治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ようやく時代が追いついてきたね(上から目線)

2013-01-10 21:03:44 | 日記
今日は「俺ルール! 自閉は急に止まれない」出版秘話(ってほどのものじゃないけど)を。

これはまあ、方々でしゃべってますけどね。

「俺ルール!」は基本的に、ニキさんが「ハイパーりちぎ」で「自閉は急に止まれない」ゆえに積み重ねてきたカンチガイの黒歴史集です。
基本的に笑えるものばっかり集めました。

笑えないエピソードもあるのよニキさんには。
いや、一歩間違うと、触法行為につながっちゃうような。
それはね、意図的に排したんです、当時。
なぜ?
何しろギョーカイの先生たちに心の準備ができてなかったからさ。

当時、アスペルガーと犯罪の関係が取りざたされはじめた時期ですが
「心の闇!」みたいな報道を見て、ニキさんは言っていた。
「事情を知る者から言わせてもらうと、無用な深読みが多すぎる」

本当にねえ。
ちょっとしたカンチガイで突っ走って、その結果起きた事件、みたいなのが多かったのでね。

だから「カンチガイを理解して、できれば笑い飛ばして、そして本当のこと教えてあげましょう」

というのがあの本の設計思想だったんだけど
そこに有害俺ルールを盛り込むと

「アスペルガーと犯罪は無関係ですっ」

と涙目で報道に抗議しているギョーカイメジャーの先生たちの心を深く傷つけそうだったんで

あえて笑えるエピソードばかりにしました。
私とニキさんの親切心をみんなわかってほしいわ。

さて、

でもそんなこんなで時を送るうち
ようやく時代が私たちに追いついてきたのかな、と(鼻息)。

私としたことが、うかつだったんだけど
きのうおからさんのブログの過去記事を見ていたら

自閉症の息子さんと、例の大阪の「求刑を上回る判決」について話し合った様子が描かれていました。

息子さん、よくとらえていらっしゃいますね。

そしてカンチガイには、ご本人にもびっくりすることが
なんというか、臨場感を持って伝わってきますね。

そうなんですよね。
カンチガイなのよ。
だから私は、犯罪と障害の関係をわりと屈託なく語るんだけど

そして俺ルールという本は、おかげさまで結構読まれているんだけど

ギョーカイの先生は相も変わらず「カンチガイ」の問題は取り上げず
「司法の現場ガー」とか「社会の理解ガー」ばっかり言ってて
求刑以上の判決への抗議の「難癖文書」(←命名おからさん。座布団三枚ノ◇◇◇)にも
受け皿のことも遵法教育のことも書かず

「俺ルール!」の教訓が玉砕したような気がして無力感を感じていたところ

このようにお母さんと息子さんが「障害と犯罪」について真っ向から話し合っているんだなあとうれしくなりました。

イケメンのおからさんの息子さん(君の写真はママに見せてもらいました。イケメンだよね。うちの息子の三分の一くらいの体重みたいだけど)
君は殺人犯には絶対になりません。

君は自分がカンチガイしやすい人だって知っているし

それを教えてくれる人たちも周りにいるし

それを素直に聞ける人だから。
そういう大人になるために、修行してきたんだから。

だから他の自閉症の人が事件を起こしても
君を犯罪者予備軍だと思う人はいませんよ。

いたら、バカです。
バカはほっとけばいい。

だから

安心して修行を続けてくださいね。