活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ここは地の果て、流されてKAGAYA■KAGAYA監督トークショーinわかやま館(その17)

2012-06-05 20:42:40 | 宇宙の海
日時:平成23年8月20日(土) 午後2時~
場所:わかやま館1Fイベントホール
主催:みさと天文台友の会
テーマ:「星への憧れ-宇宙と神話の世界-」
写真画像提供:@j_pegasus(わかやま館元シアターディレクター村田氏)
CG画像提供:KAGAYA氏(※ 掲載は、氏の許可を得て行なっています)



<Atention>
 このレポートは、KAGAYA氏のトークショー、ならびにその前後に
 氏に対してブログ主が行った質問等を再構築しております。
 内容に関して事実と齟齬等有った場合には、その責は当然ながら
 全てブログ主に帰します。

<Atention2>
 文中の呼称については、敬称略で統一とします。
 

■ここは地の果て、流されてKAGAYA

クーバー・ペディ
そこは、極端な暑さと乾燥。それに砂漠の砂をミキサーにかけ、
フリーズドライに仕立てあげたような土地である。




およそ、命が生きながらえるには不向きな、不毛の赤い土地。


(※ 画像は、クーバー・ペディ町の公式HPより。
   「moon plain」という地名の写真。よく、名は体を表していると思う。)


その印象を惹起するには、オーストラリア映画の「マッドマックス
サンダードーム」のロケ地に使われた、と言えば分かりやすいの
ではないか。


あの「北斗の拳」の世界観の元ともなった、核戦争後の世界を描いた
作品のイメージにぴったりということで選ばれたとあらば、自ずから
どのような風景が広がるかは容易に想像もつくというものである。

最寄りの集落からは、数百キロも離れている。
ここに行き着くもっとも簡単な方法は、オーストラリア南部にある
町・アデレードから小型セスナで約2時間飛行するというものである。

車を使う場合には、更に時間を要することは、言うまでもない。

真夏(南半球なので、当然日本とは逆となる)には、気温は50度に
達することもある。

降水量は極端に少なく、水蒸気さえなかなか発生しないために、雲さえ
空に掛からない日が一月にも及ぶときもあるという


それが、クーバー・ペディ。


ただし。
この地を、単なる荒れ野に留めておかない要素が一つある。

それは。
ここが、世界有数のオパールの産地ということである。
一説によれば、世界のオパールの約75%がここで産出されるという。
(日本に輸入されるオパールのうち、クーバー・ペディ産の割合は
 90%にも及ぶらしい)

このオパールを狙って、世界中から山師が集うところ。
そう。
クーバー・ペディは、単に熱砂と乾燥した空気だけではなく、
オパール原石の美しい輝きと、それを目指す男たちのギラギラとした
欲望にまみれてもいる町なのだ。


鉱物に取り憑かれた男といえば、ブラジルのガリンペイロがすぐに
浮かんでくるが、どっこいオーストラリアにもこうした地は存在
しているのである。

ここに集まった男たちの国籍は45にも及ぶというが、これには
諸説あり、中には50を超えているという説もある。

はっきりしていることは。
数多の国から、一攫千金を求めて人は群れ集って来ているという
ことである。

しかも。
オパールの採掘は、これまで大規模開発は為されておらず、個人か
せいぜいが少人数にて掘削されることが多かった


その詳細な理由はよく分からないが、費用対効果に基因するのでは
ないかと想像している。


結局、大規模なドリルやショベル機械を導入しても、発見できる
可能性がかなり低いとなれば、投資に見合うリターンが無いと
判断されたのではないか?というものだ。


ただ。
そこにオパールが無い訳ではなく、しかも掘り当てるのに特殊な
技術や機器が必要な訳でもない。

個人が入手し、操作できるレベルの機械であれば発掘は行え、
しかも大資本は進出してこないとあれば。

自らの手で、オパールの原石をいつか掘り起こすことを夢見た
者共がワラワラとこの地に群がったとしても不思議はない。


そうした営みが、百年以上続けられた結果。
クーバー・ペディには、直径50cmから1mほどの竪穴が
そこここに黒い渠を覗かせているという、シュールな情景が
広がることとなったのである。


この地にKAGAYAが降り立ったのは、2010年6月のことであった。


国立天文台はやぶさ観測隊の一員として、はやぶさの帰還を
その目で見届け、かつ映像に記録するミッションを受けての
訪問である。



クーバー・ペディという町の名称は、オーストラリアの
原住民であるアポリジニの言葉で”穴の中に住む白人”という
意味
である。


それは、二つのことを意味している。

一つは、せっせと穴を掘り、オパールを探している姿。

そしてもう一つは、その穴を掘り進めて住居としている姿
である。


そう。
灼熱のこの地では、屋外に人が住むことは自然が許さない。

そのため、人は山肌や地中に穴を掘り、そこに住んでいる
のである。


(※ 画像は、クーバー・ペディ町の公式HPより。
   地下に設けられた教会の写真。個人の住居は元より、
   ホテル、博物館その他なんでも地下である)

オパールを見つけるために開けた穴が、そのまま住居と化
していくという。
とても効率的に見えるこのシステムは、しかし大きな弊害
をももたらした。

それが、さきほど紹介した町中の至る所に開いている穴と、
その脇に高く積み上げられた砂山である。

地面を掘り進めば、砂や土が出ることは当たり前である。

映画「大脱走」や「ショーシャンクの空に」では、穴を
掘った砂の処分に苦労している様子が描かれていたが、
広大なこの地ではそんな悩みは存在しない。


掘った穴の横に積み上げていけばいいだけである。

そうして現出した、なんとも言えない光景はこちら
オーストラリア在住の日本人KYOさんの「ブリズベン暮らし」
にて見ることが出来る。


KAGAYAによれば。
この穴の側壁は、光が当たればキラキラと得も知れぬ
輝きを見せるそうである。

その美しさを想像するのは、やはりKYOさんのブログに
あった、クーバー・ペディの地下住居の壁に見える
オパールの写真
が参考となるかもしれない。
(リンクのページの下の方に、その写真があります)


この。
オパールという美しい輝きを持つこの町に、その夜。
もう一つの宝石が一夜限りその姿を見せることとなった。


はやぶさの、帰還である。


(この稿、続く)


(付記)
もっとも、この無数に空いた穴は、そうした美しさとは別に
もう一つの顔を持つ。

そう。
文字通り、落とし穴である。


うっかりここに落ち込めば、深いところでは100mにも
達する穴故に、即死は間違いない。


実際、犯罪が発生し、死体が投げ込まれることもあるという
から恐ろしい。

なにせ、無数に空いてある穴である。
刑事コロンボの「パイルD-3の壁」に通じる完全犯罪とも成り
得るではないか!


(付記2)
最近では、大型工作機械を用いた掘削も行われているようである。

(※ 画像は、クーバー・ペディ町の公式HPより。
   こうした手描きの絵が公式HPにUPされているのも、
   いい雰囲気である)


はやぶさ、そうまでして君は~生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口 淳一郎
宝島社


※ なぜ、この本が個々で紹介されているのか?
  KAGAYAのファンであれば、当然お分かりですよね?w


刑事コロンボ傑作選(パイルD-3の壁/黒のエチュード) [DVD]
クリエーター情報なし
ジェネオン・ユニバーサル

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