就業規則 試用期間

2007-06-08 | 労働関係
昨日の『ドリルガールズ(にっぽんの現場)』。金属を削る音に耳を傾け、僅かな音の違いを聞き分ける・・・生半可な努力ではできない職人を目指す女性の話。

年金相談も労務相談も、相談者が表現している言葉だけでなく、複雑な制度の歪に埋もれてしまうような音(ことば)にまで耳を傾けて対応したいところですね。それが社労士的職人の道でしょうか。

最近の年金問題も・・・職員の方は窓口での対応は大変かと思いますが、年金職人として頑張って受給者や被保険者の不安を解消してあげてもらいたいものです。



たまには年金以外の記事も書かねば・・・という訳で

就業規則には必ず記載されているであろう『試用期間』。


【試用期間とは】
入社後の一定期間を『試用期間』として、労働者の能力や適性を見極め本採用するかどうかを決める制度です。
労働契約関係については、過去の判例等により、試用期間も通常の労働契約の一部としており、試用期間中については労働者の不適格性を理由とする解約権が大幅に留保されている「解約権留保付労働契約」と取り扱われています。

期間雇用者については、契約期間を労働者の適正を判断するための試用目的と認められる場合には、期間満了による雇止めを試用労働者の解雇と同等に取扱い、下記の(3)の要件を求められる場合もあるようです。


【解約権留保付労働契約とは】
試用期間中に労働者の資質、性格、能力その他適格性の有無に関連する事項を調査し、これを欠くと認めるときは解雇できる旨の解約権が留保された労働契約です。
解約権の行使については・・・
 (1) 採用当初において当該労働者の資質や能力などの適性の有無に関連する事項について「後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされるもの」とし、
 (2) 通常の解雇よりも広い範囲において解雇の自由が認められるべき、とされています。
しかしながら、
 (3) 「解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される」とされています。そのことにより、企業側は適格性欠如の判断の具体的根拠(勤務成績・態度の不良)を示す必要があります。

また、本採用拒否等、試用期間中または試用期間満了時の解雇について、採用後14日を経過している場合は、労基法21条第4項により30日前の予告もしくは30日分以上の解雇予告手当の支払が必要になります。

【試用期間の長さ】
試用期間の長さは一般的には3カ月が多く、1カ月から6カ月の間で決めることが多いようですが、特に制限があるわけではありません。ただし、試用期間は労働者の身分を不安定にするものですので、合理的な理由等がなく長期に渡ることは公序良俗違反となることがあります。
試用期間を延長する場合においては、就業規則等に延長に関する可能性、事由、期間などが規定されていることが必要です。



採用された者にとって試用期間は、労使関係における最初の評価期間です。どのような点を評価し、能力を伸ばしていくのかを示す機会でもあります。
試用期間の制度を有効に機能させることは、労働者の能力を見極め、今後の能力向上および活用に必要不可欠です。試用期間制度が形骸化していると思われる場合は、いま一度見直しては如何でしょうか。



===== 労基法(参考) ここから =====
(解雇の予告)
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、・・・(以下省略)
第21条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当するものが1カ月を超えて引き続き使用されるに至った場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は第四号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。
   一 日日雇入れられる者
   二 2カ月以内の期間を定めて使用される者
   三 季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者
   四 試の使用期間中の者
===== 労基法(参考) ここまで =====


今日は午後から臨時の臨時労働保険指導員です。流石に締切り間近でもあり混んでるでしょうね・・・がんばろ
コメント
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