治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

恩人認定と読者様認定を分けるもの

2016-03-09 19:04:01 | 日記









わりと(ブ)な記事になります。
だからこそ事前に言っておかなくてはいけないことがあります。

コメント欄をたどっていけばおわかりいただけますが、すでに「フォローの自由ガー」クラスタから戻ってきてくださっている方々もいらっしゃいます。しかもファーストペングウィンな方はわりと早期に。というのはくどくど私が説明する前にすでに、今回私が何を悲しく思ったのか察知してくださったのですね。そしてもちろん、おつきあいも元に戻っています。

そして昨日松野@鍼灸師さんがこう書いておられました。

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私を含む読者はその恩恵を大いに受けてる。
いわば恩人。

今回の事はこの「恩人」という認識があるかどうかに集約される。

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恩人、という言葉を使う使わないはともかく、割合と「感謝しています」というメッセージはいただくことの多い花風社です。それを聴くともちろんうれしいです。自分が作ったものが役に立っているのはうれしいものですからね。
今家にたくさんあるお祝いの品、各地の読者の方々がお送りくださるおいしいもの、などに囲まれている実在性夫は「こんな会社めったにない」と言います。
たしかにアニバーサリーの時、業者さんから贈り物がくる会社はあっても、お客様である消費者の皆様から直接お祝いをいただく会社はあまりないかもしれない。というか他の出版社からもあまりそういう話は聴きません。
これが花風社の資質であり、花風社読者の資質でもあるのかもしれません。
そういえば私は、読者と近い出版社を作りたくて前の会社を辞めたのでした。
そういう意味でも夢がかなったのかもしれません。

ところで今私はお気に入りのある作家さんの本を読んでいます。まあ出れば買う人です。
でもこの人に「恩人」という思いは抱いていません。逆に「自分は読者様なのだ」という傲慢な気持ちももちろん抱いていません。
才能ある人が取材を重ね構想を膨らまし心血注いで書いた作品を安価で手に入れられるのは書籍と言う商品が大規模な共同購入だからということも、どういう段階でどういう人々が尽力しているかということも、27年間この世界にいる私は知っています。
だから良い作品を読めることは喜ぶけれども、この作家さんに対して「恩人である」という気持ちは抱いていません。一読者であり、それ以上でもそれ以下でもありません。消費者として、好きな世界を堪能させてもらってその対価を払っているだけです。贔屓ではありますが、恩人ではありません。

ならばなぜ花風社の読者の方々の中には「恩人」という言葉を使ってくださる方がおられるのか。
そしてどうしてそういう方々の方がより早く私の悲しみを理解してくださったのか。
その人たちと「フォローの自由ガー」クラスタの違いはあるのかないのかあるとしたら何なのか。
私は考えました。

そして

身も蓋もない結論に至ってしまいました。

同じ読者とはいえ
当然ですが温度差はあります。

花風社の本を読んで、実際に事態が改善している人。
「うちの子も治ってきています」とさえいえるほどに変わった人
そういう皆さんは私のことを「恩人認定」してくださっているんだと思います。

さんざん死んだふり支援と「一生治りません」に翻弄され、あるいは高額な療育に振り回されたあとで
・家でできて
・金がかからなくて
・できたら身体の中に何も入れない

花風社のアプローチに出会ったあとぐんぐん変わっていくお子さんたち。その姿がうれしくてうれしくて。その感謝の気持ちを様々な方法で表してくださっているのだと思います。

一方で同じ本を読みながら「すかっとした!」で終わる人もいます。
そう、お気に入りの作家の娯楽小説を一本読むように。
読んで、すかっとして、修行は大事だなと思い、そして日常生活に戻る。
同じ「花風社の本が好き」でも、どの程度役に立ててくださっているかには実はかなり違いがあるのです。

読んで実際改善している人



読んですっきりしているだけの人

は同じ読者でも、温度差があって当たり前でしょう。

前者の方は、河北さんが書いてくださったように

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苦心して世に出された子どものように大事な本の読者が「怖かったから外せなかった」とか「自由」ばかりだったなら二重に衝撃を受けられたのではないでしょうか。
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という私の気持ちをすっとわかってくださったのだと思います。
「浅見を恩人認定する能力がある」方々だからです。
そしてなぜ「浅見を恩人認定できる能力がある」かというと
実際に成果が上がっているから
あるいは少なくともそちらの方に動き始めていることが実感できているからです。

でも同じ読者でも「ああ面白かった」で終わっている人にとっては
私は別に恩人ではありません。ただエンタメ本を供給するだけの業者です。
そして自分は読者様です。
たんなる業者が悲しみを訴えるメールを送ってきても
読者様に対して生意気だ、と思っただけかもしれませんね。
そして「フォローの自由ガー」を展開する。
フォローの自由なんて、あるに決まっています。フォローは自由だからこそ、この絵を描く人を支持する人とはつきあいません、という自分の決断をお知らせしたのです。選択は自由に決まっています。

花風社の本を読んでも効果を上げる人はいて、その人たちは私を恩人認定する。
効果を上げない人もいて、その人たちは私を業者認定する。

だから私は、次回の本は遠慮しないことにしました。
ちょうど今
・察する
・選択する

のところをやっています。
子どもの中に社会性を育てるならば
支援する側が、察して選択できる自分でなければね、
っていう話です。

ここを遠慮しないで展開することにしました。
遠慮せず思い切り展開することで、花風社は
次のステージに進むことにしました。
大事なことをはっきりと書くことで
成果を上げる人の歩留まりを上げることにしました。

河北さんのコメントはこう続きます。

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一読者として、今回の件で、もしその時の感情や感覚が掴みにくいと気がついた方がいらしたら、これまでの本をひもといて、じっくり読み込んではどうかと思いました。わたしもまた開いています。
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すくなくとも、猫本P34に引用した神田橋先生の一文。
ああいう生き物としての能力が発揮されている状態では

フォローの自由ガーは出てこなかったはずだし
一瞬そう思っても、すぐに思い直したはずだと私は思っています。

思い直してそれを正直に教えてくださった人たちとは
私は元通りの関係に戻っています。
なぜなら
大人もまた学ぶことが多いのは
そして学ぶことができるのは
当たり前のことだからです。
もちろん、この私も含めて。

読者は発達している その2

2016-03-09 08:58:18 | 日記





昨日あののえるっていう人の頓珍漢なコメントを見たのは「象の鼻パーク」あたりでした。
すぐに公開して、皆さんから意見を募ることにしました。
それに対してたくさんのコメントをありがとうございます。
これが六年前はできなかったのです。なぜか?

その頃の花風社クラスタは発言する勇気に欠けていたからです。
メールは降るように来るのです。励ましてくださるのです。昨日のコメント同様、水準の高いものが多かったのです。
でも皆さん、表立っては発言なさらない。だから猿烏賊が集団になって図に乗ったのです。
私がいくら「私には味方もいるよ。君たちが思っているより多いよ」「うちの読者は水準高いよ」と言っても猿烏賊は私が非実在読者をでっちあげているとあざ笑っていたのです。

その後猿烏賊たちが黙り込んだのは、基地外ベムが去っただけではありません。
猿烏賊たちは脳みそが小さいので、本気で「浅見と価値観を共有する保護者支援者がいるわけがない」と信じていたのです。
それがそうでもないことがだんだんわかってきて、猿烏賊たちも勉強したのです。「人の価値観というのはさまざまなのだ」と
花風社が粛々と存続し、「治った!」「よくなった!」と大っぴらに喜ぶ人が増えてそれを発言することは、花風社クラスタのみならず猿烏賊にも学習の機会を与えるのです。

だから河馬さんが派手な浅見ディスを繰り広げ、それを花風社が縁でつながった人たちがいつまでもつながっていることは、河馬さんを励ましていたのです。
本当に浅見ディスを楽しんだのならずっとつながっていればいいのです。だから私はそういう問いかけをしたのですね、あの絵をきっかけに。

私を応援したいコメントをメールで書くか、LINEするか(つながっているひとは)、FBにするか(つながっている人は)、あるいはツイッターか。
その決断をするときに、「表立って言うことで浅見を応援する」ことをどうぞ忘れないでください。
「本を買うくらいしか、本を周囲に勧めるくらいしか応援できない」というDMを送ってくださった方もいましたが、それは間違いです。
同じ内容をコピペでコメントに書き込んでくださるだけで応援になります。HNで全然かまいません。

自分の行動の一つ一つが決断であり、その決断が社会に影響を与える。


ということに自覚的であってください。
私は自覚的でした。捜査書類の一枚、宮本晋からのメールを三秒ほど見たときに。
写しはもらえません。しげしげは見られません。でも一読、すぐベムだとわかりました。文体で。ここまでが一秒。そしてあと二秒を内容ではなくメアドと本名の記憶に使ったのです。
こうやって私は「妨害メールを警察に任意で提出する」という一読者の勇気を活かすことができました。
昨日の栗本さんのコメントは、そういうことを言っていると思います。わかんない人は、コメント群の中から探してね。読むだけで勉強になりますよ。本当に情報の宝庫です、昨日のコメント群は。

さてあと数日以内に、今回の騒動でわかった
・保身と他者貢献に関する誤学習
・改めてわかった自閉症のつきあいにくさ四種
・猫が猫をなめるように
・客意識と恩人意識

を書いていきます。