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人間関係づくり・人間力育成の授業

「自己肯定感を高める三要素」(最終回)・・・その6「自己肯定感を高める授業」

2018-06-19 04:58:53 | コラム

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「自己肯定感を高める三要素」(最終回)・・・その6「自己肯定感を高める授業」

学校は人間の成長を保障する場ですので、自己肯定感を高めるためのツールを備えていなければならないのですが、残念ながら、それは個々の先生方や学校の努力に任されてきたと言えます。私自身も、50歳を超え人間関係プログラムに出会うまでは、その点においては右往左往していました。2001年に小中学校の不登校の子どもが13万9千人(現在までの最高値)に達したことを受けて始まった松原市立松原第七中学校・研究開発に関わるなかで、その答えがおぼろげながらも見えてきました。

 

研究開発が終了した2010年の段階では、まだその途上でしたので、私は2011年に退職し、教員研修ファシリテータ・授業コーディネータとして、オファーを下さった皆様とともに人間関係プログラムの完成をめざしました。幸いなことに、島根県松江市立第一中学校、高知県土佐清水市立清水中学校という学校としての実践の舞台をいただき、2016年3月「いじめ・不登校を予防する人間関係プログラム(学事出版)」をその集大成として世に出すことができました。

 

この両中学校の取り組みの動機は、学校の「大きな荒れ」でした。松江一中の奈良井孝教頭先生(現 松江市立湖北中学校長)、清水中の岡崎哲也校長先生のリーダーシップの下、両中学校の再構築を人間関係プログラムを中心に進めていただきました。その結果、三年間という一区切りを終え、両校ともに・・自分たちで考え、行動する・・自己を大切にし、他者を思いやれる・・いじめなどの仲間の問題を自ら解決する・・不登校などの課題をかかえた仲間を支援する・・将来への夢や希望を共有することができる・・という子どもたちに成長してきました。(松江一中の詳細は書籍に収録しています。清水中についてはHPにアップしています。http://www.aiainet-hrs.jp/download/shimizu.htm

 

学校や学級の目標としては、よく見かける親しみのあるフレーズですが、それを実現するとなると、並大抵のことではないと現場の先生であれば感じることでしょう。両校ともに、一時は大変な状態にあったわけですが、現在では松江一中では7年目、清水中では6年目と教員の入れ替わりなどの困難がありながらも、人間関係プログラムの実践を継続しておられます。では、なぜ、このような変化を遂げることができたのか、それは、人間関係プログラムの実践が、「自己肯定感を高める三要素」を強化していくことで、子どもも教員も自己肯定感が高まってきたからに他なりません。

 

「あいあいネットワークofHRS」の人間関係プログラムは、8時間×3年間=24時間の構成です。全国約300カ所での教員研修、保護者研修、子ども向け研修、市民講座に取り組んだことにより、小学校低学年から大人まで効用があることを私自身体感しています。自己肯定感を高めるための三要素にからめて説明しますと、

 

①毎時間、目標設定→エクササイズ→ふりかえり&シェアリング、という「認知→行動→評価のスパイラル」を促進するツールが組み込まれている、ということです。不登校をはじめとする難しさをかかえた子どもは、「悪い結果を予想して行動にうつせない」「行動をふりかえると、後悔ばかり残る」「自分が感じたことをつかめない」「感じたことを自己開示するのが怖い」「まわりがどう見ているか不安だ」「何もいいことがなかった」・・・というように、「認知→行動→評価」のプロセスがいたるところで寸断され、マイナスのスパイラルすら起こしているのです。つまり自己肯定感がどんどん下がっていきます。

 

そこで、一回一回の授業を通じて、小さな成功と小さな達成感を少しずつ積み上げていきます。減点方式で受けてきた体験が、加点方式で受ける肯定的な評価に少しずつ置き換えられていくのです。不登校などの難しさをかかえた子どもは、ほんの氷山の一角です。なにしろ多くの子どもたちが自信がなく疑心暗鬼になっている可能性があるのですから・・・。

 

②次にあげられるのは「大人がモデルとなるソーシャルスキルトレーニング」であるということです。子どもは子どもであるというだけで、困難をかかえ依存的です。つまり自己肯定感が高いはずがありません。自信もないですし、人の話もちゃんと聴けませんし、自己中心的ですし攻撃的です。だからこそ、大人がモデルとなって模範を示すわけですが・・・このような依存的な大人は多くないですか? 学校の先生のなかにだって、そんな方は結構います。ここにSST(ソーシャルスキルトレーニング)を実施する意味があるわけです。

 

大人がまず、授業をするということを通じてソーシャルスキルを確認します、そして身につけようと努力をするのです。自己開示の授業(トーキング系の授業)を通じて、「聴くスキル」を身につけます。すると、自己開示の心地よさに気づき、相手を思う「共感性のスキル」にまで発展します。まず、大人が体感し子どもに伝える(やってもらう)ということです。「ストレスに対処」し、「感情をコントロール」することができれば、相手を思う「アサーティブネス」(アサーショントレーニング-SSTの最高形態)にまで高まることができます。

 

これらは、主にロールプレイングを通じて内実化していきます。すると、人間関係において「折り合いをつける」ことができるようになり、相乗効果を生み出します。さらに、人間関係プログラムは「特活・道徳・総合」という教育課程との相乗効果まで生み出してしまうのです。これで学校がよくならないはずがありません。良い学校においては、当然のことながら子どもたちの自己肯定感は高まっていきます。もちろん先生もですが・・・。

 

③自己肯定感を下げてしまう「マイナスの連鎖」を断ち切るために、わたしたちは固定観念を捨て、新しいものにチャレンジしていかねばなりません。しかしながら、中学校には「三年前症候群」みたいなものがはびこっています。学年づくりをするたびに「三年前はどうやった?」「三年前は違うかったぞ!」というような感じです。それを3サイクル実行すれば、約10年間は、変わらない教育をしていることになります。経験則は確かに大事なのですが、今の時代、10年前、20年前というと、かつての社会や常識が一変してしまっています。

 

ここにきて、文部科学省が「主体的・対話的で深い学び」やら「アクティブラーニング」を打ち出してきているのは、従来のやり方では、学校教育が悲鳴をあげ続けることを認識したに他なりません。人間関係プログラムは、ファシリテーション&ワークショップの授業です。認知に裏付けられた行動を評価し、それをシェアすることで、新たな気づきを生み出していきます。

 

従来の教育の枠組みでは「正解を教えない授業」ととらえがちなのですが、実はそうではなく「正解が多様」であるということなのです。「正解が無い授業」または「すべてが正解の授業」と言い換えてもいいかもしれません。つまり、多様な自己を認めることで、他者の多様を受け容れようとするものです。これが自己肯定感をもっとも高める要素です。

 

教科授業においてもそれが実践される時代へと変化していくのですね。学力観も刻々と変化しています。

 

 

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