桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

東電OL殺人事件

2011-07-22 | Weblog
昨日、読売新聞の記事で急展開が報じられた。
今、話題の東京電力に勤める女性幹部職哦、夜は渋谷で娼婦をしていた話題性もあり、大きなニュースになった事件だが、犯人とされたネパール人のゴビンダさんが1審で無罪になったのに釈放されず、僅か半年余りの審理で逆転有罪になった経過も含めて、この事件は長く話題になった。
俺は、ゴビンダさんに面会したことがある。
ごく普通の外国人だし、善良さが瞳に顕れている人だった。無実の罪で人生を奪われ、刑務所へ行かなければならない苦痛を訴えるゴビンダさんに、俺は「本当に人を殺した人は希望がないけど、ゴビンダさんは、明日、無罪が判って自由になれるかも知れない希望があるから」と言ったが、今、その希望が見えて来たと思ったらば、ゴビンダさんの喜びを思えて涙が沸いて来た。
ゴビンダさんは自白をしていない。証拠もない。だから、1審の無罪で終わる事件だったのだが、これを難しくしたのが、有罪魔の高木俊夫だ。こいつは、今、冤罪を作り続けている小倉正三と同じ人種の最悪の裁判官だった。
1審が長く審理して無罪としたのに、僅か半年の書面審理で有罪にしたのだ。ゴビンダさんが、この女性を買い、性交渉したコンドームが便所にあり、それと部屋にあった体毛のDNAがゴビンダさんと一致したからとの理由だった。
今回、被害者の膣内に残された体液と部屋にあった体毛が一致し、しかもゴビンダさんのDNAとは違うと判った。
この鑑定結果が「ゴビンダさん以外に部屋に入った人はいない」として有罪にした判決の認定を揺るがす事実として報じられた訳だ。
このニュースに対して、検察は「有罪の根拠は、他にもある。冷静に対応する」とか言っている。真実の前に冷静の欠片も持たない検察は、全く事実に反することを言っているが、ゴビンダさんを犯人とする根拠は、DNA以外にはない。あるはずがない。
この事件の謎の1つに、被害者の所持品が渋谷から遠い大塚の民家の庭に投げ捨てられていた事実がある。将門の首じゃあるまいし、被害者の所持品が勝手に空を飛ぶはずはない。誰が考えたって、被害者を殺した人が奪い、そこに捨てたに違いない。でも、ネパールから出稼ぎに来て、仲間と一緒に暮らし、勤務先とアパートの往復を重ねて仕送りをしていたゴビンダさんは、全く大塚を知らないのだ。
この謎を解明できる人が犯人だ!当たり前だ。
この事実を検察は無視するが、こんな有力な証拠の問題点を見定められない検察は、恥ずかしくないのだろうか。
ゴビンダさんの有罪が確定して刑務所へ行くとき「私は無実で刑務所に行くのが苦しい。どうすればいいか」と言ったのに、俺は「刑務所は犯人が行って働くところ。でも、無実のゴビンダさんは無実で行く。だから犯人の人に負けないで、より一生懸命に働けば良い」とも言ったが、なかなか苦しい刑務所生活を送っていた。
きっとゴビンダさんは、今回の急展開を喜んでいよう!
ゴビンダさん、希望のときが来たぞ!頑張ろうな!

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