桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

稽古

2009-05-19 | Weblog
明日は裁判員制度での大集会だ。
集会で芝居をしてくれる役者さんの稽古に立ち合っていたが、熱心に頑張ってくれているので、当事者の俺は途中で帰るわけにも行かず、最後まで見ていた。
さすが役者、流れになってみると、これが決れば来てくれた人に満足してもらえると思った。
後は、明日、どれだけの人が来てくれるかだなぁ。

今昔

2009-05-19 | Weblog
俺が逮捕される前、電車の中で化粧する女性は限られていた。一般の社会人では、まずいなかったと言って良いと思う。もしかするといたのかも知れないが、それは限られた一部の人だけだった気がする。
今日も東京へ向かう電車の中。大学生か社会人が、とにかく普通の若い女性が気合いを入れたメイクをしている。長い付け睫毛に、更に何かを塗り重ね、アイラインを引いては、そこにも何かを塗り、頬にはファンデーション?キティちゃんの手鏡を見入りながら、最後は眉に墨を入れているが、誰のために、何のために装い、化けているやら。
昔は、夜の蝶と呼ばれた人たちでさえも家を出る前に化粧は済ませ、人様の前で化けるようなことはしなかったものだが、社会のタガが外れてしまい、慎みや恥というものが失われてしまったようだ。これからどうなる、なんてことは思わないし、なるようになるだけなのだが、日本は変わった証だね。

結婚

2009-05-19 | Weblog
俺は冤罪と闘っているから、闘う仲間と付き合いができる。
その一人にビラを配っていたのを国家公務員法違反で弾圧された堀越さんがいる。堀越さんは日曜日、自宅の近くで政党のビラを配っていたのだが、日曜日に何をしようと、そんなのは個人の自由、勝手だよね。だから、業務が公正でなくなるってのが犯罪理由らしいが、じゃあ自民党はどうなのよ!だね。官庁ぐるみで選挙をしてる。
堀越さんが配っていたのが共産党のだから弾圧された、早く言えば、そうなのだけど。
その堀越さんが結婚した。55歳まで気楽な独身生活。無精髭に背広でもラフと感じる服装。気ままな生活を全身に表して闘っていたが、突然、服装、容態が変わった。何事ならん!と思ったらば、彼女の存在だった。「 なかなかいいもんだよなぁ」 とベランメイ言葉でニヤケタのは、何時だったか。でも、最近はどこか沈んでいるように感じた。まあ野生馬が妻という厩舎に収容されて調教され始めた訳だから、その気持ちは判るよね。
結婚祝う会は、堀越さんのお人柄を示すように、明るく楽しいものだった。律儀に二回の挨拶を明確に区切り、序文、本文的に語った、堀越さん自身の挨拶が笑わせてくれた。
それに合わせたように祝辞や歌も弾けて、こんなに楽しい結婚祝う会は始めてだった。

保守王国・茨城

2009-05-19 | Weblog
茨城は関東でも名立たる保守的な地域だ。選挙をすれば自由民主党が圧勝するし、黒い霧で逮捕された県会議員が警察の牢屋から立候補しても当選してしまうような有様でもあった。
その茨城県政を牛耳っていたのが、自民党の山口武平氏に川口三郎氏だった。このお二人はライバルで、やがては袂を分かち川口氏が自民党を追い出されるように離党し、先の県議選で当選直後に病で他界するのだが、いわゆる闇社会にも通じていて、川口三朗氏は俺も良く知る組関係に支援された選挙をしていた。山口氏については、残念ながら諷聞だけで実体は知らないが、氏の絶対権力者としての存在は有名で、俺の取材に来た新聞記者がため息混じりに「恐いくらいに力を持った人ですね」と話してくれた。山口氏は国会議員でさえもひれ伏す存在らしいのだ。
この忠臣蔵の討ち入り合言葉と同じ山と川の存在は茨城県政の歴史として長く語り継がれようが、どうやら長い保守県政も流れが変わり始めたようだ。
茨城県の保守県政を支えた茨城医師会が自民党から大量離党して、今後の選挙に多大な影響を与えるだろうとニュースになっている。小泉改革による毎年医療費を2200億円も削減し続けた愚政が保守王国の中枢だった医療界を離反させたのだ。
保守ということは権力者、治世を行う者の意識に近いということだ。一般県民の多くが擬似権力者な訳だが、持てる者と持てない者、若者が結婚さえ出来ない貧困や生きていけない貧困が蔓延した社会的な異常は、今の政治の異常さをも知らしめたということだろう。しかし、言葉は恐い。小泉さんが自民党をぶっ壊す!と言って人気を集めた、あの言葉は、確実に実現されている。保守王国・茨城が変わり始めている。