
いやー、久しぶりに見事な ”ヨーロッパ映画” を堪能させて貰ったという気分ですヽ( ̄▽ ̄)ノ
イギリスの、あの特徴的な切り立った崖から海が見える美しい風景と共に、じっくりとしっとりとしたカメラワークと旋律で一人の老人の人生の黄昏を切り取っていく叙情性は実に見事という他ありませんでした
そしてその老人とはかの名探偵、シャーロック・ホームズその人
舞台は1947年、第二次世界大戦の爪痕が人心に色濃く残っている中、友も身内もとうに喪っていた93歳のホームズは海辺の片田舎で孤独な晩年を過ごしていた~という設定なんですが、ああ、確かにあのホームズが年老いたらこういう気むずかしい老人になっちゃうだろうなあwという描写がとても面白かったですね……その一方で、頭脳明晰で身体能力も飛び抜けて優秀だった若き頃の栄光が見る影もなくなり、身の回りの世話をしてくれている人の名前すら忘れしてしまう程に痴呆の症状が進行してしまっている悲哀とのギャップがもう涙無しでは見られなかったです(ノД`)
実年齢が70代半ばの名優イアン・マッケランが、60歳の頃と93歳のホームズを演じ分けてるんですが、これがもう壮絶とも言えるほどで、”まだまだ若いモンにだって負けとらん!”っていう俳優としての気概と、”いつ不意に死んじゃってもおかしくない…” というリアルな老人としての老境のせめぎ合いが、まさにそのままフィルムに焼き付いているといったカンジでした(゜Д゜;)
人間、誰しもが大なり小なりの取り返しのつかない過ちや、深い悔悟の念といったシロモノを心に抱えながら生きていると思いますが、あのシャーロック・ホームズが自らを引退に追い込ませた程の過去の過ちとは一体何だったのか?
ホームズが封印された過去の記憶を探るのを促す役割を担うのは僅か十歳の少年なんですが、彼の聡明さと献身っぷりも実に微笑ましくて愛らしいので必見です……予告を見た段階ではサッパリ予想出来なかった真田広之演じるウメザキの役割も(地味ですが)とても良かったですねえ( ´▽`)
全ての謎が解かれた時に老ホームズが到達する ”心理” と ”真理” を、是非とも劇場で確認してみて下さい!