桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

山古志村へ

2008-06-03 | Weblog
全員離村という大被害の爪痕は、もう余り目立たなくなった山古志村に行って来た。山々に見られる土砂崩れ跡に災害の大きさを窺い知るだけの感じだったが、東竹沢木篭地区に残る土砂に埋もれた家々を見たとき、初めて地震の凄まじさを知った。
しかし、四年の月日で完全に復興した村落を見て歩き、自然の破壊力と同じに人の力の大きさも感じた。中山ズイ道を掘り抜いた意志にも触れて来たが、人の力も偉大だ。
今回のバス旅行は水戸映画サークルの仲間たちと、毎年映画にちなんだ土地を訪ねるもの。長岡市の職員が案内をしてくれたが、その方を初め、昼御飯を用意してくれた民宿の方、野菜売りの小母さんや中国大地震の募金を訴えに来た中学生まで、出会った人たちの持っている雰囲気の安らかさと言うか温かさが、とても心に残った。
大災害は不幸だった。でも、そこで知った人様の援助から受ける有り難さと喜び。きっと俺が冤罪に出会って得た有り難さと喜びと同じものを、この山古志村の人が知ったのではないか。故の、この村の人々の雰囲気なのではないかと感じた。
人はどのような人と出会うかで人生が変わる。そして、人との出会いは生き方、行動によって決まる。
何度も腹が痛くなるほどに笑った楽しい旅をして、改めて、こういう皆さんと出会えた自分の冤罪人生を良かったと思えた。