タツミ「新着ニュース」

タツミは明治30年創業、静岡県掛川市で最初のガスやさん。ガス事業プラス、電気、リフォーム、建築家紹介など行っています。

プロセス紹介 A邸の場合

2018-06-24 10:20:18 | プロセス紹介
プロセス紹介 A邸の場合
(1)フロムフォーとの出会い


Aさんの場合、「子どもが小学校に上がる前に家を建てたい」という漠然とした希望はあった。
「とはいえ、掛川のことをよく知らないし、工務店もわからない…」
「建築家という選択もあるけれど、敷居が高そうだな」
「設計料がものすごく高かったら困るし…」
そんなふうに感じていたという。

Aさんは奥さんともども兵庫県出身の30代。子さん2人の4人家族だ。
仕事で掛川に来るまで、掛川とは無縁だった。

そんなとき、インターネットのホームページでフロムフォーのことを知った。
「へえ、地元の建築家を紹介してくれるところがあるんだ…」
「掛川にも、建築家って意外とたくさんいるんだな」
フロムフォーの場所を確認すると、住んでいるアパートのすぐそばだった。
ある日、マイホームセンターの帰りに、
「近いから、ちょっと行ってみようかな」
と思った。
そんな軽いノリの始まりだったという。



(2)「どんな間取り」ではなく「どんな暮らし」~

フロムフォーに来たお客さんには、まず趣味を聞く。
家を建てるとき大切なのは「どんな家を建てたいのか」や「どんな間取りが必要なのか」なのではなく、「その家でどんな暮らしがしたいのか」だからだ。
趣味を聞き、暮らしを聞き、「じゃあ、家を建てたらこういうことをしたいんだね」というライフスタイルの話をする。

Aさんと話をしていく中で、自分の自己紹介もした。
以前は住宅メーカーにいたこと。今は設備の仕事をしているので、そうした関係から地元の建築家と接する機会が多いこと。自分自身「建築」が好きだということ。フロムフォーという仕組みを作ったいきさつなども。

「建築家」というのは本当に様々だ。
クセのある人もいれば、ない人もいる。豪快な人もいれば、繊細な人もいる。いかにも建築家っぽい人もいれば、ごくごく普通に見える人もいる。それぞれに建築に対する考えがあり、こだわりがあり、人柄もいろいろだ。
一緒に家づくりをするパートナーとして、相性のいい人と家づくりをしてほしいなあと心から思う。そんなことを思って、フロムフォーを始めた。

Aさんが、フロムフォー内の「建築家ファイル」をめくっていく。
「この中の、この人とこの人が気になるなぁ…」
ファイルを手に、Aさんがつぶやいた。

(3)紹介する前に、まず外観を見に行った

以前、掛川市には「静岡県木造住宅館」があった。静岡県建築士会小笠支部が県から依頼され運営を行ってきたもので、建築士会に所属する建築家が交代で来館者の対応にあたった。
家づくりのこと、木造建築のことなど、当番にあたった建築家が家づくりに関する様々な相談に乗る。相談員名簿は地元建築家のファイルでもあったし、館内には地元建築家の作品ファイルも置かれていた。ここで多くの生活者と建築家が出会った。
何のしがらみもない自分が、こうした仕事ができればいいなあと思った。生活者と建築家をつなぐ仕事、人と人をつなげる仕事。
建築が好きだから、やっているとも言えるのだけれど…(笑)。

さて、Aさんが気になるといった2人の建築家。
「天気もいいし、2人の設計した家が市内にあるから、ドライブがてら外観だけでも見に行ってみますか?」
Aさんは「ぜひに!」と言った。

何日かに分けて、2人の設計した家を実際に見に行った。
先方の都合もあり、中を見せていただけることもあれば、外観だけのときもある。
数件を見てまわり、Aさんが言った。
「この建築家の建物がいいなあ…」
「でも、建築家に頼むとどのくらいかかるんだろう…」とも。



(4)三角形の土地、だからこそ建築家

どこで建てるのか考えるのと同時進行で、Aさんは土地も探していた。
ホームページで様々な物件を見ていく中で、気になる土地があった。
掛川市郊外ののどかな場所にある、三角形の土地だった。

四角い土地でないことから、予算よりかなり安い。敷地の面積も十分にあった。
「場所的にもいいし、広さもいい。三角形の土地で問題なければ買いたいけれど、どうしよう…」
ちょうど、近所に消防の仲間がいたことから、その周辺がどんな感じなのか聞いてみた。

掛川と関わりのない夫婦だけど、新しい人を受け入れてもらえる土地なのかな?
近所づきあいは?
近くに同じ世代の家族はいるの?

知り合いを通じて聞いてみた結果、大丈夫だとわかった。組長さんにも挨拶できた。近くに知り合いができたことで、Aさん夫婦も心強さが少し増したようだった。

前後するように、Aさんが「会ってみたい」と言っていた建築家とも会った。
話を聞いた建築家は、土地の図面を見て「土地の形は全然問題ないよ」と言った。「例えばこんなふうに…」とイメージも示してくれた。
同時期、住宅メーカーにも土地の形で相談したけれど、「商品としてある形」を土地の上に乗せただけの提案しかされなかった。建築家が示してくれたイメージには、自分の暮らしのイメージがあった。

もう1人、別の建築家とも会った結局、はじめに会った建築家に設計をお願いすることになった。
はじめ、まったく考えていなかった「建築家と家を建てる」という選択肢が、決して夢でも無理な話でもないことが実感できたとAさんは言った。
「土地が安く買えた分も浮きましたしね(笑)」



(5)建築家との打ち合わせに同行

一緒に家づくりを進めることになった建築家から図面案の提示があり、Aさんの家づくりも本格的に動き出した。

今日は、図面案に対して、Aさんご夫婦の要望を一つずつ確認していく。
まずは建築家が頭の中でイメージしている空間を、どれだけ伝えられるが大事なのだと思う。そして、Aさんご夫婦の修正点を、表面上の修正ではなく「なぜ、そうしたいか」を根本から理解することが建築家には必要だ。
その橋渡しが、少しでもできればと思っているし、それがフロムフォーの役割だとも思う。

(6)「音」も重要な情報

奥さんから、キッチンの流し台正面に窓をつけたいという希望があった。流し台の正面は、玄関前のポーチの位置になる。
「郵便やさんが来た」
「お隣さんが回覧板を置きにきてくれた」
といった気配を何となく知りたい、というのが理由だ。
実はこの「何となく」がポイントで、こちら側が見えすぎても落ち着かないし、気配を感じ、風も通るけれど、目線を遮ることが大事な要素となる。

建築家のTさんと話をしていく中で、次第にイメージが固まっていく。まだ仕様は決まらないものの、奥さんもほっとした表情だ。
一つ一つ丁寧に進められていくのが、建築家との家づくりの特徴かもしれない。

建築家Tさんの、「気配を感じるとき、『音』も重要な情報になる」という言葉が印象的だった。

(7)建築家と家づくりをすること

建築家と家づくりをすることのメリットは、例えばAさんのお宅の場合、変形した敷地を最大限に活かした建物を考えてくれる、ということだ。敷地の中に家をはめ込むのではなく、住む人の希望、採光、通風、その土地の気候や風土などを最大限に取り込んで創造していく、ということなのだと思う。

建築家のTさんに、逆に「フロムフォーがあいだに入ることのメリットって、何でしょうね?」と聞いてみた。
三つある、とTさんは答えてくれた。
「一つ目は、家づくりをしようとする人が、直接、建築家にアプローチしなくてもいいということ。直接話をすると断りにくくなるのではないか、という一般的な不安を解消できる。建築家とのあいだにワンクッションある、というのがいい。
二つ目は、複数の建築家の持ち味や方向性を知ることができるということ。ホームページなどで知った情報だけでなく、生の声が聞ける。例えば、写真を見ただけでは気づかなかった経緯やエピソードを知ることができる。
三つ目は、事前に、建築家の建てた家を見ることができるということ。少なくても、外から外観を見ることはできる」

生活者の立場に立ったとき、フロムフォーの役割というものが少しはあるのかな、と思うのだ。

(8)完成見学会にて

2011年11月5日6日、A邸の完成見学会が行われた。

30代のご夫婦+お子さん2人の住まい。
三角形になった特徴ある土地を活かしながら、
緑に包まれたのどかな環境の中に、
やさしく佇む清々しい木の住まいを、
地域の建築家と一緒に、つくりました。

見学会のチラシに書いた言葉だ。

家づくりは、「どんな暮らしをしたいのか」を常に考えていくプロセスのように思う。少しわかりやすくいえば、何LDKという間取りの上に人が暮らすのではなく、暮らしの上に家の間取りやスタイルがあるということだ。だから、自分たちのスタイルを紐解き、言葉で伝えることが大切になる。
でも、誰もが自分のスタイルを言葉にできるわけではない。漠然としたイメージを持っているくらい。
それを、じかに建築家や施工会社や建築メーカーに形にしてもらおうとすると、どうしても建築家のスタイルや会社の方針に引っ張られることになる。だからこそ、間をつなぐ、フラットな立場のフロムフォーの存在意義があるのかなと思うのだ。
Aさんの場合も、趣味の話から、また何気ない会話での言葉の端々から「Aさんはこの建築家のスタイルと合いそうだな」とか「家づくりのプロセスはこの建築家とマッチしそうだな」といった印象を読み取る。そうしてはじめて、登録建築家のファイルを見たり、家を見に行ったり、という具体的なプロセスに入っていくのだ。

さて、建築家との橋渡しをするようになってもう7年以上が経つが、家づくりの進め方は本当に様々だ。
今回の建築家Tさんは、どんなふうに暮らしたいのかを「まず、ラブレターとして書いてほしい」と依頼する。文章からのインスピレーションも大事にして、形にしていくタイプなのだ。
Aさんは、夫婦別々に「自分はこういう暮らしがしたい」とイメージをしたためた。
そのラブレター、Aさんの了解を得たので公開します(笑)。



(9)奥様のラブレター

完成見学会当日、奥様が最初に書いたラブレターを建築家のTさんが持ってきた。「自分がどういう暮らしをしたいのかラブレターとして書いて下さい」というTさんの依頼にこたえてのものだ。

B5のノートにびっしり書いてある。一番上に「マル秘」と書かれているのは、ご主人には内緒の「奥様の想い」だからだ。Tさんは、夫婦で話し合う前に、まずそれぞれの暮らしへの想いを言葉にさせる。そこから想いを伝え合い、話し合い、寄り添ったり、ときには妥協し合うことで、夫婦の、そして家族としての想いに進化させていく。

奥様のラブレターの冒頭には、こんな言葉があった。
「『あっ、この家、気持ちいい!』と思える家に住みたい」
「家と外との境界がゆるい家。いつも外を感じられる家」
今、こうして家が形になり、最初の想い、そのままの住まいになった。

奥様に、「これからこの家に住むにあたって何が楽しみ?」と聞いてみた。
「全部!」
答えは明瞭だった。

「家を作っていくプロセスの中で、『建築家に頼むなんてすごいね』とよく言われました。私自身も、まさか建築家に家を設計してもらうだなんて、考えてもみなかったんです。建築家に頼むのって、お金持ちだったり有名人だったり、うんとゴージャスな家を建てる人だったり、そういう特別な人たちが依頼するものだってイメージがあり、私たちのようにごくごく普通の家族が頼むようなものではないって、どこかしら思っていたんです。でも、建築家と家づくりをしていく過程で、普通の家だからこそ、お金がうんとあるわけじゃないからこそ、建築家にお願いすることによって自分たちらしい家が作れるんだって実感しました」
そして奥様は、家の中を気持ちよさそうに見まわしながら、こんなふうに言ってくれた。
「敷居が高いと思っていた建築家と引き合わせてくれたフロムフォーに感謝です。『近所だからちょっと寄ってみた』という主人の気軽な行動も、『よくやった!』とうんと褒めてあげたくなりますね(笑)。だってそれが建築家のTさんとめぐり逢い、今、この家があることにつながっているのですから」



(10)幸せな組み合わせによる家づくり

幸せな組み合わせが実現した家づくりだったね、と振り返るのは建築家のTさん。
「施主、建築家、施行業者、そしてフロムフォー、みんなの波長が合ったんでしょうね」
この言葉は嬉しかった。みんなを結びつけたフロムフォーの存在意義そのもののような気がしたからだ。

「Aさんの漠然としたイメージを聞き、平面図をスケッチし、模型を作ったとき、ああ、この家はいい家になるなと思いました。平面のイメージが立体的に立ち上がった瞬間でした」
Tさんは、施主の「こんなふうに暮らしたい」を、生活の具体的な動作までも落とし込んで設計に反映させていくタイプの建築家だ。家事動線をいかにコンパクトにプランニングするのか、そのあたりは、たぶんTさん自身が家事をけっこうしているのにも関係していると思う。主婦感覚がわかるんだと、Tさんは普段から言っているから(笑)。

Tさんの発言で印象的だった言葉。
「三角形の土地を、どう料理しようか」
「この家はコンパクトだけど、家の中を子どもたちが走る距離はとっても長いね」
「設計とは、どうプランニングし、どう生活を作り上げていくかだ」
「生活って、きれいごとだけでは済まされないからね」

最後のひと言は、実感こもってたなあ(笑)。



(11)家族とともに成長していく住まい

今回の家づくりで施工を担当したのは、地元の工務店 株式会社S建設だ。
社長が大工から会社をおこした人だから、木の家づくりに強い。自然素材を活かした家づくりは、若い世代を中心に増えている。

さて、このS建設の社是は「引渡しを以って半ばとする」だ。引渡しでおしまいなのではなく、そこから長いおつきあいが始まるということだが、それはフロムフォーも同じだ。
建築家との住まいづくりレシピ館「フロムフォー」として、また住宅設備の「タツミガス」として、これから長いお付き合いになる。
「火がつかないよ~」
「お湯が出ないよ~」
生活していくうえで出てくる様々なハプニング。その都度、関わっていくことになるわけだが、実はそうして訪問できることをけっこう楽しみにしている。それは、子どもたちが大きくなっていくように、家も成長するからだ。人が暮らすことで、様々な味つけがされ、家も味わい深くなっていく。それを見るのが楽しみなのだ。

奥様同様、Aさんにも「この家に暮らす楽しみ」を聞いてみた。
「会社から家に帰るときが、楽しみかなあ~(笑)」
Aさんには最初から、まだ建築家の誰とも会っていないときから、「こうしたい」というイメージがあった。だから、お仕着せの、最初から形ありきの家づくりでは「何かが違う」と感じたのだ。
建築家との家づくりはエネルギーがいる。与えられるものをそのまま享受する方が楽(ラク)に決まっている。でもAさんは違った。だから、それぞれのプロフェッショナルな関係の中で幸福な家づくりが実現した。

自分の暮らし方は生き方そのもの。
Aさんに出会って、改めて感じたことだ。

さあ、引渡しも終わったことだし、ひとっ走りしてこうようかね。今日の気分はロードバイクかな(笑)。





電気、始めました。

2016-04-01 16:06:25 | お知らせ
タツミでは、電力自由化により電気の取り扱いを開始しました。
エネルギーを一系統にまとめることへの疑問から、太陽光やIH、薪ストーブ等の販売も行っており、お客様ひとりひとり、ご家族ひとつひとつのライフスタイルに合わせられる幅の広いサービスを目指しています。

ガス料金とセット割引が可能ですし、最適プランの無料診断も行っています。
まずは、お気軽にお問合せ下さい。

■公式ホームページはこちら
http://www.k-tatsumi.com/

■お問合せはこちら
〒436-0074
静岡県掛川市葛川1080   
TEL.0537-22-0032
FAX.0537-22-0132
E-mail info@fromfor.com