治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

五年前に「治る」という言葉を使った理由

2015-06-28 11:18:10 | 日記
前エントリで「人は皆生きている以上迷惑な存在である」という話を書きましたが
大地君の本が出たことも、神田橋先生の本が出たことも、ある種の人々にとっては迷惑なことだったでしょう。だから五年前にあの大騒ぎが起きたんだしね。

でも一方で助かった人もたくさんいる。
そういう意味で、人がどういう行動を起こそうと、眉をひそめる人はいる。それを計算済みで自分が正しいと思うことを実現していくだけです。

というわけで、先日ふうりんさんからいただいたコメントに答えていきましょう。

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ふうりんさんより:

『発達障害は治りますか』から5年。その後も自分で簡単にできることをどんどん教えてもらった花風本こそ私にとって頼りになる支援です。自分で状態をいい方にもっていけるという安心感は大きい。「様子をみましょう。なんかあったら来て下さい。」の医師なんかありがたがらない。医療がそういうものなら行かない。

花風社本がこんなに役に立つのは、相手の立場に立って考えに考えわかりやすく組み立てて、常にアンテナを張り、そもそもの問題点はどこかを押さえ…などなどを手間かけて練り上げた仕事だからだろうと普通はわかる。実践すれば納得するし、初めうまくいかなかったとしても自分を知ることに繋がる。身体から入ることで個人差があっても誰もができる方法を教えてくれるという、差別と真逆な本を出しているのに差別者呼ばわりする人。自分側はちょろっと流し読みしてとんちんかんなこと言ってるだけでも善意の批判者(自称)って認知が歪んでる。もしくは保身のために確信的にやってる小賢しい手。どっちにしろ5年もかけてやることじゃない。歪め続けたら自分が困ることになると思う。

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『自閉っ子、こういう風にできてます!』が生まれる数年前、自閉っ子たちとのおつきあいが始まったころから、その身体感覚の不便さに気づいてきて、これだけでもどうにかならないものか、という問題意識をつねに持ち続けてきた私。問題意識は出会いを連れてきてくれるので、次々と知見を持っている人たちに出会い、それを本にしてきました。それが差別者だといわれるのは、たぶん「治すなんて差別」という主張を持つひとたちがいるからでしょうね。でも私は治りたい人に向けて本を出しています。そして保護者支援者として「治すなんて差別」と主張する前に、本人たちの気持ちを慮ってみたらいいと思いますよ。いつまでも頭をがんがんとぶつけて自傷していたいのかどうか。「治ってますか? 発達障害」のテーマの一つがそれです。ご本人たちにとっていいのは治ることを拒否することなのでしょうかね?

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ふうりんさんより:

「治る」は言葉遊びを刺激するらしい。言葉の広がりやイメージ、受け手の取り方を考えて選んでるのに間違ってるの一点張り。寛解だったら何?知ってたら治るじゃないだろうと言わずにおれなかった?寛解でも体質アプローチで合ってるじゃんと思うけど。感心があるのは有効な方法なので。「二次障害」で言葉遊びをしたい人も。ヒクツどうしでも微妙にずれる気になるポイントで何を嫌がっているかがまる分かりだからやめた方がいい。人の勝手とはいえ仕事にかかわることで言葉遊びして評判落とすなんてようやるわ。支援者を名乗りながら他人事な言動をする人に近づかない権利はある。私は人間関係の基礎として信頼を大切にしたい。親子でも信頼には行動が大事。ぺらっぺらの批評や安っぽい感傷では信頼できないし、気休めやその場しのぎや評論家気取りのアドバイスは支援になってない。
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ふうりんさんのおっしゃるとおりだなあ、と思いましたたとえ「治る」ではなく「寛解」だとしても、身体アプローチはよさそうですね。そしてたしかに、「治る」とか「二次障害」という言葉のどこにこだわるかで、その人が何を嫌がっているかがまるわかりになるのです。支援者としてのスタンスがまるわかりになるのです。

私はウィンドウズもマックも数台のコンピュータをクラウド管理で使っています。そして今使っているこの子は一番の新入り。まだちょっと辞書がおバカです。そしてたった今「かんかい」が変換できなくてコピペしました。それはどういうことかというと、「寛解」って、普通の人が日常で使う言語じゃないということです。

皆さんがお子さんの、あるいは自分の障害を宣告されたとき、まず思い浮かぶ原初的な疑問は何ですか? おそらく多くの場合それは

「それって治るの?」
「何をすればいいの?」

だったのではないでしょうか。
間違っても「それってカンカイするの?」ではなかったはずです。

未診断で中高生くらいまできて、二次障害が出て自傷他害ひきこもりが出て精神科に親が連れていくとき、そこで親が望むのは「お願いうちの子を治して」だと思います。だって治るというのが普通、人々が日常使っている言葉だから。

つまり私にとって、治るという現象を「寛解」や「改善」に置き換えることは、専門家が消費者を無視していたずらにジャルゴンを駆使している、あるいは煙に巻いているようにしか思えないのですよ。
中には専門家のジャルゴンにつきあって頭いいつもりになっている父親とかもいるかもしれませんね。じゃあそういう人がどういう成果を上げているのか見るといいですよ。保護者支援者が揃ってキャラバン脳だったり、父親がギョーカイ活動するとまあ終わりますよね、子どもは。

そして何度も言っているように「改善」はするけど「治る」ことはないと主張する人々は、発達障害がスペクトラムだということを否定しているという自覚を持った方がいいですね。

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ふうりんさんより:

体力なくて逃げていたヒクツ観察もこのブログを通じて5年。勉強になりました。次の熱い本も楽しみにしています。

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ありがとうございます。最近は「ぼくアス卑屈に受け取り大騒ぎ+大大大博士祭り」の五周年キャンペーンをやっています。その中で「治ってますか? 発達障害」が世に出るわけですが、その内容が彼ら的にとんでもなくてももう祭りを起こす元気も猿烏賊山には残っていなそうなのが残念です。

今朝起きてからも一度ゲラを読みました。うん。いい本に仕上がっていると思います。

来週発表できるでしょう。
来週は新刊とイベントのお知らせがあります。
どうぞお楽しみに。
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4 コメント

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少なくとも… (狸穴猫)
2015-06-28 23:45:34
私の場合、少なくとも触覚過敏は治りましたね。
20才くらいから減ってきて30才になる頃にはほぼ消失してかれこれ20年ちょい。再発する気配すらないと思うのでこりゃ治癒でしょうね。

着られる服のバリエーションが増えた方が服買うときにめんどうくさくないですから治った方が便利です。

暑苦しい本楽しみにしてます。


「治る」に手が届く (ふうりん)
2015-06-29 12:51:01
「治る」理由ありがとうございます。浅見さんが本を出すにあたって、不便さがどうにかならないかから出発しているのが大きいと思います。あらゆる問題点を潰すんじゃなくても応用で楽になる、芋づる式によくなる効果はすごい。「治る」がぴったりくるんですけどね。
 授業でやる長距離走程度でも全然だめだった娘。「伸ばそう!コミュニケーション力」で森嶋さんの観察力やコミュニケーションという考え方に触れてよく見ることから始めると、跳ねて打ち付けるように着地するので地面からの衝撃がもろ内蔵にきてお腹が痛くなる走り方でした。練習して走り方に気をつけることができるようになったら痛くないので頑張れるようになり、自信をつけたのか自分から他の運動もはじめました。つらいものだったのが自らやってみようと思うものに変化したのは確かです。たったこれだけのことだけど親としてうれしい。やる気をどう引き出すかに頭を悩ませていた時期はいきなりすぎたと反省しました。苦しみをとって、本人の中に経験値がたまってくると勝手にやる気が出てくる感じはこれか!と思いました。発達障害について調べ始めた時一番知りたかった「治し方」がなんとなく掴めた気がして希望が持てました。苦しみはそのまま経験もさせないでは邪魔をしているようなものです。花風社の本は最初のとっかかりの工夫がいっぱい出ているところがまたいいんです。あっちこっちで小さな治るが積み重なればいいと思います。    
ヒント (浅見淳子)
2015-06-30 09:28:54
猫さん、またまたヒントをありがとうございます。
大地が昨日面白いこと言ってたなあ。
猫さんのこのコメントと大地のついーとをまじえて、「カンカイガー考察」をまたやってみますね。

暑苦しい本、楽しみにしていてくださいませ。
気持ちよさを知った (浅見淳子)
2015-06-30 09:33:20
ふうりんさん、ようこそ。
そうなのですよ。私の原点は「なんとかラクにしてあげる方法があるのなら伝えたいなあ」なんです。それが今までの仕事にもなってるし、今度の仕事にもつながっています。お子さんは、経験値の問題もあるでしょうけど、気持ちよさにたどりついたんですね。そうすると勝手に自分にいいことをやるようになります。それはやっぱり身体が変わったからだと思うのですよ。
小さな治るを積み重ねる、いいですね。そこから芋づるになりますから。
またお越しくださいませ。

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