T.NのDIARY

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1626話 [ 「ファーストラブ」のあらすじ 12/12 ] 3/5・火曜(晴)

2019-03-04 12:58:49 | 読書

 『「ファーストラブ」のあらすじ

 終章 判決・その後

[判決]

「起立」、の声が響き渡った。

 そして、判決が下った。

主文。被告人を、懲役8年に処する

 有罪。

 裁判長は、包丁を購入し、美術学校に向かった環菜が那雄人さんを人気のない場所に呼び出し、包丁が刺さった後も通報せずに、その場から逃走したことで、

確定的な殺意があったと推認できる」としながらも、

「被告人の幼少期の成育環境は、健全な心身の発達に最適な環境であったとはいえず、また、そのことを被害者や複数の人間が把握していたにもかかわらず、一定期間、継続され続けたことは、被告人の精神や被害者との関係性の悪化に少なからず影響を与えたものと考えられる」と認め、まだ年齢も若いことから、

「更生の余地があるものと判断した」と締めくくった。

 迦葉たちは納得できないという表情を浮かべていた。

 私は退廷していこうとする環菜を見た。その横顔は不思議と安らかだった

 

[裁判後]

 すぐに裁判の内容を纏めなくてはいけなかったので、クリニックに数日間休みをもらい、自宅で執筆作業に入った。

 法廷を去る環菜の穏やかな表情の意味を知ったのは、それから一週間後だった。

 診察室で届いたばかりの環菜からの手紙を開いた。

【 真壁由紀先生

  ………。

  法廷で、大勢の大人たちが、私の言葉をちゃんと受け止めてくれた。

  そのことに私は救われました。

  どんな人間にも意思と権利があって、それは声に出していいものだということを、

 裁判を通じて私は初めて経験できたんです。

  ………。

  庵野先生と控訴も検討したけれど、

 やっぱり一審の判決をこのまま受け入れようと思います。

  ………。

  自分の感情や心のこと、まだまだ分からないことが沢山あります。

  今はそういうものを、他の誰でもなく自分で書いてみたいと考えています。

  いつか最後まで書き通せたら、最初に真壁先生に読んでもらっていいですか?

  もうじき春ですね。この数か月、ずっと私の心に向き合ってもらえたこと、

 ずっと忘れません。本当にありがとうございました。

                聖山 環菜  】

 数日後、辻さんがクリニック近くの喫茶店にやってきて、私に、想像していたよりも事件が小さく収束してしまって、今の形で出しても、当初想定していた部数が見込めないので、いただいた原稿を基に、性虐待を受けた女性たちのノンフィクション本に形を変えてご執筆いただくことは難しいでしょうかと問い合わせを受けた。

 私は有名になることで、より多くの救える命が自分のもとへ届くようになってほしいから、「やりましょう」と即答した。

 今度こそ誰も死なせることなく、生きていけるように。

 そして傷ついた者たちが、いつか幸福になれるように。

 

          

 

 

 

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