書けな
い」。新聞や雑誌などに書かれている漢字を不自由なく読んでいる。しかし、ちょっとした
メモ書きなどを書こうとして、漢字が思い出せない事が多々あるのである。
ほとんどの場合は、大体こんな形だったのは思い出すんだけど、細かい部分が思い出せない。
酷いときには形すら思い出さない。で、メモ帳に平仮名で走り書き・・・

最近できないのは、電話番号の記憶。今から１５年ぐらい前は携帯電話を持っていないので、
ポケットに小さなアドレス帳が入っていた。その中には、知人や仕事関係の電話番号が
書かれていたのだが、自宅や会社はもちろん、よく合う友人達や仕事関係の電話番号だったら、
アドレス帳をみなくても２０人分ぐらいは記憶していた。
ところが今では、すっかり覚えていない。さすがに自宅と会社の電話番号ぐらいは覚えているが
家内の携帯や親友の電話番号は全く記憶にない。以前は、アドレス帳に書いて、さらに番号を
１つずつ押して電話をかけていたが、今では携帯電話のアドレス帳から相手を選択するだけで
電話がかかり、番号を目にする事が少なくなっているのも原因の１つだろう。

固い物を食べなくなって顎が退化し、
車が普及して体力が低下し、
テレビが普及して目が悪くなる。
以前に比べると、確かに便利な世の中になっているが、
何かが便利になると、その代償が負の遺産として回ってくる。