イスラエルのアメリカ大使館を、エルサレムに移したことに抗議するパレスチナ側の抗議デモに対し、イスラエル軍が発砲、乳児を含め60人が死亡、多数の負傷者が出た。
何も無抵抗なデモに実弾を打ち込む必要がないと思うが、このイスラエルの無慈悲な蛮行に対し、世界の怒りが募っている。
パレスチナ人に対するイスラエルの強硬手段は、今に始まったことではないが、こんなことを繰り返しているから、イスラエルは世界の多くから憎しみを買うことになる。
しかし、発端は、昨年12月アメリカのトランプ大統領が、これまで封印されていた大使館のエルサレム移転を決めたことによる。
トランプ大統領は、アメリカに強大な力を持ち、娘婿も信仰するユダヤ教徒と、自らも信仰しているキリスト教福音派の支持を得るため、世界中の反対をしり目に、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移すことを決めた。
もう、その段階から、パレスチナの反発を買い、アメリカが仲介していた、パレスチナとイスラエルの和平について、崩壊することは目に見えていた。
大使館をエルサレムに移した段階で、アメリカは仲介者の役目を放棄したに等しい。トランプ大統領は、自らの選挙基盤を固めるため、長年、歴代の大統領が築いてきたパレスチナ和平への努力を台無しにしてしまった。
そればかりではない。トランプ大統領は、オバマ大統領が欧州諸国、ロシア、中国とともにまとめ上げたイランとの核合意についても、一方的に破棄した。そのため、イランとイスラエルは、互いにミサイルを撃ち込むなど、この地域の平和も脅かされつつある。アメリカはトランプ氏の独断を何とか抑えられないものだろうか。「関連:5月9日」