治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

楽屋の自閉っ子トーク

2013-10-22 09:42:44 | 日記
控え室に三人集まると、打合せを始めました。
今回の講演会は長丁場で、ニキさん、藤家さん、私がそれぞれしゃべり、対談もあります。
対談部分のレジュメは作ってあったけど、参加者からのご質問も取り入れることにしたから
時々質問さしはさみますよ、と私は二人に話しました。

そして質問の内容を話しました。
こんなのがありましたよ。
「告知を受けてまもない小学生に、どういう声をかけますか?」
そして自閉っ子トークが始まったのです。

ニキ「小学生ねえ。ていうか、声かけたくても私、小学生の興味持つような共通の話題ないからなあ~」
藤家「まもない、ってどれくらいですか? 三日? 一週間? 三ヵ月?」
浅見「そこ引っかかるところですか?」

(我々にとっては)言うまでもなく、こういう質問が出てくる背景には
告知を控えたあるいは告知の済んだ自閉っ子をみている先生とか親御さんとかが
子どもが告知によってどういう動揺を受けるかが心配だったりして
同じ障害を持つ先輩二人に、「お二人ならどう慰めたり声をかけたりするだろう」とききたかったのだろう。

でもそんな背景が見えないのが自閉っ子である。

ニキ「小学生が好きそうなゲームもしないしなあ。マンガも、アニメも。。。(以下略)」
藤家「まもない? まもない? まもない?」(「まもない」先着一名様状態)

浅見心の声(あ゛~あいかわらずめんどくさいこのひとたち)

浅見「だからさあ、どういう声をかけたら障害を受け入れられるだろうかって心配してるんじゃないかな、この質問をした方は」

藤家「受け入れるしかないよ、って言いたいです」
ニキ「でもさ、受け入れって言う言葉がわからないかも。受け入れるってだいたい外国人労働者とか、輸入米とか。。。(以下略)」

浅見心の声(まあこのまんま見せるのが講演的には正しいな。九年経って、社会人としては成熟してもまあこのまんまだ、っていうことがよくわかるしね。逆に、このまんまで社会人はできるってことよ)

というわけで、そのまんまの会話が対談で再現されたことは、会場にいらした皆様ご存じのとおり。
一応あれでも打合せスミなんですよ。

ありがたいことに
10時から16時という長い講演会にもかかわらず、最後まで満場御礼でした。
本もたくさん売れました。ありがとうございます。

主催者の方から三人三様の過分なおほめの言葉が。

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つくづくお話を聞きながら、浅見社長のすごさを思いました。
お二人のお話をぐんぐん引き出していかれる様や、頭の切れ方など、すごいなぁ~と驚嘆していました。
お二人が、今あるのは、社長と出会われたからに他ならないと思いました。
素晴らしい出会いですね。

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そうそう。三人が出会ったのは、三人にとってもうれしいことだったけれど
「自閉症の世界にとっても幸せなことだった」と言ってもらったことがあり
それはありがたいなあと思いましたよ。

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ニキさんのユニークで、キュートな性格にも、惹かれました。
お話まわりまわって長いけど、ちゃんと着地点のあるお話ぶりや、博識ぶりも、「う~ンすごい」と思えました。

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ニキさんはものすごーい思考を重ねて、それはしばしば定型の人にとっては「脳みその無駄遣い」に見えるけど
だからこそ世の中を恨まない力があるんです。
世の中を恨んでいる人は、ある意味脳が思考の途中で息切れしていて
「世の中が悪い」っていう単純な結論に飛びついているんですよね。
ニキさんは体力はないけど、脳の体力はあるので、思考を重ねることはできるんです。

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藤家さんは、お育ちの良さが、そのまんま出ていて、チャーミングでした。
でも、どこかに苦労してここまで来られたこと、それが解る気配りを感じさせる人でした。

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これ、私初めて気づきましたが、そのとおりだなあと思いました。
苦労した分だけ、ちゃんと人格に重みが増してきましたね。

だからやっぱり、九年は無駄じゃなかったんですね。

お越しいただいた皆様
お世話になった皆様
本をお買い上げくださった皆様
お土産くださった皆様
そして運営の皆様

ありがとうございました!

お土産にいただいたさをり織りです。
きれいですね!