治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「問題行動を無視」になぜ違和感を覚えるのかわかった

2013-10-30 09:00:30 | 日記
昨日は、非発達障害クラスタの方とミーティングで、おいしいフレンチをごちそうになりました。
そこで出た話。
とにかく発達障害者に、社会は困っている。
職場でも大学でも。
これは一つ「社会の理解」が進んだ結果です。
ギョーカイが一生懸命「困ってるんです。理解してください」って訴えたでしょ。
その結果「社会の理解」が進んだから「そんなにめんどくさいのか、じゃあつきあうのやめよう」と判断する人たちだって出てくる。
さあここからどうするか、ですよ。

それから事務所に戻り、仕事をしながら朝ブログに書いた「問題行動を無視」について考える。
なぜそのやり方にこれほど違和感を覚えるのか。
ABA的に正しいんだろうし、愛甲さんも同意しているのに。

施設職員の方から、無視はそれなりに効果がある。
火に油を注ぐことを防げる、というご意見が。
たしかにそれはそう。
でもなんか違和感がある。
こういう違和感は追求した方がいい。

考えているうちに気づいた!

「問題行動を無視」が、私が大嫌いな「死んだふり」につながるからですね。
少なくとも「死んだふり」をしている人たちが、これを正当化に使ってるでしょ。

そしてね、たとえば問題行動を無視されて、その行動が消えていくのは
無視した人と無視された問題行動を起こした人の間に
なんらかの愛着が育ってる場合でしょ。
嫌いな人に無視されるって、かえってご褒美だからね。

そういえば愛甲さんはこの本の中で
トイレットトレーニングの成功不成功とかの鍵を愛着の形成が握っているということにちゃんと触れているし
「愛着がどこまで形成されているか」のアセスメントの方法も触れているじゃないですか。
あらためてすごい本だな、これ。




つまりさあ
愛着が育っていないところでいくら理論通りにやっても効果ないかもね。
それをギョーカイははっきり言えないのかしら。ご本尊に触れるから。



「問題行動を無視することが効果があるかどうか」の度合いは、間に育っている愛着の度合いで違ってくるはず。

それと、大人の人、知的に高い人にこれやってしまうのって、人間音痴で無礼かもね。

たとえば、地方大学病院勤務の児童精神科医、なんていうのは明らかに知的に高い大人ですよね。
その人が匿名でその地位にふさわしからぬくだらない攻撃をしてくる場合
「無視していたら治まる」なんて甘いもんじゃないですよ。

だってさあ、その医師と私の間には
ただのひとかけらの愛着もないんだもの。
会ったこともないし。

だったらその問題行動(私から見てね)をやめさせるには
無視するのではなく、いくら専守防衛がモットーとは言え、迎撃ミサイル発動させないと。
この場合は、後生大事にしていた匿名をはぎとった。
それでようやく問題行動は治まったわけね。

とにかくギョーカイは
死んだふりの言い訳にABAの理論を使わないでほしいですね。
別に死んだふりを続けてもいいけど
その結果がフレンチのランチで聴いたような
「発達障害者迷惑。かかわりたくない」系の社会のリアクションにつながっていきますよ。

勘の悪いおばかさんのために言うけど
私はこういう社会の状態を肯定しているわけではないですよ。
ここから出発するのが現実的に
発達障害者が生きやすくなる戦略を立てやすい、っていうこと。

ここが見分けがつかない人がいるのね。

いいですか、現実社会では、身近にいる大人に犬の曲芸を仕込もうという意識はない。
それはむしろ失礼なこと。
大人は大人として遇されるんです。
だからやったことに対しては、迎撃ミサイルが飛んでくるし
それは別に、差別でも偏見でもなんでもないんですよ。
コメント (2)   この記事についてブログを書く
« 問題行動を無視する | トップ | 職人芸っていけないの? な... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「無視」の前提が大切なのです (松崎俊明)
2013-10-30 11:22:56
説明しておきますね。

行動を理解する際に使われるABC分析のお話で,

引き金(Antecedent Event)
行動(Behavior)
結果(Consequence)

そこの見極めを間違うととんでもない事が起きます。

「退屈→騒ぐ→相手をしてもらえる」
という分析結果であれば,
Aに対しては「他の楽しみの提供」
Cに対しては「相手をしない」
が定石でしょうね。

一方,同じ「騒ぐ」でも
「授業嫌い→騒ぐ→授業が成立しない」
という分析であれば,「無視」なんてとんでもない事です。
学級崩壊を招きます。


実は「問題行動には無視をする」の前提として,
「ABC分析が可能なほど,その子の事を知っておく」
という深い関わりが必要なんですよ。

動物実験であればCは「餌」「甘い水」等ですが,
人間の場合には,
AもCも他人には推測するしかない「感情」である事が多いかもしれません。
(感情を想定した時点で,ABAではなさそうですね…)


その辺りをシッカリと理解した上で対応しないと,
「単なる How To」で終わってしまうのです。
猿烏賊によるABC分析 (浅見淳子)
2013-10-31 09:05:59
松崎先生、ようこそ。
昨日この件で愛甲さんから電話いただきました。そのときはまだ、松崎先生のコメントは読んでいらっしゃらなかったようですが。それはまた、エントリに書こうと思います。
私がかねてより不思議だったのは、猿烏賊(含藤居宮本吉川)が私に対応するのにABC分析がきちんとできていなかったことです。ベムこと宮本晋なんて、とにかく「思いがけないリアクションをする」ってびっくりの連続だったみたい。
http://blog.goo.ne.jp/tabby222/e/ad6906fcd02dbf807e9c8d060771c5c5?fm=entry_spne
この人たち人間音痴だから、だから私の反応も読めないし、そして療育も下手なんだろうと思っていました。
でも松崎先生だって、ある程度やれてるわけじゃないですか(無礼)。そして一般のおやごさんは、松崎先生よりもっと見なければいけない対象が狭いですよね。少なくとも愛甲さんやミスターブラックジャックのような単位の人数とかかわっているわけではない。だから一人一人職人技を育むつもりでやればいいはずなのに、エビデンスガーとか再現性ガーにこだわってセンスのなさからしくじってるんじゃないの、って気がします。
またお越し下さいませ。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事