桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

2011-01-07 | Weblog
塀の中にいたときは暦に敏感だった。体温しか新しい温かさのない独房では、何よりも寒さは大敵だった。だから、温かい春を待ち望み、1日ごとに暦を確かめ、夜明けの時刻や日差しの長さを計りながら過ごしていた。
身体的には厳しい体験だったが、風の中に含まれり香りにまで、季節を感じて生きていた月日は、人間としては豊かな思いを味わったように感じる。
寒い朝は、すぐにストーブ、空調、日差しさえも自由に味わえる生活は、人としては当たり前なのだろうが、何かを失っていることだけは確かだ。
今朝は、殊の外に冷えて、さぞや獄にある仲間は寒かろうと思ったらば、1日も早く仲間にも自由を取り戻したいと思ったし、そのために俺の為すべきことを果たさなければならないとも思った。
今日から活動が始まる。冤罪を作る検察の横暴を食い止める俺の闘いが始まる。

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