映画『風が強く吹いている』を公開初日に観てきました。
正月に箱根駅伝を見るのが好きだった。
「紅白」を見ないときはあっても、箱根駅伝は欠かしたことがない。
「箱根駅伝」への熱い思いは今も変わらない。
”走る”という行為だけで、見る者の胸をこれほど熱くもやすのは何なのだろうか?
この不安な時代に、何の目的もなく生きている若者が、「箱根」という壮大な夢が
あればこそ、仲間と固い絆を結ぶ喜びと、夢を追いかける充実感を知り、自らの限界に
挑む姿は、決して絵空事とは思えない現実味を帯びて迫ってきます。
絵空事といえば、主人公のハイジ(小出恵介)とカケル(林遣都・↑画像)はともかく、
あと8人は、寛政大学陸上競技部とは名ばかりで、クイズマニアや漫画オタク、双子に
司法試験合格者、アフリカの留学生たちだ。
10人必要な競技にぎりぎりの10人で挑む。
しかも大半が陸上競技は未経験。言わば素人ばかり。
ひとことで言えば、寄せ集めの即席弱小陸上競技部が箱根駅伝を目指すストーリー。
ありえな~い
という設定。なのに、ずんずん心がわしづかみにされていく。
文句垂れつつ練習に励み、走ることの意味を観客に問いかける。
「走る」ことがこの映画のウリなのだが、その映像はことのほか美しい。
空撮、クレーン、車輌撮影、ハイテク化された情報網などが駆使されて迫力がある。
小旗を持って応援するエキストラも何万人かが動員された。
しかも出演の若手俳優たちが、演技以前に求められるトレーニングも熾烈を極めたという。
ことに神童という綽名の橋本淳が、田舎のおふくろさんと電話するシーンは泣けちゃいました。
それと千住明の音楽がいい。
ご存知だろうが、箱根駅伝は往路復路を合わせて全長217,9㎞。
鶴見から戸塚までの23,2㎞は各校のエースが集う。
花の2区と呼ばれるだけに、走行距離が長く、後半は権太坂の難所が選手たちを待ち受けて
いる。
湘南の海岸線、トンネル、芦ノ湖、富士山へとめぐりるましく変化する景色に、学生たち
の過去の挫折や複雑な家庭事情が重なる。
そこにいない9人は今その瞬間を走る一人に呼吸を合わせる。
彼らの感情の起伏がストレートに伝わってくる。
孤独な走りの中で知るのは?一本の襷を通じて、自分以外のだれかを「恃(たの)む尊さ」に
気づいていくのだった。
主役を演じた小出恵介(↑画像)さんが舞台挨拶で言った。
観客の皆さんに襷(タスキ)を本日お渡ししました。あとは、一人でも多くの人に、
このタスキをつないでほしいのが僕の夢です・・・と。
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