桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

青山

2010-07-13 | Weblog
今夜は、先の異普奇会で出会った、西尾さんと言う女性経済人の会社で布川事件を語る集いが開かれた。
普段、冤罪などとは縁がない、社会の勝者と呼ばれる世界で暮らす人たちが集まった集会だったが、布川弁護団の柴田先生や狭山事件の関係者、痴漢冤罪の支援者なども交じり、36名が参加しての集会だった。
何時も通りに話、交流会をして終わったらば、若い男女か「積極的に話す!」などと促されて来た。
どういうことかと聞けば、二人は夫婦だとかで、旦那は、少し前に窃盗の嫌疑をかけられて警察に出頭を求められたらしい。でも、湯河原で俺の話を聞いていたから、その出頭を拒否して、その後は、今のところ何でもなくて冤罪にならなくて済んだ!と、お礼に来てくれた二人だった。
詳しく聞けば、一度、数時間だけ調べに応じたらしいが、それは苦しくて、嘘の自白わする人の気持ちが判ったと言う。桜井さんの話を聞いていなければ、やったと認めていたかも知れないと、涙ぐむ夫君の話を聞いて、凄く嬉しかった。
俺の話で救われた人がいるなんて!
頑張らなくては!
写真は、超豪華な、西尾さんのご自宅の会場。

目礼

2010-07-13 | Weblog
バスを待っているときに通り過ぎた郵便配達員。バスの乗客。俺と目が合ったらば、小さく目礼する。
どちらも知らないはずの人だが、これは再審効果?
まあ大部分の人は、目が合っても何事にもなく逸れて行くから、判らないのだろうが、この程度ならば助かる。
菅家さんと一緒にいて判るのは、如何に菅家さんの顔が売れているかだ。知らない人はいないみたいな感じで、どこへ行っても「菅家さん!頑張って!」。それは嬉しいだろうが、恥ずかしいし、煩わしい。
俺はなりたくないと思っていたが、今のところはセーブだね。
あと何回か判らないが、さっさと終わらせたいねぇ。

ムクゲ

2010-07-13 | Weblog
我が家の庭に木があり、一輪だけ咲いている。写メで撮り、ブログに載せるつもりが、バスの時間に追われて忘れてしまった。
少し沈んだ紅色の花が、もう草が伸び、青苔の生えた庭に彩りになっているのは、かなり侘しい情景だ。
確か、ムクゲだと思うが、俺は草花にも無知で、そうだとは言えない。
きっと父が植えたものだろう。
俺が獄にいる間、父も母も、この家で生きていた。どう過ごしていたものか、今になっては知るすべもないが、絶対に平穏ではなかったことだろう。
もうすぐ終わるだろう布川事件被告人としての日々を思うと、何事にも父や母を思うが、この紅色の花を二人が見ていたときを思うと、改めて親不孝だった月日を考えてしまう。
今、このときの思いを知って貰えたならば、どんなにか安らかなになるだろうに、