多摩市総合福祉会館のある交差点を右折して鶴牧台方面に向かい坂道の下りを選んだら住宅街に迷い込む、名称はメタセコイア通りと云いメタセコイアの街路樹が続く、木々の枝葉半分以上葉が落ちてオレンジ色のレースのカーテンのようだし道路には細かく積もった枯葉がオレンジに染まり絨毯みたい、まるでオレンジ色の空気の中を走っているようで気持ちよかった。
そこを通り抜け坂道をさらに下ると突然視界が開け大きな街の広場が現れた。街はクリスマスのデコレーションで飾り、沢山の人達がショッピングや散策を楽しんでいた。多摩センターだ。
そこで多摩都市モノレールを発見、しめたこれをたどれば多摩動物公園に行ける。張り切って進もうとしたらもう一つ丘が有り自転車を押して登るハメに、中央大学の脇を過ぎやっと下り坂、坂を降り切ったところでようやく動物園の入り口にたどり着いた。
入場券を買い入ろうとしたら入り口の女性が年齢を証明するものを見せて下さいと言う、免許証も健康保険証も持って居たが出すのが面倒なので帽子を取って頭を見せ、さらに問うので生まれた年を言ったら通してくれた。
公園内に入り時計を見たら1時20分、帰る時間を考えるとそんなにゆっくりと見学できないナと思い絞って見ることにした。
ある程度の動物の写真は撮った。最初にマレーバクの檻に、しかし見当たらない、探すと真下の壁に張り付いて寝ているが全体が見えない、カメラを下に向け手を伸ばしてシャッターを押したら撮れた(写真右上)、しかも2頭いた。面白いことに前に寝ていたところの落ち葉がペシャンコになっていた。2頭とも爆睡中、どんな夢を食べているのだろう?
次に目に付いたのはインド犀、かなり広いスペースに一頭、あらぬ姿で寝ている、獣舎の裏側にもう一頭、こちらは眠っていなかった。ウッウッウッウと小声で声をかけるとこちらに気づき見上げてくれた。正面から見る犀の顔はなかなかユーモラスだ。
犀を見終わってから休息所で家から持ってきた最後のマフィンとアクエリアスで昼食、少し休んでからトラ、アジア象とシロテテナガザルを見る。
虎は2頭、崖の中腹にいて動き回っていた。毛皮がとても美しく威風堂々として素晴らしかった。アジア象も2頭、一頭は奥に向いたままで写真にはならずもう一頭は逆光だったが声をかけたらこちらをチラと見てくれたような気がした。シロテテナガザルはアクリルガラスに張り付いていたのでカメラを向けたら興味深くレンズを覗き込んでくれた。
次はユキヒョウの檻に、猫の4倍くらいの大きさか尻尾が長く毛皮の柄は虎に負けないくらい美しい。これも2頭いてかなり活発に動き回りナカナカ写真を撮るのが難しい。檻のそばには大きなカメラを持ったオッサン達がたむろしていてなおさら撮りにくい、そんんな中、一頭が崖の上に登り遠くの空を見ているように思えた。きっと故郷のヒマラヤの山々に思いを馳せているのだろう。
隣の檻もユキヒョウだ、こちらは一頭でやはり動き回っている。この檻には観客はわずかだった。しばし眺めていたが私が裏声でニャーと言ったら、ちょっと低い声でウニャーウと返事をしてくれた。それを五・六回繰り返した。とても驚きとても嬉しかった。これだけで今日ここに来た甲斐があったと感じた。感激!
去り難い思いを断ち切り次のレッサーパンダの処へ、この動物はどこの動物園でもセカセカト動き回っていてその可愛らしさで皆を楽しませてくれる。癒される動物だ。
最後に訪ねたのは以前から見たいと思っていたオオカミだ。広々とした草原を模した中、5・6頭のオオカミが寛いでいた。イヌ科の中の王者らしく貫禄充分だった。因みにオオカミの尿を薄め、電信柱に塗りつけて普通の犬に嗅がすと小型犬は震えだし、大型犬もヨダレを垂らしシッポを丸めて恐れるそうだ。それだけの迫力が確かに感じられた。
今回はこれだけ見て帰ることにした。もう2時半をとっくに過ぎている。帰りも道を急ぎすぎまた道に迷う、鶴見川へと思いつついつの間にか稲城市や登戸方面に向かっていた。何とか柿生経由で鶴見川のサイクリングコースに、川沿いを東名高速を横切る時は既に日が沈み、前照灯をつけて走るが時たまサイクリングや散歩している人にすれ違う程度だ。チョット離れて灯りは見えるが川沿いは真っ暗だ。月が道をかすかに照らすが心もとない、与謝蕪村の「月天心貧しき町を通りけり」と呟きながら走り、鴨居大橋にたどり着いた。
そこで買物を思い出しララポートのイトーヨーカドーに立ち寄り食料の買い出し、その際試食コーナーで野菜スープ、ハムと野菜ジュースを口に入れる。鶴見川に着いた時から空腹を感じ体が要求していたせいだ。はしたなかったかも?
家には6時過ぎに着き、片っ端からアップルパイ、ミックスナッツ、プリン、ヨーグルトと食べ、ボーットしてしばらくテレビを眺めていた。夕食は9時過ぎだった。
それから撮ってきた写真を眺めていたら12時過ぎてしまった。ユキヒョウの声を思い出しなかなか寝付けなかった。今度行く時はもっと早い時間に出かけ見れなかったアフリカ地区やオーストラリア地区もゆっくり見たいと思った。