「大阪維新の会」の提案には、おおむね賛同できますが、
すべての政策に賛同できるということでもありません。
個人的には「あれっ」と思う提案もなくはないです。
大阪市の橋下市長が、成績の振るわない小中学生を
留年させる制度を取り入れるよう提案しました。
これなんて「あれっ」と思ってしまう提案です。
途上国の教育統計を見ていると、ときには初等教育の就学率が、
110%といった数字が出てきて混乱することがあります。
日本の常識で考えると、就学率が100%を超えるのは変です。
しかし、途上国では留年が多くダブってしまう子ども出て、
その結果、就学率が100%を上回ることになるわけです。
以前から問題視されてきました。
病欠や貧困で一時的に小中学校に行けなかった子どもたちが、
学び直すためという場合には、留年にも意味がありますが、
そういう「良い留年」ばかりとは限りません。
まず留年したからといって成績がよくなるとは限りません。
もし素行の悪い子どもが何年も同じ学年に留まっていたら、
他の子どもへの悪影響を与える可能性もあります。
最近OECDが出したレポートでも、学校教育での留年について、
「コストがかかるうえ教育成果の引き上げでも効果的ではない」として
廃止を求める提言を出しています。
OECDレポートでは、留年の欠点として、コスト増に加え、
学習到達度の生徒間格差の拡大、自尊心への悪影響、
問題行動に出る傾向を高めることなどを列挙して、
留年より効果的な代替策として学習支援や自動的な進級を推奨しました。
日本では「自動的な進級」をすでに採用しているわけですから、
OECDのレポートに沿った政策が長年とられてきました。
ある意味でOECDは「日本を見ならえ」と言っているわけです。
せっかく評価されている制度を変える必要はありません。
教育の国際比較をかじったことのある人なら、すぐ気付く論点です。
ぜひ教育政策の専門家の意見を聴いて、誤った方向に向かわないよう、
ご注意いただきたいと老婆心ながら思います。
他の政策は支持しているので、留年制度は慎重に願いたいと思います。
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