T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

[ 「ホワイトアウト」を読み終えてー2/6ー ] 4/26・日曜(晴)

2015-04-25 13:34:40 | 読書

◇ 二月 奥遠和

 (ダムを占拠したテロリストの人質となった親友の婚約者と所員達を救出するため、

 単身闘いを挑むダム運転員・富樫)

 1. (千昌は、迎えの岩崎の車で奥遠和の山へ向かう)

 千昌は、奥遠和ダム行きを、直接、地元の電力所に頼むと、ぜひにと言われ、その本人の岩崎課長が新幹線の駅まで迎えに来てくれた。

 天候が崩れるようなので麓の電力所で様子を見るか、直ぐにダムまで行くかと尋ねられて、千昌はダム行きを要望した。

 車中で、岩崎は冷えるからと和志の防寒着を渡してくれた。千昌は、わざわざ自分のためにと、防寒着を抱きしめ、その中に顔を埋めた。

 2. (千昌を開閉所で待っていた富樫は、

    登山する不審者を発見した村瀬の後を追う)

 山で生き残った者の最低限の務めは、遭難で死亡した友の遭難状況を関係者に知らすことである。富樫は吉岡の両親にはお知らせしていたが、婚約者の千昌へは、その機会が無かった。

 富樫は岩崎から千昌が送電開閉所に来るとの連絡を受けて、開閉所の横の職員宿舎の1号館で、今朝までの仕事を終えて仮眠し、昼前に目を覚まして一階の食堂に向かっていた。

 途中、保安係長の村瀬から、丸山への林間コースの斜面を登っている不審な二人組のパーティーがいるのだと知らされた。富樫も、リフト乗り場に急ぐ村瀬の後に続いた。

 3. (岩崎が、トンネル内に停車している不審者を詰問した瞬間、射殺される)

 千昌を乗せ、岩崎が運転するライトバンが、全長25kmのシルバーライン(殆どトンネル)の入口ゲートに来ると、通行止めの看板がある傍の車止めの代わりに張られたチェーンが切れていた。岩崎は、事件性や危機感を感じずに県の道路課へ連絡し、最後の11号トンネルに入って暫くすると、大きく膨らんだ路側帯に、ランドクルーザーが停車していた。

 岩崎は、所沢のナンバープレートから不審に思い、車を降りて詰問すると、次の瞬間、轟音がして岩崎の身体が後方に跳ね飛んだ。射殺されたのだ。

 4. (レストハウスの屋上に上っていた不審者から村瀬が射殺された。富樫は助かる)

 村瀬と富樫が2本のリフトを乗り継いで、丸山の山頂のレストハウスの手前まで行くと、2人の不審者がレストハウスの屋根に上がろうとしていた。

 先にレストハウスの近くに到着した村瀬が屋上を見ると、彼等はパラボラアンテナを破壊し、無線通信網を妨害しようとしているように見えた。何をしているのかと詰問した村瀬は、屋根の不審者から容赦なく射殺された。富樫は再び銃声がなる中を樹林帯にようやく逃げ込んだ。

 5. (不審者集団にトンネルは途中で破壊され、千昌は人質になる)

 岩崎を射殺した後、車から4人の男が出てきて、部隊長と呼称される男が、戸塚と呼ばれた男を千昌の見張りに残し、あとの3人が車の後方のトンネルの側面を掘削機で穴をあけた。

 その間、監視の戸塚は、千昌が乗る車のガラスを叩いて吠える犬を足蹴にして遊ぶようにいたぶっていた。

 不審者たちが乗っていたランドクルーザーに、戸塚と太った男が乗り、千昌が乗ってきたライトバンに部隊長と長身の男が乗り込んできて千昌を乗せて少し進み、トンネルに仕掛けた爆薬をリモコンで爆発して塞いでしまった。

 これで、奥遠和と麓の町を繋ぐ唯一の道のシルバーラインは完全に塞がってしまった。不審者達は、自らの手で自分達の退路を断ったことになったのだ。

 2台の車がシルバーラインの出口が見えたところに来て停車した。千昌が驚いたことには、前にもう1台ランドクルーザーが止まっていた。仲間が待っていたのだ。

 ライトバンを先頭に、3台の車で発電所に乗り込み、「赤い月」(テロ集団)と名乗り占拠した。

 6. (富樫は不審者に追われながら監視小屋などから開閉所等に電話する、

    しかし、不通になっていた)

 小銃を撃ちながら、不審者がレストハウスの屋根から降りて追ってきた。富樫は、滑走コースを避けて滑降禁止の急斜面に体を投げ出した。

 身体を傷めたが、敵から逃げることができて、リフトの監視小屋に逃れ、開閉所に電話をかけたが、何処ともつながらない。

 1号館まで行けば連絡がつくだろうと、下りのリフトに乗り、1号館の前まで行くと、2階の窓に不審者を見つけた。相手も富樫を見つけ、自動小銃を連射しながら追ってきた。

 富樫は先ほどの大きい音や不審者の状況から開閉所が占拠されていると推測して、スキー客の宿泊先の湖畔荘の2階から中に入った。

 中で公衆電話を使ったが、ここからも電話がつながらない。外を見ると、銃を持った男達が、こちらに向かって、開閉所を占拠した、と怒鳴りながら追いかけてくるのが見えた。

 7. (テロリスト集団「赤い月」に発電所が占拠される)

 「赤い月」に開閉所が占拠されるまで、時間はかからなかった。徒手空拳の所員達には、何もできなかった。

 侵入者は二手に分かれ、戸塚と小太りの男、そして、別のランドクルーザーに乗っていた角刈りの男の3人は、玄関先に出てきた3人の所員に手錠をかけ廊下の隅に並べさせた。

 部隊長と笠原は、千昌を連れて制御室へ踏み込んで、3人の所員の自由を奪い、千昌も制御室の前で手錠をかけられた。そして、運転マニュアルとマイクロ波による遠方制御システムの回路図の提出を要求して、手に入れた。

 千昌は、笠原がその資料を見て発電設備の制御方法を学習しているようにみえた。また、部隊長はトランシーバーを出して、C班に呼びかけた。C班から、B班はトランシーバーを持っていなかったのだろう、B班の様子を聞いていた。B班(レストハウスの屋上)は所員の一人(村瀬)を金子が始末し、もう一人の所員(富樫)を戸塚が追いかけたが逃がしたようだとの報告を受け、部隊長は、戸塚に戻るよう連絡しろと指示した。

 8. (富樫はトンネル内の電話と抜け道から外部への連絡を試みた)

 富樫は湖畔荘の電話が通じないので、外部へ連絡する残された方法を考えた。

 三つあった。一つはシルバーラインのトンネル内に設置された非常通話、もう一つはトンネル内の途中から採石場に通じる抜け道、残りは8km下流の大白ダムへ行くことだが、距離から見て最初の二つを試みることにした。

 侵入者に見つからぬよう迂回してトンネルの入口に行き、トンネル内を進むと非常電話は壊されていた。その先を進むと、トンネルが崩壊していて、そのそばに岩崎課長の死体があった。抜け道もなくなった。

 9. (長見警察署に「赤い月」から発電所占拠の無線が入り、長見市内が停電)

 署長が出張していた長見警察署のUHF帯広域署活系無線におかしな電話がかかってきた。担当の福井警邏課係長から奥田副署長に連絡した。奥田はヘッドホンから入る無線の音声に自分の耳を疑った。

 「奥遠和発電所は我々が占拠した。そのため、奥遠和を初めとする遠和川水系九つの発電所は我々の管理下に入った。そして、所員11名、怪我はなく我々の監視下にある。政府の要職者に連絡が取れるようにして貰いたい。連絡方法はこの無線を介するしかないので、こちらから全て連絡させてもらう。」

 奥田副署長が県警本部と署長に連絡しろと命令した。その時、蛍光灯が一斉に明かりを失った。道路の信号灯が消え、署内のあちこちの電話に、市役所や市営バス営業所などから問い合わせの通話がかかってきた。発電所からの電気がストップしたのだ。

 10. (富樫は外部への連絡のために大白ダムに行くことを決意した)

 富樫は、不審者による開閉所占拠の事情を把握し、千昌を救うためには、大白ダムまで8kmの雪の中を歩かねばと決心した。

                                   (次章に続く)

 

 

 

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