桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

2018-02-13 | Weblog
昨夕、気が付いたらば、登録してない人からの着信があった。
新聞記者かも知れないと思ってリターンしたらば、いきなり悪意ある語調の声が出た。
何と表現して良いか判らないが、荒んだ精神が放つ声と言うか、語調に毒のある話し方はヤクザ者。刑務所時代の友人たちも含むて思い当たる人が浮かばない。
薄気味悪い話し方に合わせるのにウンザリして、お宅、誰なんですか?と聞いたらば、判んねえのか!と、名乗った。
ビックリ!
昔、お世話になった会社の人だ。
社長が他界し、継いだ息子は心身症になり、借財のカタに家屋敷を失ったと聞いて、ときどき案じていたが、その声では、全く当時の容貌に繋がらなかった。
俺は驚いて、相手の名前を口走った途端、電話は切られた。
今までにも、何度も酔っては電話が来た。
そのときは、すぐに声を聞けば容貌に繋がり、あれこれの話をしたものだが、今回の悪意と敵意に満ち溢れた寒々しい声は、声だけに、ストレートに変貌を知らされた感じで、切られた電話の後、何とも言いようのない気持ちになった。
人生に不運はある。上手く行かないこともあるが、そこで挫けずに立ち向かえば、必ず新しい道はあるのに、振り返って過去しか見ず、不運に怒りと嘆きと呪詛ばかりを呟いている精神の声を聞いた感じで哀れだったなぁ。