労働契約法 其のⅠ

2008-03-06 | 労働関係
昨日今日と北風が冷たいです・・・外を歩いていても、なかなか体が温まらず
これから外出ですが、風だけでも弱まっていることを願います


今月から施行されている労働契約法ですが、資料づくりに併せて、少しまとめつつ

【労働者】
労働契約法における「労働者」とは第2条第1項に規定されているとおりで、正社員やパートなど雇用形態などにはとらわれず、すべての労働者に対して労働契約法が適用されます。
また、「請負」などの契約を締結している場合にあっても、実質的に使用従属関係があるなど「雇用」契約としてとらえられる場合にも「労働者」に該当することになります。


【使用者】
労働契約法における「使用者」とは第2条第2項に規定されていますが、個人事業主、法人そのものが「使用者」にあたります。
労働基準法第10条に規定される「使用者」より狭く、「事業主」に相当する者が「使用者」にあたります。
===== 労働基準法(参考) ここから =====
第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。
===== 労働基準法(参考) ここまで =====


【労働契約の原則】
「対等の立場」「就業実態との均衡」「仕事と生活の調和」を踏まえて「合意」のうえ、労働契約を締結することが、労働契約に関する原則であると規定されています。
第2章以降の労働契約に関する規定においても頻繁に使用されている「合意」に、労使ともに意思を合致させる必要があることが求められています。
「合意」に至るために、使用者は労働条件や労働契約の内容について(就業規則の変更による労働条件の変更を含む)、労働者の理解を深めるよう求められ、その内容についてもできる限り書面で確認することが、労使に求められています。(第4条)
また、「合意」した労働契約に対しては「遵守、誠実な履行」と「権利の濫用」が労使ともに規定されています。(第3条第4項、第5項)


【安全への配慮】
安衛法に、事業者が労働者の安全を確保する旨が定められていますが、労働契約法でも改めて「安全への配慮」が労働契約に付随するものであると明確にされました。
===== 労働安全衛生法(参考) ここから =====
(事業者等の責務)
第3条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。(以下、省略)
===== 労働安全衛生法(参考) ここまで =====
より快適な職場で、より生産性を高めることが、労働契約法に限らず使用者側に義務づけられますが、労働契約法の「合意」を考えると、労働者側にも生産性を高める快適な職場づくりへの、より積極的かかわりは必要かな。



今日の記事でふれた第1章は

===== 労働契約法(参考) ここから =====
第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めるところにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
  2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
(労働契約の原則)
第3条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
  2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
  3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
  4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
  5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
(労働契約の内容の理解の促進)
第4条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
  2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。
(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
===== 労働契約法(参考) ここまで =====
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