治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

治したい。治したくない。

2010-05-01 07:03:45 | 日記
自閉症が治る、という報道に反応する人たちがいる。とくにネット上では。

自閉症は治らない、という事実に安堵感を見出しているんだろうな、というのが私なりの推測。

一方でリアルで知り合いになる人の中には「治療法が見つかったらどんなに大金がかかっても治したい」
「必要なら実家の田畑を売りはらってっでも費用を工面する」という人たちもいる。
お子さんに愛情を持ち、障害を受け入れている人たちだ。
精一杯の療育をして、それでも「治る方法があるのなら治したい」という人はいる。

どっちの意見もわからなくない。

で、どっちの意見を採用するかは、それぞれのおうちの自由だと思う。他人がとやかく言うべきことではない。
だってご自分のお子さんの将来なんて、他人に言われて決めることじゃないでしょ?
大事なお子さんの将来を、誰だかよくわからない人が展開するネット上の意見で決められますか?
そんなことしたらかわいそうなのはそのお子さんだ。

情報を集めるのは大事。でも最終的な決断は、家族が自分でするべきなのはあたりまえ。

少なくともどっちかの意見の人が、同じ意見にならないからと言って、片方を非難することは無益だと私は見ていて思う。
そんな時間とエネルギーは、もっと別のことに使ったほうがいいんじゃないかしら。

高いローンを組んで治療や療育の費用を工面したとしても、よそのおうちが自己責任でやっていること。
連帯保証人とかを頼まれない限り、自分が迷惑するわけではない。
もしかしたら、大金をムダにするかもしれない。でもそれは他人の大金だ。
実家の田畑を売り払うかもしれない。でもそれは自分のうちの田畑ではない。

大金をムダにする人なんてたくさんいる。多くの人が倒産し、そして立ち直る。
大金をムダに失うことは、この世の終わりではない。

そもそもよそんちの懐具合を勘案するなんて、さもしいことだと私は感じるね。
「みんな違ってみんないい」って言いながら、よそんちの療育方針に口出したり、よその出版社の編集方針勝手に決めて悲憤慷慨したり、ずいぶん隣組的メンタリティの人がいるのね。

大大大博士の本は不思議なことに、「治らないと信じていたい」人たちも「治ると信じたい人たち」も、満足できる結論に落ち着いている。
どっちの人たちも、未来に希望を見出せる結論に落ち着いている。

少なくとも、状態を改善するのに、大金がかかる方法はただの一つも提唱していない。
それが最初から、先生の方針だから。

この本を読んでいたたまれない気持ちになる人はいないんじゃないかな。
いるとすれば、大大大博士の同業者の一部かも。全部じゃない。
「治せないといばるな」というのがメッセージのひとつだったりするから。

どんな本になるのか、憶測が飛び交っているが、当たっているものが不思議なほどない。
昨日目次を発表したけど、あれを見たら、「祭り」がいかにとんちんかんな憶測の塊だったかわかるでしょ?
下手な考え休むに似たり。

だからもう憶測やめたほうがいいんじゃないかな?
脳みその無駄遣いだし。
どうせあと一ヶ月以内にわかるんだし。

ムダに考えるより、GWを楽しく過ごしてください。

私も楽しく過ごしますよ。

ベゴニアキティちゃん。ベゴニアってきれいな花ですよね。