忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

いのちの水

2005-07-31 | 日々
 この夏、炎天下での農薬散布は厳しいものがある。ゴム手袋とゴム長に防護合羽を着てマスク姿の作業は、慣れているとはいえ熱中症にもなりかねない。
 気分が悪くなると合羽の上から頭に液剤をかける。わずかの温度差でもしばらくは助かるかと、たまにやってみる。
 水の枯れた小さな谷川を越えるとき、水の存在を半分予感し作業を中断し藪の中へ入って行った。
 昔の場所にやっと手で掬える程度の水溜りがあった。水が姿を見せているのはそこだけで、水は動いていてきれい。
 砂を驚かせないように、そっと口をつけすすった。のどを通ると生き返ったようで、おいしかった。以前の大雨で水脈も洗われたのか、昔の味が蘇っていた。
 帽子も濡らしもう一度水を飲んで作業に戻った。水をくださいと言いながら死んでいったという被爆者たちのことを、ふと思い出した。