ぱんくず介護録

在宅介護事情。

2013大晦日

2013-12-31 23:51:07 | 入院生活
今日大晦日は仕事休み。
買い出しに行く。


大晦日なのに小春日和、手袋無しでも指がシバレない。
風は強いけど冷たくない。


買い出しと言ってもじじがもう在宅介護ではなくなったので
気張って炊事に明け暮れる必要は無い。
眠いのを頑張ってオムツ交換に深夜起き出す必要も無い。
大晦日の昼の冷たいとろろ蕎麦、夜の温かいかしわ蕎麦も必要無い。
旨煮も、厚焼きのだし巻き卵も、きんぴらも、なますも、茶筌茄子も必要無い。
お節料理の折り詰めも必要無い。
鯖の押し寿司も、刺身の盛り合わせも必要無い。
色々な種類の雑煮も七草粥の仕込みも柚子を乗せたお汁粉も必要無い。
春迎花も鏡餅のお供えも飾る必要は無い。
大晦日にテレビの第九を見ながらの珈琲も必要無い。
21:45の行く年来る年ご~~~んから日付の変わる瞬間の乾杯も要らない。
色々な食材の下拵えも時間毎のオムツ交換もベッドから車椅子への移乗も、
洗い物と掃除と片付け物と洗濯でくたびれる必要も無い。
あれもこれも要らなくなって時間を自分のいいように使えるかと言えば
仕事の休みは今日と明日の二日間だからこの二日で出来る事をやらなければならない。


いつもの道に来た。
じじがまだ独居で在宅介護の頃、ヘルパーのシフトや通院介助、受診日程など
キーパーソンがしなければならない諸々の相談をケアマネやヘルパー事業所責任者相手に携帯で
話しながら毎日この道を歩いた。

                    

最近生活圏と行動範囲が変わって滅多にここを歩かなくなった。


いろいろ買った。
近所のスーパーで正月飾りの出来るだけ小さいのを探した。
百均で買ったのも合わせてじじの病床に飾る。



昨日じじが気に入って握って離さなかったガラス玉入りの赤だるま、小さい模造門松、模造の苔球。
病室に生の植物は持ち込めないので見た目の雰囲気だけ正月。


じじ宅の窓から夕日が見える。
2013年最後の日の入り。

                    


日が暮れた。
なるほど明日には何か降りそうな西の空。

                    


じじの病院に行くと、じじは懐にねこ山さんを入れて寝ていた。
看護師が懐に抱かせたらしい。


一つ一つ見せてから、病床に正月っぽいものを飾る。

                           


床頭台の上がごちゃごちゃ狭くなった。
正月だけと看護師に断って置かせて貰った。

                    


真ん中の金色の馬の置物は鈴になっていて、振ると素朴な焼き物のコロコロという音がする。
新年の干支、金馬の鈴。

                    

じじはこれを気に入ったのか右手に持ってしばらく振っていた。
左手は拘縮して動かない。


お父さんは年男か?と聞くとじじは頷いた。
年男、年が明けたらじじは84歳。
一族の最長寿記録を更新した。
じじの家系は50代過ぎると皆歯が欠けるように癌でこの世を去って行く。
これまでの最長寿は確か、大叔母の78歳だったと記憶する。
一族の最長寿だ、記録更新しようと話すとじじは
勝ち誇ったように得意げな、嬉しそうな顔をした。


じじ宅から先月届いていた三浦綾子記念館からの案内を持って来た。
在宅の頃、じじは三浦さんの小説作品を全部読んだのだった。
『銃口』や『ガラシャ』を読んで涙流して泣いていたとヘルパーが記録に書き残している。
三浦光世さんを憶えているか、年賀状や手紙貰ったでしょと言うとじじは頷いた。
過去の長期記憶はまだしっかりしている。
案内を読み上げて聞かせた。
三浦光世さんは90歳になるんだって、と話すとじじは目をきらりと光らせた。
やや興奮気味の表情。
しかし声を出さない。


点眼、口腔清拭をして、私の自宅から持ち出して来た第九のCDを聴かせた。
大晦日だから。
CDは30年も昔に私が買って聴いていたカラヤンの第九。

                          


じじが機嫌よくCDを聞き始めたので帰る事にする。
夜勤看護師に挨拶した。
年明けに医師と面談するまで経鼻胃カテーテルは入れないでほしいと言うと、
看護師は

「それは確約出来ません。
 でも年明け2日に私が勤務なので先生が来た時にお伝えします。」

と言った。
年明けの病院の稼働している日でかつ私の休みは9日、主治医と面談出来る時間はこの日まで待たないと取れない。
しかし主治医は2日に出て来ると看護師は言う。
2日か。
私は早出勤務だ。


一体この病院は何をしたいのだ。
寝たきりで在宅介護不能の老人と家族の意向を顧みる姿勢は皆無である。


私は後になって後悔するだろうか。
受け入れてくれる病院が無くて特養の空きは無く、老健で左肺が真っ白になるほどの誤嚥をして
他に選択肢が無かったとは言えじじをこの病院に転院させた事を、私は後で後悔するかも知れない。


・・・・・


介護をしていると、何をするにしても「これが最後かも知れない」と思って
何事でもしたり考えるようになった。
今年は本当に最後のような気がするので、いろいろな物事を整理したり
片付けたりしておかねばならない。
もしお恵みがあれば来年もあるかも知れないがわからない。
人間は誰でもいずれ死ぬから。


今、2秒だけテレビの電源入れた。
NHK教育でオペラの歌をキンキン歌ってる女人がいて1秒以内にチャンネル変えたら
紅白やってて知らないおねっちゃんがワライタケみたいなスカートふりふりで
何か歌っていたのでやっぱり1秒以内で電源落とした。


じじは入院して寝たきりの今でも口座振替でNHK料金(1年分)2万なんぼ支払っている。
年明けたらまた年間料金が口座から落ちるんだな。
私の金ではないけどどうも理不尽を感じて悔しいからちょっとテレビの電源入れたけど
画面ごと叩き壊したくなるほどつまらんの。
どうにかならんか。


出しっぱなしだったクリスマスツリーを片付けよう。
いつもこれらを片付ける時、写真付きで「お疲れ様、また来年」と記事に上げてきたが
多分これで最後になるだろう。

                        

                 

お疲れ様。
毎年じじが喜んだ。
今までありがとう。
さようなら。


23:45になったのでテレビを点ける。
間もなく日付が変わる。
酒を出してみた。

                        
              

今年は春迎花もなく笑点暦を捲るのみ。

                        
          

天気予報で元旦は雪。
日の出は期待できないな。

「私達は医者からやれと言われたらやるしかないんだから」

2013-12-30 17:49:36 | 入院生活
今日も早出勤務だった。
勤務先からじじの病院に行く。


エレベーターから病棟に出て夜勤看護師に挨拶した。
昨夜の件について看護師は私に言った。


「主治医にはっきり言った方がいいよ。
 私達は医者からやれと言われたらやるしかないんだから。」


看護師はそう言いながら、
医師と私とが面談するための具体的な日時設定や時間調整をしようとすらしない。
私は年明けに直接電話しますと答えた。


病室に行くとじじは眠っていなかった。
昨夜経鼻胃カテーテルを抜いて違和感が無くなったためなのか痰がらみしてしない。
いつも通り点眼して目の周りを拭き口腔清拭をしてから、
もうクリスマスは終わって正月だからと話し、床頭台の上のクリスマス飾りを片付けた。
LEDライトの雪だるまは冬の間は残しておく。
百均店で買って来た正月っぽいものを代わりに飾る。
小さいものだ。

                   

見せると手に持って離さなくなった。(笑

                   


何となく今日も落語を聴かせた。

                   


手に赤いだるま入りのガラス球を握って、じじは落語に聴き入った。
目がキラついている。
やや興奮気味の表情。
看護師に挨拶して、退室。

経鼻胃カテーテル抜去

2013-12-29 19:51:56 | 入院生活
早番を終えてじじの病院に行った。
昨日の変な様子が気になる。
じじがあのように苦痛表情を浮かべていた意味は何だろう?


行ってみるとじじはまた口を大きく開いて寝ていた。
具合どうだと聞くと渋い表情で無言。
咽喉元で痰が絡むのかゴロゴロ鳴らしている。
ティッシュを口に当てて、出してごらんと言ってみたが
ゴロゴロ言うだけで出せず、苦痛表情を見せる。
何処か苦しいのか聞くと頷き、何処が苦しいのか聞くと漠然と顔をしかめるのみ。
何だかさっぱりわからない。
顔色は悪くないが呼吸が浅表性でやたら荒い。
呼吸が苦しいのかと改めて聞くと頷く。
ベッドの頭の所に暖房があるので口腔内も気道も乾燥して違和感があるのだろうか。
いつものように口腔清拭をしてみたが、今日はいつもと様子が違う。
喀痰を吐き戻してくる事はないが、透明な泡立った唾液が後から後から湧いてくる。
昨日もこんな状態で唾液を気管に誤嚥していたのだろうか。


看護師を呼んで吸引して貰う。
看護師はじじに「私、管で痰を取ってもいい?」じじは拒否して首を横に振るが
そんな事を言っている場合では無い。
今日の夜勤看護師は10Frの経鼻胃カテーテルの留置してある左の鼻の穴に
12Frの吸引チューブを無理矢理差し込もうとはしない。
ベッドをセミファーラーに起こして何も入っていない右のから吸引すると
そんなに深くない咽頭部付近から泡沫状の唾液が多量に引けてきた。
看護師の操作するチューブを見ると気管の深部からはそんなに痰が上がって来ない。
ちょうど配膳車の来る時間帯だった。
一人しかいない夜勤者に迷惑をかけた。


何でこんなに急に、昨日今日で様子が変わってしまったのだろう?


じじはまだ息を荒くして顔面を紅潮させている。
もぐもぐ口を動かすのでまさかと思い口を開けさせて口腔内を見ると、
胃カテーテルが撓んで口の中に戻って来ている!
昨日から胃カテーテルの咽頭違和感を訴えてカッカッと吐き出そうとしていたのか。
再び看護師を呼ぶ。
胃カテーテルはUの字状に、20cmほど口の中に戻って来ている。
看護師は口の中に手を突っ込み撓んだカテーテルを押し戻して飲み込ませようとするが
そうするとじじは返って苦しがって涙を流しながらおえっおえっと吐き出そうとする。
なかなか飲み込んでくれない。
一度ごくんとしてもカテーテルが撓んで戻って来てしまう。
口の中に出てきているカテーテルの目盛りを見ると35から40cmの間。
じじは胃から鼻孔まで70cmでカテーテルを留置していた。
つまりもう半分以上抜けている事になる。


看護師が溜息をついて「すみません、ちょっと血糖測ってきてもいいですか」と言った。
配膳車が来ているという事は食前に血糖測定しなければならない患者達がいるのだ。
私はどうぞと言ってこれ以上抜けてこないようにじじの鼻先でカテーテルを持って待つ。


一体私は何をしているのだ。
そもそも主治医とのICで胃のカテーテルは留置せず鼠径静脈からIVHで栄養保持すると
申し合わせていたのがはっきりとした説明も無く12/18に鼻から管を留置して
「薬を入れるから」とだけの説明で事後承諾、何の薬か聞くと
どの看護師も明確に答えられず「整腸剤」などと言う。
事前の説明も無く急いでカテーテル留置しなければならない何かがあったのか?


もう一度吸引して貰わないとじじはまた多量の唾液でげほげほ咳き込み始めた。
口の中を見ると撓んだカテーテルに45cmの目盛りが見えた。
胃から鼻先まで70cmで留置されていた管が口腔内で撓んで45と50の目盛りが外に出てきている。
中途半端に抜けかけたカテーテルが咽頭を刺激しているのかも知れない。
危険と感じて私はカテーテルの残りを引き抜いてじじの目と鼻を拭った。
本当に必要なカテーテルかどうかは不審であるが、このままにもしておけない。
私は掟破りを承知で反対側の鼻孔から経鼻胃カテーテルを挿入し、
傍にあった聴診器と注射器でカテーテルの先端が胃の中に確実に入った音を確認した。
看護師が戻って来て胃の音を再確認し、カテーテルのテープ固定をしようとしたが、
試供品テープの使い方を知らないで困っている。
この人だけでなく看護師がテープの使い方を適切に理解していない事もわかった。
それでこれまでじじの鼻がテープ固定で引っ張られて左側にひん曲がっていたのか。
一体何をしているのだこの病院は。


私は夜勤看護師に聞いた。


(私)この胃カテーテルはそもそもこうまでして留置しなければならないものですか?


(看)はい、薬を注入するので。


(私)9月に下血して絶飲食が続いて低栄養になってから主治医と私とで話し合って
  胃カテーテルは入れないで貰いたいとこちらから希望して主治医も承諾し、
  栄養はIVHで、薬はIVHの側管で行っていた筈です。
  それが十日ほど前からどうして胃カテーテルを入れたのか、
  薬を注入すると言っていたがIVHの側管からどうして行かないのか、
  あえて消化管を通して行かなければならない薬を注入する事態が何か起こったのか、
  今胃カテーテルから注入している薬は何と何ですか?
  わかるように説明をして頂きたいのですが。


(看)すみません・・・調べてきます。
  (・・・・・)
  下剤と、整腸剤と、肝臓の薬です。
  あ、でも肝臓の薬はIVHからも行っている…


(私)どういう事でしょう?
  IVHから言っている同じ薬を胃にチューブを入れてまで投与する必要がありますか?
  経鼻胃カテーテルは何の目的で留置したのですか?
  まさか下剤を投与する目的だけで長期間絶飲食の患者に留置したのではないですよね?


主任看護師が入って来た。


(主)こちらでやりますから医療行為はしないでほしいんです。


(私)カテーテルが撓んで半分以上抜けていたので危険と判断して抜去しました。
  ルール違反とは承知していましたが反対から入れ直し胃に入った事を音で確認ましたが、
  そもそも父に経鼻胃カテーテルは必要でしょうか。
  

(主)娘さんが医療従事者である事はわかりますからお気持ちはわかりますが、
  うちの病院では胃にチューブを留置したらレントゲンで腹部単純撮影をする決まりです。
  でも今は年末年始でレントゲン室が休みなので出来ませんから、
  せっかく管を入れて下さったんですが抜かせて頂きます。
  咽喉や口の中で多少管が撓んでも咽喉の奥に手を入れて直して様子見るからいいんです。


全然良くないではないか。
この主任看護師と私とでは話が噛みあわない。
主任看護師は三日に一回のペースで排便をコントロールしたがっている。
食事を経口的に摂取しているならそれは当然だ。
しかしじじは9月からほぼ3ヶ月間絶飲食が続いている。
私はあくまでじじの苦痛を無駄に増やす処置を要らないと言っている。
自分が鼻から胃に管を通されて24時間留置された上で同じ鼻の穴から毎日何度も
気管内に別の管を差し込んで痰を吸い取られる患者の苦痛を私は言っている。
胃の潰瘍で吐血しているとか腸閉塞で嘔吐し続けているなどで胃にドレナージが必要ならば
当然胃のチューブも必要であるが、じじはそうではない。
長期間の絶飲食で消化管は空っぽも同然である。
下剤や浣腸で排泄を促したところで少量の腸液しか出て来ないのは当然である。
むしろ咽頭部に違和感を与えるような事をして唾液の誤嚥を誘発する要因を
少しでも減らしたい。


9月にじじの便に血が混じったと聞いた時点で私は電話で主治医と話をした。
大腸癌、直腸癌の可能性について、私から癌の確定診断のために検査するかどうかを
相談したが、主治医は

「うちは老人病院なのでそういう事は出来ませんし、やりません。
 腫瘍マーカーの採血もするつもりはありません。
 気に入らないなら他の病院に移って頂くより他に無いですね。」

と言った。
急性期を扱う一般の病院が高齢者を受け入れない事を踏まえた上で主治医はそう言った。
私はじじが誤嚥性肺炎を繰り返して全身状態が悪化し衰弱している段階であり、
侵襲のある処置や検査をして消耗させても検査が終われば即座に今すぐ出て行けと
言わんばかりの扱いを高齢者が受ける事を昨年の11月に身を以って体験し知っている。
もしじじの消化管に癌があったとしてもストレスや体力の消耗を招いてまで癌を追跡する事はせず
出来得る限り安息的に終末期を送る事を最優先に選択する事を主治医に話し、今に至る。


主任看護師はレントゲンが年末年始は不在だからと言う。
一般的に、胃のカテーテルを入れ替える時には看護師が空の注射器で送気し、
聴診器で音を聴いて胃にカテーテルの先端が的確に留置されている事を音で確認する。
音が不明瞭であればカテーテルを進めるか引くか、或いは挿入し直したり、
注射器で送気した音だけでなく吸引して胃液の流出を確認し
確実にカテーテルの先端が胃にある事を確かめる。
この病院ではカテーテルの入れ直す度に、慎重にも腹のレントゲン撮影をする、
しかし患者の口の中でカテーテルがとぐろを巻いていてレントゲン室が不在であれば
看護師が口の中に手を突っ込んで手直しし、そのままカテーテルを使うという事か。
それも病院側の都合、看護師の手間隙の問題である。


(私)では今すぐ胃のカテーテルを抜いて下さい。
  嘔吐や吐血を頻繁に繰り返して胃のドレナージのために管を留置する状態ではなく、
  少なくとも主治医からのICではしないと言ったものをやっている事の説明を
  私は聞いていません。
  9月の下血以来経口からは摂食を全くしていない絶飲食で、
  下剤と浣腸で少量ずつ排便があったとはその時々に聞いていました。
  

(主)いえそれだと便が出ないとなると10日も出なくなるので。


(私)9月から絶飲食ですから無理も無いでしょう。
  消化管内に便秘と言えるような固形物は殆ど無い筈です。
  胃にカテーテルを入れてまで何が何でも下剤で便を搾り出す必要があるでしょうか。
  排便が無いならこれまで通り座薬か浣腸で対応できないですか?
  胃チューブを留置していると昨日今日のように、本人が咽頭違和感から
  カッカッと胃カテーテルを吐き出そうと力んだりこうしてストレスになっているし、
  何よりも気管から吸引する時に吸引チューブが胃カテーテルを巻き込んで絡んだり
  こうして撓む事も起こり得ます。
  咽頭部で管が撓めば違和感を感じて本人が今のように撓んだ管を吐き出そうとして
  唾液も必要以上に出てきてむせ込みます。
  咽頭違和感を誘発させて唾液を誤嚥させ肺炎を繰り返させるリスクを増やしてまで
  鼻のチューブから下剤を投与する必要はあるでしょうか。
  便が出なくて排便コントロールをするなら座薬や浣腸で対応する事は出来ませんか?


(看)いえそれが、浣腸をしたら出血したのです。


(私)それは知りませんでした。
  どういう事ですか?
  下血と言うのは元々9月に便に血が混じっているからという理由で絶飲食、
  IVHにした筈ですよね。


(主)今回は便に血が混じったというのではなく新鮮血でした。
  浣腸をしたら出血したので、便が出なくなっても浣腸や座薬は使えないのです。


(看)胃にカテーテルを入れて下剤を入れるようになってから
  出血しなくなってきたところだったんです。


(私)それは今日初めて聞きました。
  12/18の夜に私が来た時、年配の夜勤の看護師の方が
  「鼻から管入れたから。整腸剤入れるから。」とだけ声をかけられて事後承諾です。
  本人は何だかぐったりしていたし10Frの細い管なので違和感を然程意識しないのか
  抵抗もしないようなので夜勤の方に詳しくは事情を聞かず様子を見ていましたが、
  浣腸をして出血したために胃の管を入れたとは知りませんでした。


つまり病院からの説明は無かったが、絶飲食で便が出なくなったからと言って
グリセリン浣腸を直腸から注入したら新鮮血が出た。
浣腸を施行した時に直腸の内壁を傷つけて出血したという事らしい。
ならば下血が最近止まったのは胃にカテーテルを入れて下剤を投与したからではなく
浣腸を使うのを止めたからだろうに。


しかし、本当に出血だけか?
現時点では出血は止まっている。
穿孔の可能性は?
腹部レントゲンも撮っていないと言う。
既に10日が経過し高熱やショックなど急変も起こっていないので
穿孔までは考えなくていいのだろうか。


主任看護師は私に言った。


(主)「主治医と娘さんとのICの時、私も同席して聞いていました。
   確かにご家族の希望としては鼻から胃にチューブを入れないでほしいと仰ってました。
   私もそのつもりだったのですが、私が休みに入った後、出勤してきたら、
   もう鼻から胃にチューブを入れられていたんです。」


主任、もうそれ以上喋らない方がいいぞ。
医師と家族のIC内容をその場で聞いていた主任が休みを取って不在の間に
やらない筈の事を既にやっていましたというのは、責任者が聞いたIC内容の情報伝達が
スタッフに伝わっていなかったという事だ。
家族の意に反して何かの処置をする事になった場合、事前に家族に連絡して説明、
了承を得てから実施するのが当たり前ではないか。
するべき事をしていなかった事を責任者がここでべらべらと「私は休みだった」
などと弁解して恥ずかしくないのか。


問題は、下血する患者に消化管精査をせず
下剤投与目的だけでマーゲンチューブを留置しストレスを与え不穏にさせておいて
主治医が家族に身体身体拘束の承諾書を書けと言うのが筋違いではないかという事である。
じじの左隣の人の不穏、大暴れぶりを見ればわかる。
病状によってどうしても他に選択肢が無ければ仕方ないが、
私は主治医から身体拘束同意書への署名を求められた時点で栄養手段として
経鼻胃カテーテルではなくIVHを選択したのだった。


(主)「年が明けたらもう一度今の状況を先生から聞いて下さい。」


当然、そのつもりである。
看護師がじじの鼻の管を抜いた。


主任看護師、夜勤看護師、私の三人のこれらの会話はじじのベッドサイドで
じじも同室者達も聞いている目の前でやりとりした。
病棟には他に話をする場所が無いからである。


いくら耳が遠いとはいえ少なからず動揺したのかじじは泣きそうな顔をしている。
完全にいじけてしまった様子である。
落語は返って神経に障るだろう。
賛美歌のCDを聴かせて退室した。


帰る時挨拶すると夜勤看護師が「嫌な思いをさせてすみません」と言ったので
こちらこそと言って帰宅した。


帰宅してから牧師に事情を話し、じじにとって最善の選択が出来るよう祈りを依頼した。
牧師は

「あそこまで弱っているのだから別の病院に転院して大掛かりな事をしては
 お父さんの負担が大きいのではないか」

と心配してくれた。
私もそう思う。
ただ、下血の原因が癌であれば今後末期にに向かうにつれて何も処置しないとしても
あの病院では対応が無理になってくるかも知れない事と、
癌でなかったにしても浣腸の時の手技がまずくて直腸の内壁の何処かを
損傷した可能性が全く無い訳ではない。
しかし誤嚥性肺炎で寝たきり、四肢が拘縮したの高齢者を
何処の病院も受け入てはくれないだろう。


じじの健康が回復出来るなどとは思っていない。
如何に安静に安楽に残りの時間を過ごす事が出来るかを最優先に考える。


前に勤務していた高齢者療養型病院にいる元同僚にメールして事情を知らせて
意見を聞いてみた。
元同僚は

「胃カテーテルも薬も入れる必要無さそうですよね、
 逆にお父さんを苦しめている気がします。」

と返信してきた。
メールで元同僚とやりとりしていると突然着信あり。
しばらくぶりに看護学校時代の友達が電話してきた。
近況報告して今の話をした。
友達も叔母を最近看取ったばかりだった。


こうして戦っている間に一年が過ぎた。
何だかずっと戦いっぱなしだな、自分。

咽頭違和感?

2013-12-28 19:48:05 | 入院生活
今日一日仕事休み。
シフトの関係で飛び石休みになっている。
自分の糧食として白菜を一玉煮込んだ。


今年の2月に緊急入院するまでは、じじの食膳にいつも付けていた。
軟らかく白菜の汁と昆布茶で味がまろやかなのでじじがよく好んでいた。
・・・・・
何か調理する度にそんな事ばかり思い出しても仕方の無い事だ。


夕方日が暮れてからじじの病院に行く。




最近コンビニで買って気に入って眺めていたなごみ系の猫本、
気に入った頁を一枚ずつ切り離して人にあげたり自分で好きに貼ったりして
使えるようになっていた。
子猫が笑ったみたいな顔をしている頁がいいので切り離した。
じじが消灯台側を向いた時、見えるように貼ってみるか。

                


病室に入ると、じじは浅い右側臥位で寝ていた。
ベッドは水平。
昨日とは打って変わって呼吸状態が変だ。
痰が咽頭部に溜まっているのか吐き出そうとして吐き出せずにゲフゲフしている。
経鼻胃カテーテルが咽喉の奥で撓んでいないか見たがそれは無く、
咽喉の奥には唾液が多量に泡立っていた。
自前で消灯台に買って置いてある歯磨きティッシュで拭き取ったが間に合わない。
じじは真っ赤な顔をしてカッカッと咽喉を鳴らし、何かを喀出しようとする。
胸のゴロゴロ音ではなく唾液がぶくぶく咽喉の奥に溜まって泡立っている。
これは唾液を多量に誤嚥したな。
苦しそうだ。


看護師に即行気管内吸引をして貰った。
黒い縁取り眼鏡の夜勤看護師が来た。
この看護師、気管を吸引する時にベッドを水平にして抑え付けるような体勢で吸引し
「また後で痰を取るからベッドは平にしておいて下さい」と私に言った事がある。
患者の呼吸状態と苦痛軽減を考えるならば、
喀痰吸引が終わったらベッドはセミファーラーに戻すのが普通であり、
見れば他の看護師達はそのようにしている。
しかしこの看護師はいちいちベッドの高さを調節する手間隙を惜しむのか
自分が喀痰吸引の作業をし易いように、自分の勤務中は水平のままにしておきたがる。
そして褥瘡予防の名目で骨盤や膝の下には体交枕が高々と入れてあり、
見るとじじの頭は下半身よりも低くなっている。
この姿勢では口の中に唾液が溜まったら吐き出せず気管に誤嚥するしかない。


見ればこの看護師、
わざわざ経鼻胃カテーテルを留置してある方の鼻の穴から気管内吸引のチューブを
差し込んで喀痰吸引している。
一つの鼻の穴に胃のチューブ留置してあるのを更に気管吸引のチューブを差し込む。
余程じじの鼻中隔が曲がっているのか何なのか、
吸引する時に胃のチューブをいちいち巻き込むではないか。
じじは咽頭違和感を意識しているのだろう、
胃カテーテルを吐き出そうとがむしゃらに「カッカッ」とやって
返って唾液が溜まるのかも知れない。。
自分の鼻に24時間チューブを留置されてみればわかる。
看護師が患者の苦痛や予測し得る危険を想定するよりも
自分の仕事が楽である事を優先するとこうなる。
患者は溜まったものではない。


そもそも何で経鼻胃カテーテルを留置しなければならなかったのだろう。
主治医とのICで私からは経鼻カテーテルはしないでほしいと言ってあり、
主治医はそれでIVHを開始したのであった。
経鼻胃カテーテルをしないでくれと言ったのは
じじに苦痛を与え不穏状態を引き起こす事が想定される事が理由の一つであったが、
それ以前に下血をしていたため絶飲食となって栄養不良状態になった患者に対して、
わざわざ苦痛を与えてまで経鼻胃カテーテルを留置し消化管経由で栄養する根拠が無い事、
本人が嫌がって管を引っ張る場合は手を縛らせてくれなどと言ってきたため、
私の方から拒否したのであった。
それが12/18に私が来た時既に留置されていた。
その日の年配の夜勤看護師が

「今日鼻の管入れました。整腸剤入れるから。」

とだけ私に言った。
どういう理由で整腸剤が胃にカテーテルを入れてまで必要になったのか、
事前に何の説明も無かった。
しかしじじが激しく抵抗したり不穏になったりもせず、
むしろ無気力にぐったりして抵抗もしないので私も様子を見ていた。


こうなってくると、頻繁に気管内吸引するなら胃チューブが危険だ。
看護師の見ていない時にじじはまた「カッカッ」と咽喉の奥の胃カテーテルを
吐き出そうとし続けるだろう。
吐血したとか嘔吐し続けているとかどうしても胃にドレナージが必要ならば仕方が無い。
しかしじじはそんな状態なのか?
下血に対して特に調べるつもりも無い、この病院はそういう病院ではないと言い切った主治医が
何の理由で今更胃チューブを入れたのか年明けにでも聞いて見る必要がある。


気管内吸引で白い泡沫状の唾液が多量に吸引された。
じじの呼吸状態は落ち着いたが目が爛々と光っている。
完全に興奮している。
赤い顔をして熱が高いのかと思ったら微熱37.1℃、ベッドの頭の所に暖房があり、
タオルケットの上から毛布もとっぷりかけてある。
じじに暑いか寒いか聞くと「暑い」というので毛布を捲っておいた。


暴れもせず大人しいからと言って落ち着いている訳では無い。
消耗しながらも、じじは今不穏である。
話で気を紛らわせるのも難しいが、落語のCDを聴かせて帰宅。

            


じじは昔、クリスマスに旧友が入院して大掛かりな手術を受けたのを見舞って
冗談めかして言った。


「クリスマス?クルシミマスだなこれじゃ。(笑)」


そのとおりだな、じじの現実は。

年末年始は落語で

2013-12-27 20:03:49 | 入院生活
遅番勤務だったが安静だったので残業せずに済んだ。
仕事終わってじじの病院に行く。


じじは痰がらみしていず熱発もしていない。
痰がらみしなくなったと言うと、看護師はそれでも吸引すると多量に引けてくると言う。
以前のような黄緑色の粘稠な痰ではなく泡沫上の白い唾液を
気管内に誤嚥したのが出てくるようだ。


点眼、口腔清拭した後、CDを聴かせる。
今日は名人落語、金原亭馬生にした。

                


じじはじっと聴き入っている。
じじに買って来た落語CD、私も今度時間見つけたら聴いてみよう。
面白そうだ。
クリスマスが終わったら後は年末年始、いろんな落語CDがあるので楽しめるだろう。
長い入院生活にこそ笑いが要る。

きみまろCD2枚目

2013-12-26 19:39:54 | 入院生活
連休二日目、夕方になってからバス定期更新したり
所用を足してからじじの病院に行く。


じじは消灯台とは逆向きに、左肩にねこ山さんを並べて寝ている。
今日は熱発はしていないらしい。
痰がらみも軽度、看護師が定時に吸引してくれるので充分。
点眼、大きく口を開けているので口腔内がどうしても乾いている。
口腔清拭。
緑茶を使って今日で20日目。


昨日に続ききみまろCDの2枚目を持参したので聴かせた。
何とも妙な、薄笑いを噛み殺したような表情で目を閉じ、聴き入っている。

               


電池の切れた雪だるま、買って来たボタン電池と交換しようとしたら、
2個ではなく3個要るのだった。
まだ店はやっているので百均に買いに行って来た。
クリスマスは終わりでも雪だるまは冬の間はあってもいいだろう。


雪だるまの電池を交換し、看護師に挨拶して帰宅。


百均に行くとつい余計なものを買ってしまう。
正月用の小さい飾り物と、小学生用かな、自分で作る万華鏡キット。
具材が足りないからビーズを買い足した。
風車も。
風車はじじに吹かせてみよう。
きっと肺活量は落ちているだろうけど。


100円の万華鏡組み立ててみた。



綺麗だけど、やはり百均のだと鏡にするメッキシートが歪んだり曇って
万華鏡の面白さは半減している。

クリスマスにきみまろCD

2013-12-25 17:49:34 | 入院生活
今日明日と二連休。
正月休みをバラバラにして年内から小出しに休みをくれている。
昼寝して、所用を済ませた後岸壁を徘徊し、夕方からじじの病院に行く。


じじは消灯台の方を見て寝ていた。
また口を大きく開いている。
点眼、口腔清拭。
痰がらみ経度。
吸引はやってくれているらしい。

ここ数日何となくじじに賛美歌やキャロルばかり聴かせたので
タクシーの運転手に勧められた「きみまろ」のCDを今日は持参してみた。
タクシーの運転手さんか面白いから是非聴かせてやってと勧められた、
面白いんだってと話すとじじはCDのジャケットを珍しそうに見ている。

                


もっともらしく飾り立てたクリスマスの雰囲気なんかよりも笑いが必要だ。
切実に。


色の変わる雪だるま、電池が切れたらしい。
明日ボタン電池買って来よう。

2013クリスマス・イブ

2013-12-24 19:01:48 | 入院生活
今日も日勤の後じじの病院に行く。


じじは消灯台と反対向きに寝ていた。
痰がらみして微熱がある。
体温計のメモリを見ると37.1℃。
看護師に喀痰吸引を頼んだ。


クリスマス・イブだからって、何も無し。
日勤の後では教会の夕礼拝には間に合わないし、
ケーキに蝋燭灯して喜んでいたじじも今こうして入院中。
じじは、去年の今日食べたクリスマスケーキが最後のケーキになるのかな。
83歳の誕生日に入院したきりだから誕生日のケーキもなかった。
飲食はおろか自分の唾液すら気管に誤嚥している。


昨年までのクリスマスとは何ひとつ縁の無い今年のクリスマス・イブ、
飲み食い不能なじじに雰囲気だけ、ベッドサイドに飾り物を置く。
買ってみて気が付いた、立体化するクリスマスカード。




じじの消灯台は手狭である。
看護師に時期が済んだら撤収するからと断って飾った。
じじは珍しそうに見ている。


           


雰囲気だけ、今年は見るだけのクリスマス。
春に緑内障発作起こしてからじじは細かいものは霞んで見る事が出来ないが。
クリスマス・イブなので先日じじが気持ちよさそうに目を閉じて聴き入っていた
ノートルダム寺院のCDを聴かせた。
目はぼんやりとしか見えなくなっても耳はイヤホン使えばまだ聴こえる。

           


聴き始めるとじじはやはり目を閉じて聴き入っている。
看護師に挨拶して帰宅。

今日も色の変わる雪だるまを見ている

2013-12-23 19:09:38 | 入院生活
日勤終えてじじの病院に来た。


今日もじじは消灯台の方を向いて寝ていた。
大きく口を開けて寝ている。
声をかけると目を開き、具合を聞くと聞き取れない声で何かもそもそ言っているが
聞き返すとぷいとふてくされてそれ以上言わない。
相変わらず痰がらみしているが熱発はしていない。
点眼、口腔清拭。
緑茶で口腔清拭をし始めて半月を過ぎた。
今の所、微熱は出たりもするだろうが高熱は出さなくなった。


今日もじじは色の変わる雪だるまを眺めている。

               


今日は何を聴かせようか。
明日からクリスマスだし、新約聖書の朗読CDにするか。
何度も聴いたろうけど出だしはクリスマスだから。

               


看護師に喀痰吸引を頼み、帰宅。

安息的な終末期の夢

2013-12-22 17:43:25 | 入院生活
三連休最終日、いい加減日が暮れてからじじの病院に行った。
じじは消灯台の方を向いて寝ていた。


点眼、口腔清拭をする。
熱発はしていなさそうだ。
痰がらみは軽度聴かれるので後で吸引して貰うよう帰りに看護師に頼む。
経鼻胃カテーテルの固定で鼻が左にひん曲がっている。
鼻に褥瘡が出来なければいいのだが。


消灯台の上のクリスマスツリー、ガラス球入りのサンタクロース、雪だるま、
じじはどれを眺めているのだろう。
雪だるまのスイッチを入れて点灯するとじっと見入っている。

                  

他愛のない量販店の安物だ。
それでも色が様々に変化するのが、ぼーっと眺めているだけでも面白いのだろう。


ねこ山さんと共にタオルケットに包まって寝ている。
連日クリスマスの聖歌を聴かせたので食傷しているだろう。
今日は昨日買って来た落語の名人選から三遊亭円右のCDを聴かせてみる。

                


こんな具合に安静に、
落語や賛美歌や若い頃好きだったクラシック音楽を聴きながら
安息的に眠るようにして終末期を迎える事が出来たらいいと思うが、
痰がらみして気管から管で吸引される拷問を日に何回も繰り返していては
遠い夢の話である。


看護師達に挨拶して帰宅。

クリスマスプレゼント

2013-12-21 21:39:40 | 入院生活
三連休二日目。
夕方じじの病院に行くと、じじは相変わらず口を開けて寝ていた。
消灯台の上に如何にもクリスマスくさい包装紙で申し訳程度に丸めたタオルがあった。

                 


今日は午後から病院のクリスマス会でサンタクロースが登場するというポスターが
そういえば昨日までエレベーターの横に掲示してあったな。


じじに声をかけると目を開いた。
これ、貰ったよ、クリスマスだって、と話すとじじはそのタオルを右手で掴み、
あーんと口を開けて食べる動作をしたので取り上げようとしたらがっちり握って離さず。
仕方ない、するままに放って置いた。


点眼、口腔清拭。
痰がらみも熱発もなし。


昨日のサンタクロースと雪ダルマを見せると、
じじはタオルを離しサンタクロースを手で握った。

                 


雪ダルマの電飾もスイッチを入れて見せると珍しそうに見入った。
生憎消灯台に背を向ける角度で寝かされている。
それでも前に持って来た小さいクリスマスツリーと共に並べてみた。
後で消灯台向きに体位変換した時にじじの視野に入るだろう。

                 


クリスマスの期間だけ。
あ、雪ダルマは春まで置いとくかな。


昨日の聖歌のCDよかったか聞くと頷いている。
よかったらしい。
今日は別のクリスマスキャロルのCDを持って来た。
これも私が20年も昔に買って聴いたものだ。

                 


今日のじじは表情穏やかでにんまり笑っている。
物が何であれプレゼントを貰うと嬉しいのだろう。
CDを聴かせるとまた目を閉じて聴き入った。


同室者や看護師に挨拶して退室。
看護師にごちゃごちゃと邪魔な物を置かせて貰うが
クリスマス終わるまで飾らせてほしい、時期過ぎたら回収するからと言うと
看護師は笑っていた。


もう、してやれる事が無くなってきた。
あと何をしたらいいだろう。

雰囲気だけでもクリスマス

2013-12-20 22:27:06 | 入院生活
さっき洗濯機の給水ホースを買いに量販店に行ったら目に入った。

雪だるまの電飾。
色がゆっくりと7色に変化する。

                 


ガラス球の中のサンタクロース。
傾けると粉雪が舞い上がる。

                 


他愛のないものだが小さいのでクリスマスの間だけじじの消灯台に置いてみよう。
吸引の道具などで看護師達にとっては邪魔かも知れないが、
クリスマスの間、雰囲気だけでも。
教会の燭火礼拝と賛美歌も、ケーキの蝋燭も、クリスマスツリーの電飾も、
病床には持ち込めない。
色とりどりの光を楽しんだ例年の雰囲気には今年は与れないから。


他に、『落語名人寄席』の格安CDシリーズもあったので
9枚全種類買って来た。

           


音源が古いから音はよくないかも知れないけどきっと面白い。
クリスマスが終わったら。

子供達の聖歌と鐘の音

2013-12-20 20:51:48 | 入院生活
仕事三連休初日、夕方じじの病院に行った。
病棟のエレベーターを出るとじじの左隣の人が車椅子に座らされて廊下にいた。
ストレスの極みなのか不穏で暴れるため夜勤の人手薄な時間帯に目離し出来ず
看護師や介護員の目の届く場所にいて貰っているらしい。


病室に行くと、じじは今日も口を大きく開けて寝ていた。
近寄ると目を開いた。
今日は仕事休みだから早く来た、と言うと口パクで「そうか」と言った。
見るとじじの左の鼻孔から留置した経鼻胃カテーテルのテープ固定がまずい。
カテーテルが左にきつく引っ張られた状態で固定されているため
鼻翼全体が左に折れ曲がっている。
これで鼻に潰瘍が出来る人多いんだよな。
これを貼った看護師、センス無し。
昨日と位置が違うので貼り替えたばかりらしい。
明日になってもこんな状態だったら看護師に指摘しなければならない。


具合は、と聞かれるのもうんざりであろう、もう聞かない。


点眼、口腔清拭。
緑茶ガーゼでの口腔清拭はこれで何日目だろう。
熱発も、気管が詰まるようなひどい痰がらみもない。
(今このブログを見たら12/6から緑茶を使い始めたのでこれで2週間目だ)


来る時私の自宅から古いCDを持って来た。

              


『ノートルダム寺院のクリスマス』というタイトルで、もう15年くらい前に
カトリック教会の売店で購入したものだ。
子供達の聖歌と、鐘の音が入っている。

              




じじにCDジャケットの写真を見せると珍しいのかしばらく見入っていた。
音量を合わせてイヤホンで聴かせると、じじは目を瞑って聴いている。
恍惚としているように見える。


右隣の人と看護師達と、車椅子で廊下に座らされている左隣の人に挨拶して退室。


子供達の聖歌と、鐘の音が耳の奥で鳴っている。
いい音だった。

口を開けて寝ている

2013-12-19 22:30:06 | 入院生活
早出勤務の後じじの病院に行った。
じじは大きく口を開けて寝ている。
まだ夕食時で右隣の人が食事介助中だった。
うちのじじ、こんなに早くから寝入っていて夜に騒いだり暴れたりしないのかと
隣で食事介助している介護職の人に聞くと、じじは凄く静かで
殆ど声も出さず動く事も無いと言う。
廃用も行き着く所まで行き着いたのかも知れない。


肩を叩くと目を覚ました。
具合は、・・・返事せず。
点眼する。
ずっと口を開いていたので口の中が乾燥している。
歯磨きティッシュで溜まってこびり付いた痰を拭き取り、
それから緑茶ガーゼで口腔清拭した。
鼻の穴も綿棒で拭いたら怒って睨んでいる。(笑)


今晩何聴く?


「・・・・・」


たまにクラシック聴くか?


「・・・・・(頷く)」


じゃ、バイオリンのと『新世界』とどっちがいい?


「どっちでもいい」


んじゃ久しぶりに『新世界』聴くか?


「・・・・・(頷く)」


痰がらみもなく熱発もしていない。
経鼻胃カーテルを引っ張ったり抜き取ろうとする危険行為も見られないと
介護職員から聞いた。


看護師に挨拶して、退室。
病棟を出てロビーからじじの近況報告を兼ねて牧師に電話した。
今日木曜の夜の聖書の会、やっているなら参加しようと思ったが
参加者達の希望で昼間に時間変更したというので帰宅。

経鼻胃カテーテル留置

2013-12-18 22:44:55 | 入院生活
日勤り帰り、じじの病院に行くと廊下で年配の夜勤看護師に呼び止められた。


「鼻から管を入れましたから。
 整腸剤を注入するので。」


ああ、数日前からじじの便が出ないと看護師の誰かが言っていたのを聞いていた。
しかしまとまった便が出なくても無理はない。
じじは口から飲み食いを一切していないからだ。
それでも下剤や整腸剤で排便コントロールをするために、
口から飲ませると誤嚥するので鼻から管を入れたと。


じじの病室に行くと、じじは眠っていなかった。
見るとまた涙目になっていた。
ただ見ただけでは欠伸をした後の涙目のようにも見える。
点眼をして目の周りを濡れ綿花で拭きながら具合悪いか、と聞くと
「んー?」と聞き返し、返事はしなかった。
経鼻カテーテルを留めている透明なドレッシング材の周囲なだけに
髭が一部剃りきれず残っていたので剃った。
口腔清拭をしているとまた涙目になってきた。


気持ちが挫けているのか、意気消沈した表情だ。
消灯までまだ時間がある。
間もなくクリスマスでもあるし、こういう時は賛美歌がいい。
眠るまで、しばし賛美歌を。
いつも聴かせているもので、今度違うのも持って来るねと言って退室。


廊下でさっきの年配の看護師に挨拶した。
じじが気弱になっており泣いている事を知らせると、看護師は
「泣いてた?私ついさっき吸引したからかなぁ。」
いやそういうのではなくて精神的に落ち込んでいるようだと話すと、看護師は
「いろいろ考える事あるんだろうね。
 ちゃんと自分の事をわかっているみたいだから。」
そうだろうと思う。
今日経鼻胃カテーテルも留置されたし、自分はもうダメだと自覚したらしい。
気分転換にCDを聴かせているがネタ切れだからまた新しいのを何か探す、と私が言うと
看護師は「また最初の1枚目から順番に聞かせてもいいんじゃない?」と言った。
よろしくと言って帰宅した。


じじは自覚している。
少しずつ、確実に、この世の人生が終わりに近づいている事を。
私は今、死を目前にした人にとって希望となる言葉を模索している。
教会ではじじのために皆が祈ってくれている、牧師先生も教会員達も子供達も皆。
それをじじに伝えると一瞬じじの表情が和む。
毎週日曜日に教会に通っていた日々のじじの幸せそうな笑い顔を思い出す。
じじにとって教会は光に満たされた幸せの記憶となっている。
賛美歌のCDを聴かせると表情が和らぎ、教会の子供達の話を伝えると目が輝く。
受洗した者にとってこの世の人生を終える時は天に凱旋する時である事を、
私はじじに言葉で伝えなければならない。
耳で聴く事が出来て会話の通じるうちに。