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冒険してほしい 「想咲の結」

2018年02月25日 00時04分41秒 | 素人の劇評
「そらのむすび」と読ませる。
HIERO MANAGEMENT
中目黒 ウッディシアター

「お調子者でだらしなく家族からみっともないと言われている父亮二。
ひょんな事から娘と1対1で向き合う事に。
語られるのは今まで知らなかった娘の気持ちや家族との思い出。
そこには秘められた事実があった。少しずつ深まっていく家族の絆。
「私は何をしているの?」
「ねえ、お父さん。なぜあなたがここにいるの?」
平凡な家庭の日常で人生と向き合いながら導き出されていく未来とは‥•
「親ってのはそんなもんさ」
ちっぽけで情けない父親が下す決断とは‥•。」
とパンフレットにある。

なにか微妙な評価になりそうです。
親の期待と子ども達の反発。
長女としての「義務感」。そしてそれを理解されないもどかしさ。
「ダサイ」父親の愛。
そんなよくある家族の物語です。
それぞれの登場人物の葛藤・・・それはそれでいいのですが、観ているうちに、
「男はつらいよ」を思い出していました。
家族愛・・・それ自体はなんの反駁もありませんが、それをある意味、「これでもか」
というくらい劇中で繰り返されると、ちょっとうんざりします。
「はいはい、分かりました」「家族って大変だよね」
とでも言いたくなります。「ちょっと押しつけがましくない?」
そんなことをつぶやきたくなるのです。
そして、それは「寅さん」映画にも通じるものです。

ですから、素朴に「よかった」「感動した」「涙が止まらなかった」という感想から、
「ちょっとくどくない?」「愛の押し売りのようだ」といった感想まで、評価は2つに分かれる
のではないでしょうか。

私は作者にもっと冒険してほしかったと思います。
この劇の中の「愛」は、昔から「言い古された」ものです。何度も何度も見てきた構図そのものです。
「それはそうだ。でももっと別の切り口はなんものか」 そう思うと、なんともつまらぬ劇となってしまいます。
それをもっと掘り下げた作品としてほしかったと思います。

もう1つ。
家族の絆が得られる契機について。
それが「血の繋がりがないことの暴露」「癌の遭遇」など、ある意味「特殊」なことに設定することの是非です。
私は、上の2つを抜きにした「家族愛の深まり」を描いてほしかったと思います。
なにか特別なことがなければ、家族愛は育たないのでしょうか。
上の2つがなくても、愛は育つのだという「冒険」してほしかったと思います。

けっこう辛口となってしまいました。
しかし、この劇団の「誠実さ」については好感が持てますし、嫌いではありません。
役者さんの真摯な表現も然り。

それだけに「冒険」「斬新な切り口」がほしいのです。


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