桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

あるやり取り

2016-05-23 | Weblog
俺は、刑事訴訟法の改正は、必ず冤罪を増やすと思っている。確かに法文には全面可視化であるかのように書かれているが、可視化しなくても良いとする抜け穴が用意されているから、冤罪作りに手段を選ばない警察や検察が録音・録画を行うのだから、必ずや絵空事に終わるだろうとも思っている。
しかし、可視化されると善意に解釈する人は「これを第一歩として段階的に可視化を拡大する、運用で全面可視化を実施させる」と語る。
ある若手弁護士と「全面可視化などは無理、いや現実的に始めることに意義がある」などと議論した俺は、その心意気を激励して「もし運用で全面可視化が行われたならば、俺は自分の不明を恥じて社会的な発言は止める」と書き送ったのだが、それに対して「冤罪体験者として社会的に発言する必要があり、発言を止めないように」との言ってくれる書き込みがあった。
今回の可視化法案は「裁判員に関わる事件と検察官独自捜査事件」だけの全面可視化だ。ところが、冤罪事件は微罪での別件逮捕にはじまり、微罪での取り調べで「自白」をさせて本件に進むのが警察の常套手段だ。この「微罪での取り調べ」は可視化されるのだろうか?そして、林刑事局長は「別件で起訴した被告人となれば法律条文で可視化の義務ななくなる」と答えている。これで全面可視化は実現しますか?
あり得ない。
過去の冤罪と同じように、殴って蹴って脅して痛め付け、「やった」と認めさせたらば録音・録画の開始。その映像で、何も証拠がないままに無実の人は有罪になるだろう。そう、物的証拠には、何も結び付かないままに有罪にされた今市事件の勝又さんのように。
俺が社会的に発言を止める日なんて、来るはずはない。まあ、この確信が裏切られたならば、それは嬉しくて有り難いけどね。

名古屋

2016-05-23 | Weblog
昨日は救援会中村支部の再建集会に招かれた。
名古屋は布川事件を支えてくれた守る会があったところで、久しぶりにお会い出来た人もいたが、何時も通りに話して唄っての1時間半弱だった。
救援会の組織が増えることは、それで助けられる人も増えるということだから、俺にとっても嬉しい昨日だった。
懇親会からカラオケへと流れ、今まで何度も会っているのに知らなかったが、同級生になる女性がいて、楽しく唄って話した夜になった。