スタジオSZ8のブログ

スタジオSZ8(鈴八)のぬるめの日常

バンテージ・ポイント

2009-05-30 | 映画、ドラマ、テレビ
 全員が同じ場面に遭遇したのに、その時の心理状態や(商法的な意味での)悪意などから、それぞれが互いに矛盾した証言となり、その証言を元に映像を何本か繰り返して作られる映画を、一部では「羅生門方式」と言うらしいです。
 羅生門とは、もちろん、黒澤明監督の「羅生門」の事ですが、実は、僕、羅生門は観た事ないんです(汗)
 「戦火の勇気」と言う映画を観て、この言葉を知ったのですが、そういう意味から、「バンテージ・ポイント」は楽しみにしていました。

 ただ、映画とかの予告編(これはDVDの予告編ですが)から予想していたのとは、若干、ニュアンスと言うか印象が違うようです。
(と言うか、この予告編、わざとミスリードしてませんか? こんなの本編にあったっけ?と言う台詞があります)
 8人のそれぞれの視点、と表現されていますが、それぞれのシーンに矛盾はなく、ひとつの事件を、それぞれの立場で客観的に捉えているという形なので、「誰が言っている事が本当なんだ!?」という悩み、謎はありません。

「なんで、突然、そんな事判るの?」とか「どうして、そんなに確信を持って言えるんだ?」というシーンに出くわしますが、それらも、別の視点のパートで説明がありますから、そう言ったフラストレーションはありません。
 ただ、最初の「Oh!mygod!」と言って驚く謎は、最後まで明らかになりません。
 ま、これが、この映画そのものの、どんでん返しなので、それはしょうがないでしょうね。

 フラストレーションという意味では、別の意味でフラストレーションがたまります。
 こういう映画の性格上、仕方がないのですが、「次はどうなる?」と思った瞬間、時間が巻き戻り「あー、またここからかあ」という事になります。
 ですが、最初に戻るたび、次々と、薄皮を一枚一枚剥ぐように謎が明らかになり、それはそれで痛快です。
 実に練った脚本で、感心しました。
 話そのものは、さほど複雑ではない(もちろん、これはこれで練った話です)のですが、見せ方が上手い。
 ストーリーには「そんな偶然で…」と思う部分もありまして、その辺は今一つかな?と思わないではないのですが…。(一応、その偶然が起こりうる、キーワード?舞台?は考慮されてはいます。ただ、女の子の登場が、ちと弱いかなあ?)
 逆に、これだけの登場人物と話を、時系列でそのまま並べると、観客は絶対混乱しますし、話としても、これほど面白くはなかったでしょう。

 ちゃんと脚本を考え、金をしっかりとかけた真面目な映画でした。
 これはお勧めです。

 ちなみに、シガニー・ウィーヴァーはゲストというか特別出演という感じで、そんなに重要な役どころじゃなかったのは、ちょっとずるいよな。とは思います(笑)。


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