治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

脳みそが音を立てて

2017-09-24 12:28:16 | 日記


ダブルヘッダー、無事こなしました。
今日はさすがに疲れていますが、へばるほどではありません。溜まっていた洗濯物はこなしましたよ。

午後の部は立派な部屋を用意していただいていたのですが、夜の部は少し小さすぎたかな、と思います。椅子だけはたくさんあるので、あとからお出かけになった方には自ら補助席を用意していただき鈴なりの状態で榎本氏の話に聞き入りました。いやあ、私も脳みそが音を立てて学んだ講演でした。鹿児島から来てくださったねこ母さんにお手伝いをお願いし、二人で並んで座っていたのですが、ねこ母さんの表情が「ド真剣」でした。これまで支援してきた中での体験談、あれこれとリンクさせながら聞いていたようです。
終わったあとで私が「他では聞けない話だったね」と言ったらねこ母さんは「他では聞けないし、本当はずっと必要としていた情報」みたいなことを言われまして、ああ、たしかにそのとおりだ、と思いました。多方面の意味でずっと必要としていた情報ではあるのですが、一番私が貴重だと思うのは、司法から見ることで普段の療育・特別支援教育においても「ここから先は本人まかせにしておいていいけれどもここから先は大人が止めなければいけない」基準が明確になったことだと思います。

そのあとも時間が遅かったにもかかわらず十人ほどで饗宴をしたのですが、そこでも話が弾みました。教員経験者の方が「昔、教員は性善説で警察は性悪説だと聞いていたけれど、そうじゃないことがわかった」とコメントくださいました。おそらく教員の間ではそういうマウンティングをすることによって心の平穏を得る自己治療があったのだと思いますが(これが午後の部の話題の一つでしたね)、昨日私たちが榎本氏から学んだのは「警察官は被疑者をもクライエントととらえ、そこに合わせる努力をしている」という一般市民がなかなか知りえない情報だったと思います。そしてこれこそが、広く支援者にとって役立つノウハウにつながると思います。
私はそれを信じられるのです。それは、榎本氏がニキさんの事情聴取をしたときに立ち会ったからです。そのへんの特別支援学校の教師より、いや、並み居る有名支援者より、榎本氏は自閉の人から話を聞き出すのが上手でした。ニキさんは被害側であるからあたりが柔らかいのは当然かもしれませんが、その後加害側の取り調べの報告を受ける中で、加害者側にもほとんど「なつかれて」いるのではないかという印象を持ちました。これが榎本氏の個人の気質によるものかと思っていたのですが、ご本人によると(謙遜もあるのでしょうが)個人的な資質というだけではなくそういう訓練が警察の中では継承されているような感じです。
ともかく「厳しくあたりすぎないけど、ルールをきちんと守らせる」方法は、実は支援の世界よりも警察にあったのかもしれない、というのが私の印象ですし、多くの参加者が感銘を受けたところだったと思います。

愛甲さんからも激賞のメールがきました。愛甲さんレベルの支援者にとっても、有益な情報の多い会だったようです。それだけ「聞いたことのない話」だったのだと思います。

とにかく榎本氏の講演は、私も自分の脳みそが音を立てて情報を吸収し分析していくのがわかった、そういう刺激的な会でした。

午後の部は気持ちよくしゃべらせていただきました。ここのところ読んだ本を統合し分析し私の主張を展開させていただきました。読んだ本の中には発達障害の本もあれば、全く関係のなさそうな本もあります。広く社会の動きを見据え、その中で発達障害者支援とどう付き合っていくのがよいと私は考えているかお話しさせていただきました。非常に熱心に聞いていただいたのが伝わってきました。

決して活字にはしないお話もしました。

もう少し和気あいあいやるつもりだったのですが、内容がシビアな分むしろ引き締まった雰囲気で終始した会だと思います。その中で花風社の濃いクラスタの皆さんの(含私)の笑いを誘ったのがこのチラシです。



いや、いい話ですよね。栗本さん監修の児童デイが、東京のど真ん中、港区高輪にできるというのです。その説明会が行われるらしく栗本さんも出るそうです。詳しいことが決まったらもちろんここでお知らせいたします。

でも饗宴の場での栗本さんのだめなおっさんぶりを見ている私たちは「監修」の二文字に思わず爆笑してしまうのでした。

「えらくなったんだな~」という爆笑です。

えらくなった栗本さんは、昨日は名古屋で講演でしたので欠席でしたが、それでも場の笑いを持っていくほどの人気者なのでした。

人気者の栗本さんはいないし、画伯は新婚旅行でいないし、だったのですが、榎本さんという新たな人気者を得て、楽しいお酒を飲んで饗宴の場は過ぎました。

お越しになった皆さん
昼の部を主催してくださった子どもサポートネットワークの皆さん
本当にありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。