治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

発達障害と大学

2013-02-06 10:31:26 | 日記
発達障害を扱うテレビ番組は、新しい情報をもたらさないのはわかっている。
理由もわかっている。
とんでもない発想からクレームしてくる人の多い世界。「とりわけ傷つきやすい人」への配慮から、大きなメディアからは思い切った情報は出てこないのだ。
「化外の民」を自認したケンカ上等の零細出版社ほどの思い切ったことは言えないんですよ、受信料で生きてる人たちはね。

なぜか?
ギョーカイ神社のご本尊は、子どもたちやその未来ではないから。
「親のせいではない」と涙で書かれたお札がご本尊。
だから他国でなら入る生物学的な情報も、この国ではとっても制限されているでしょ。
子どもたち(の一部)がよくなる情報でも、「とりわけ傷つきやすい親たち」がいやがる情報は出せないんです。マスメディアには。

というわけでテレビには期待していないのだが
大学と発達障害の人のことを扱った番組を見た私はえらかった。
もしかしたら私、まだやる気ある?

いや、このトピックに興味持ったのには理由があるなあ。

サクラサクの便りが届いて思うことだけど
「自主的に」「ちょっと頑張らなければいけない道」を選び、そこに進んで行く自閉っ子が現れてきたのは本当によかったと思う。
そのお一人は、以前大地君の本を読んで、「僕も修行頑張ります」とメールをくれたけど
今回、お母様から難関をクリアしたことをお知らせいただいて
本当に本当によかったと思う。

「二次障害を避けるためにその子の能力より楽な道を」というギョーカイの方針に疑問を感じ始めたのは
たぶん2007年か2008年の頃だ。
おかしいと思っていた。「今だけ」の話であり、これからの産業構造の変化とか、ギョーカイは全然考えていないのではと思っていた。
でも黙っていた。
その頃はまだ私に、ギョーカイになつこうという気持ちがあったのだと思う。

その後裁判とかを経て
「私のお客は努力したい当事者と保護者であり、死んだふりを基本方針としたギョーカイではない。お客に誠実であるべき」と考えて、ギョーカイの変だと思うところはこのブログでも本でも発信するようになったけど。

えっと大学ね。

そろそろ入試始まってますね。

そして、先日の番組で「こういう理由で大学になじめない」というのを聞いて
正直、発達障害の人には大学向いてないんじゃないかと思いました(一瞬)。

私自身は大学生の時代を、本当に楽しかった時代だと思っている。

でも四年が終わるとき、別に悲しくなかったな。
これだけ自由を満喫するのは、四年くらいでいいんだ、と思った。

よくある程度の社会人経験積んでから大学に戻る人いるけど
私はたぶんそういうことはしないと思う。
今いる場所だって、勉強することいっぱいあるし、楽しいし。
それは大学生のときの気楽な楽しさとはまた別の楽しさ。

つまりね、少なくとも文系マスプロ大学に行った私にとって
大学生である最大のメリットは「自由」だったことなんです。
高校までとは全然違うその自由さこそが、大学の醍醐味だったんです。

でも発達障害の人が大学でつまずく理由は
どうやらこの「自由であること」にあるらしい。
構造化していてほしいのね。

「発達障害の人は大学向いてない」と言ったって
世の中にはある一定以上の学歴を積まなければ門戸が開かれていない職業もあり
発達障害の人が資質を開花させるためには、大学に行かなければいけないこともあるだろう。

そのために支援が必要だというのはわかるし
支援を求めるのも権利だとわかります。

ただね、わかっていてほしいのは

脳みそのタイプによっては、発達障害の人が悩むこの「自由すぎること」こそが
大学生活の意義なんだっていうこと。
それを「大学の理解ガー」とか言われても、通じないと思う。

いや、ギョーカイ絡ませて大学と交渉すると余計こじれるケースもあるみたいだけど
もしかしてそのあたりの意識のずれがあるかもと思います。

私からのアドバイスは

同じような偏差値でも、大学の文化って相当違う。
私は放し飼い大学に行って放し飼いされてよかったわけだけど
そうじゃない大学もありました。

だから

入る前に、大学の文化をよく調べたほうがいいと思います。

ちゅん平は、いろいろなことを手取り足取り教えてほしかったらしい。
本当に日常生活の送り方とか。どこで買い物するかとか。
一週間に一度くらい生存確認する場とかほしかったらしい。

たしかにないよね、大学はそういうの。
ないのがいいところなんだけどね、私に言わせると。

でもちゅん平は違う。

私が想像するに、大学時代のちゅん平には
「人は食べなきゃ死ぬ」とか
「トイレットペーパーは買わないと生えてこない」とか

そのあたりから教える必要があったと思います。

だから余分に時間かかったのよね。
でも結果オーライよ。

逆にそのあたりを丁寧に教えていけば
ちゅん平が30歳でたどり着いたことを、ちょっと前倒しできるかもしれないと思います。
それでこその特別支援でしょ?
何がわからなくて、何がわかるようになったか、詳しくはこのあたりをどうぞ。



ちゅん平さん、ニキさん、浅見のそろい踏み見たい方います?

3月9日に京都に来てね。

またお知らせしますね。