T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

「まんまこと」を読み終えて!!

2010-04-15 17:51:44 | 読書

私は初めて読む推理作家?の畠中恵のまんまことシリーズ第一弾の6編連作短編推理時代小説。

 神田の町名主・高橋宗右衛門の息子・麻之助は元々評判の良い若者だったが、16歳になった時、ある事情から、自分の意思で気楽な人間になってそっと社会勉強をした。その麻之助を中心に、隣町名主八木家の息子で女好きの清十郎、堅物の同心見習・吉五郎という幼馴染みの三人が名主家に持ち込まれた調停を解決していく物語。

 調停に持ち込まれたものについて、何が問題かを明白にし、要点を衝いて解決してゆく物語が平易に書かれていて一気に読ませてくれた。

まんまこと(本当のこと)

 清十郎の家に相談に来た笠松屋は、娘・おのぶのお腹に麻之助の子供がいると言う。しかし、麻之助はおのぶとは初対面である。おのぶも父親の口喧しさからついでた名前で、本当のことは一切口にしない。

 麻之助は、ぎっくり腰の父に代わって赤子の本当の父親を探す事になった。

 麻之助は策略を考え、笠松屋の近くの長屋の周りで、おのぶが父親の名前を明かしたので、笠松屋が名主に訴える気になったとの噂を流すことにした。

 その効果があり、小倉屋の次男・半次郎が袖の下を持って麻之助のとこにやって来た。

 おのぶは小倉屋の跡取りの許婚で、半次郎は文使いをしていて、兄を妬み確かに寝間を供にしたこともあったが、兄の子かもしれないという。

 今は兄が死亡しそれも分らず、自分が跡取りになり小町娘と名の高い和国屋のおぬいとの話が出来ているので、内々にして貰おうと麻之助の要望もあり半次郎は袖の下を倍払いした。

 10日後に、半次郎の意に反して、笠松屋の調停をすることで、高橋家玄関座敷に和国屋親子も呼んだ。

 麻之助は、おのぶの赤子の父親が誰かは興味ない、大事なことは、赤子が無事に生まれ大切に育てて貰えることだろうという。そして、半次郎が袖の下として出した50両を赤子の為におのぶさんに貰ってもらうという。

 いつものきつい顔の影も消えた笠松屋は両手をついて麻之助に礼を言った。

柿の実を半分

 三池屋小左衛門の家の柿をもいだことが原因で小左衛門の話を聞かなければならない破目になった麻之助と清十郎。妻子を亡くしている堅物の小左衛門が話すのは、何時も同じで昔好きだったお亀という女のこと。麻之助達は寂しさが語らせる話で少し創ったものではないかと噂していた。

 ある日、お亀の子供だといってお紺という女がお亀の形見を持って小左衛門の前に現れた。

 小左衛門は自分の子に間違いないので、人別に載せてくれと調停をしてきた。

 数日後の高橋家玄関座敷の調停の場には、思いもかけず小左衛門の兄と弟と従弟も付いてきていた。兄弟達は相続される金が減るから子供とは思えないという。

 麻之助は吉五郎の岡っ引に調べさせたら、お紺の勘違いでどうも衛門違いだと判ったので、次の調停の場では、小左衛門の子供ではないことを伝え、全員が納得して終わりとした。

 10日ほど経って、麻之助と清十郎は小左衛門に後添いを貰ったらどうか、相手はお紺だと言ったら喜んで了承し、これから毎年、この柿の木にできる実の半分を自由にもいでくれと言う。

万年、青いやつ

 とうとう麻之助にも縁談話が持ち上がった。吉五郎が持ってきたのだが、相手は吉五郎の縁続きの武家の娘・寿ずで、想い人がいるという噂が立っている。

 そんな時に高橋家に万年青を巡る争いの相談が松野屋から持ち込まれた。

 万年青の愛好会の披露会があり、済んだ後に持ち主札のない鉢が1つ残ったのたが、持ち主が二人現われた。松野屋と安助だ。今は植木屋に預かってもらっているとのことだ。

 松野屋と安助に麻之助が尋ねると、両者とも実から作った羅紗の小葉種だと同じことを答える。その後、植木屋に実物も見に行った。寿ずは今日一日麻之助に付いてきたが、明日、噂の人に会ってくれという。

 寿ずは麻之助の縁談を口実にして、子供の時から好きだった水野又四郎の見舞いのための外出をしていたのだ。

 寿ずの案内で病人の又四郎に会った。又四郎も万年青の事をよく知っていて、今度の事にも関心があったのだ。

 又四郎は、本当の持ち主は、大事な万年青だのに肝心の鉢のことについて言及していないので両者とも持ち主と違うと言う。

 麻之助も同じ意見だが、真の持ち主は植木屋の金太郎という奉公人だという。

 奉公人は新種の万年青を作っても店の収入になるだけなので、金太郎は持ち帰った人から安く買い戻し自分のものにするつもりだったとの証言を得たという。

 後日の調停の場では、両人とも持ち主ではないと言うだけに終えて、金太郎のことは植木屋の内情の事なのなので口に出さなかった。

 その後、金太郎から植木屋の主人に辞めたい、餞別の替わりに万年青を一鉢欲しいと持ち帰った。主人に新種と見抜く眼力が無かったのだ。

吾が子か、他の子か、誰の子

麻之助の家に、年配の武家の大木田七郎右衛門が清十郎の弟・幸太が自分の孫だと言って来た。

 幸太の母親のお由有は麻之助の幼馴染みでもあり、清十郎の継母でもあるので変な噂が立たないように事の真相を早く調べたいと麻之助は清十郎や吉五郎に協力を頼む。

 国許の七郎右衛門へ息子・松三郎が江戸で亡くなる前に、江戸に子がいるので金子が入用だとの手紙が来たので、今回の出府を機に調べたのが、その子がどうも幸太と考えられるとのことだった。

 麻之助達は、その手紙を見せてもらおうと、七郎右衛門を藩屋敷に訪ねる途中で、急ぎ足で先を行く当人にあった。七郎右衛門は、昔の知り合いのおかくという女によく似た娘につけられていて怖くなって急いでいたという。

 早速手紙を見たが、幸太という名前は無く、さらに子が出来たのではなく子に出会ったとだけで、他に四人の女の名前があり、その中に確かにおゆうという名前があった。

 調べた結果、そのおゆうは、松三郎が居た下屋敷の近くの茶屋にいたし、子供もいたが、しかし、その付近の茶屋にはおゆうという名前の女は多くいたことまで分った。

 七郎右衛門の後をつけていた女が麻之助達が調べている後をつけて来ていたので、尋ねてみると、松三郎と知合いになり、偶然にも義理の妹ということまで判ったのだが、暫く会えなかったので、藩屋敷の前で待っていたらよく似た七郎衛門に会ったのだと言う。名前はおむめという。手紙にもその名前があった。

 麻之助は七郎右衛門に来てもらい、幸太の母親は神田にいたので松三郎の行動範囲からしてあまり離れすぎていて会うことはありえない、松三郎の手紙には子供に出会ったとしか書いてないと話をして、別室からおむめを連れてきた。

 おかくの娘のおむめだと七郎右衛門に引き合わせ、これから先は町名主の手に余りますと言って、顔を赤くする七郎右衛門の前に、おむめの住所を書いた紙を差し出した。

こけ未練(思い切りの悪いこと)

 寿ずから又四郎が会いたいので行って貰いたいとの便があり、麻之助は清十郎を誘い又四郎宅へ行く道すがら、清十郎から一両借りて高い羊羹を土産に買った。その菓子司で飼い主が判らない狆を拾ったまま仕方なく抱いて外へ出た。。

 今度は臥煙に囲まれていた娘を助けた。その娘はおしんと名前だけ言ってその他のことは何も喋ってくれない。麻之助はそれでも面倒を見ようとするので、清十郎が許婚を押し付けられている寿ずや又四郎に会いたくないからだろうとひやかす。

 そこへ狆の飼い主の女中が岡っ引を連れて追いかけてきたので、都合よくおしんも家への送り返すことを岡っ引に頼んだ。

 遅れて着いた又四郎宅で、又四郎から麻之助の腕を強く掴まれ、寿ずを頼むといわれたが、好きだったお由有のことが忘れられず、どうしても確とした返事が出来なかった。

 お由有が源兵衛の後妻になる前に、お由有が麻之助にそのことを告げた。

 麻之助はどうしてと聞くのが精一杯だったが、それに答えてお由有からお腹に赤ん坊がいるのだが、父親になってくれるかと言われ、麻之助は自分の力の無さに一言も言えなかったことが、いまだに忘れられないのだった。

静心なく

 幸太が誘拐された。家に文が届けれられ五十両用意しろと書いてあった。源兵衛は心労のあまり卒中で倒れ、吉五郎の岡っ引や下っ引も手助けする。

 たまたま、高橋家に又四郎が亡くなったので麻之助との縁談を断りに来た寿ずも喜んで手伝う事になった。

 麻之助は、町名主の八木家に調停を頼みに来た事件の中で、不平を持っていると思われる者から犯人を絞っていき、青竹屋の跡取りが固く禁止されている賽子賭博に出入りしていて、父親からの申し出て人別から外され勘当されたが、その息子の頼みで、母親はたかが博打といった感覚で息子を助けたい為に博打の借金五十両を取ろうとしたのだろうと考えた。

 寿ずも同じ考えで、先に青竹屋に走っていた。麻之助達も追いつき幸太を助け出すことができた。

 後日、寿ずと麻之助の両方の親が良縁だと縁談を勝手に進めてしまった。結納の朝が来て、麻之助は、これが年貢の納め時かと思っていた。

   

 

 

 

 

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