逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

憲法や民主主義の原則に反するGSOMIA

2019年08月26日 | 軍事、外交

GSOMIA 正しい歴史認識の大切さ『2019年8月24日付けしんぶん赤旗』 

韓国政府によるGSOMIAの終了通告を受け、事態をどう見るかについて元外務省国際情報局長の孫埼享さん、軍事ジャーナリストの前田哲夫さんに聞きました。

軍事ジャーナリストの前田哲夫さん((1938年9月28日生まれの政治学者、元東京国際大学国際関係学部教授、元沖縄大学客員教授。日本国憲法9条擁護の『非武装中立』の旧社会党のブレーンとして知られる)

『歴史認識の視点に立て』 前田哲雄

第一次安倍政権下(岸田外相)の2007年に、最初の米国と結ばれたGSOMIAは秘密軍事情報の漏洩防止をたてに軍事情報を国民から隠す協定で、国民の知る権利を制約すると指摘されていました。当時、日本政府(安倍晋三首相)は、新たな法律を制定する必要はないと説明しました、しかし、協定は日本に特定秘密保全処置の徹底を義務付けており、それが2013年(第二次安倍内閣)に特定秘密保護法として実現し、安保法制に大きな影響を与えました。(以下省略)

『秘密軍事情報の保護』(主権者たる国民からの「監視の目」をくらます目的)

GSOMIA秘密調印の翌日2016年11月24日付けハンギョレ新聞社(当時は野党系で現在は与党系)は 「朴槿恵は父親の祖国である日本のために死ぬ覚悟を決めたようだ」との超過激な見出しの記事を書いてる。

そのハンギョレ新聞社はGSOMIA(じーソミア)のことを『23日、韓国と日本が軍事情報の直接共有のための軍事秘密情報保護協定を締結し』と書いているのです。GSOMIA(じーソミア)を『軍事秘密情報保護協定』と書くか、それとも日本政府やマスコミとか他の有識者のように軍事情報包括保護協定とするか(『秘密』の文字を入れるか、それとも入れないか)で、中身が同じでもイメージが大きく違っていた。

正式名称は秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定Agreement Between the Government of Japan and the Government of the Republic of Korea on the Protection of Classified Military Informationなので、正しい歴史認識では『日韓秘密軍事情報保護協定』である。

この3年前のハンギョレ新聞記事ですが今回のしんぶん赤旗記事の秘密軍事情報の保護が目的だと明確に断定した前田哲雄とほぼ同じ見解である。★注、日本共産党機関紙しんぶん赤旗は、党支持者とか共産党員以外の外部の有識者の意見を載せることは少ないが、この『秘密軍事情報の保護』こそがGSOMIA(じーソミア)の本質問題だと論じているのは3年前のハンギョレ新聞記事と前田哲司の2者だけ。赤旗を含むマスメディアや有識者にはこの視点が欠如している、

日韓GSOMIA、訪印など

石破 茂 です。  
韓国政府によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄により、日韓関係は問題解決の見込みの全く立たない。
防衛庁長官在任中、アジア安全保障会議でシンガポールを訪問し、リ・クアンユー首相(当時)と会談した際、親日家の同首相は日星安全保障協力の重要性について語った後、私に「ところで貴大臣は日本がシンガポールを占領した時のことをどれほど知っているか」と尋ねました。
歴史の教科書程度の知識しか持っていなかった私に対し、同首相は少し悲しそうな表情で「更に学んでもらいたい」と述べました。意外に思うとともに、自分の不勉強を恥じた・・・
我が国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかった ことが問題の根底にあり、それが今日様々な形で表面化している。
これは国体(天皇制)の護持と密接不可分であったため、諸般の事情をすべて呑み込んだ形で戦後日本は歩んできた
ニュルンベルグ裁判とは別に戦争責任を自らの手で明らかにしたドイツとの違いは認識しなくてはならない
・・・
(石破茂オフィシャルサイト2019年8月23日記事から抜粋)

★注、
政界で唯一の軍事オタク政治家である元防衛大臣の石破茂の歴史認識ですが、これは『逝きし世の面影』2011年02月19日記事とほぼ同じだったのですから興味深い。(物事を判断する基準を自分自身の『善悪』ではなくて、客観的な『正誤』の視点だけで判断すれば政治的立場に関係なく、必ず『同じ答え』が出てくる。(遭難時のサバイバルとか軍事問題では、『こう考える』『こう見える』などの主観は何んの関係も無い。科学的な客観的事実を正しく把握したものがけが生き残る可能性が出てくるのである)

 

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 『韓国 軍事情報協定破棄』

政府発表 日本政府は抗議 2019年8月23日(金) しんぶん赤旗

韓国政府は22日、日韓の軍事機密の共有に関するルールを定めた軍事情報包括保護協定(GSОMIA)を破棄すると発表しました。協定の自動更新の期限である24日までに日本政府に書面で通告します。
韓国政府は22日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開催。GSОMIAの延長可否をめぐり議論しました。会合後、大統領府の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は会見で、破棄の理由として、「日本政府が2日に明確な根拠を示さず、韓日間の信頼が失われ安保上の問題が発生したとの理由で貿易管理上の優遇対象国から韓国を除外した。両国間の安全保障協力の環境に重大な変化をもたらしたとみなした」と説明。「こうした状況で安全保障上の敏感な軍事情報交流を目的にした協定を維持することは韓国の国益に合致しないと判断した」としました。
GSОMIAをめぐっては、日本政府が元徴用工をめぐる韓国最高裁判決に対する報復措置として、韓国向けの輸出管理を強化して以降、韓国政府内で「韓国を信頼できないとする国と敏感な軍事情報を交換することが正しいのか」などと、見直しを示唆する声があがっていました。今回の決定で悪化している日韓両政府間の関係が、いっそう深刻化するとみられます。
GSOMIAは、米国の「ミサイル防衛」システムに日本や韓国を組み込むためのもの。日韓間では2016年11月に締結。有効期間は1年で、期日の90日前に当たる毎年8月24日までに一方が破棄を通告しない限り自動的に延長される仕組みでした。
日本政府は22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた韓国政府に外交ルートを通じて抗議しました。

『GSOMIAの賛否を明らかにしない赤旗』

8月23日(金)付け しんぶん赤旗の記事ですが、嘘の類は一行も書いていない。ところが他の大手全国紙と同じで残念ながら一番大事な真実も矢張り書いていない。そもそも、この赤旗記事では政党機関紙なのにGSOMIAについての賛否を明らかにしていないのである。(★注、実は立憲民主党など他の野党全員がGSOMIA終了を残念に思っている『GSOMIAを正しい』との安倍自民党政府とかマスコミ、有識者と同じ態度なので、もし野党共闘を最優先するならGSOMIAの反対はブレーキになる)
他のマスコミに比べて赤旗が唯一優れているのは 『日韓間では2016年11月に締結』とGSOMIAが署名された『月』が入っている程度。これでは『命令拒否は死刑か懲役300年』との大名言で有名な超お馬鹿に見える石破茂と比べて保守的過ぎるのである。(知的エリートの共産党委員長志位和夫よりも、唯一の軍事オタク政治家の石破茂の方が左翼だったとの笑い話)

★注、
30年以上前の共産党は今とは大きく違い石破茂8月23日記事と同じで、日本国が敗戦責任(戦争責任 これは国体(天皇制)の護持と密接不可分だった事実を知っていた。

 

世論は風だ。すべてを決める世論とは何だろう。永田町を知り尽くした山田孝男特別編集委員の名物政治コラム。毎週月曜更新。

風知草

もっと届く言葉を=山田孝男

 安倍晋三首相の寿司トモで、『政権に最も近い政治記者』として有名な毎日新聞編集委員の山田孝男の社説的コラム『風知草』もっと届く言葉を(会員限定有料記事 毎日新聞2019年8月26日)の中身ががなんとも???だった。
読んでみて驚いたのだが、あの軍事オタクの石破茂のように、共産党委員長志位和夫(赤旗)よりも山田孝男の方が『左翼的』だった。他の政治家やジャーナリスト、有識者の全員が怖がって沈黙するなかで、御用筆頭の山田孝男一人が、恐ろしい真実の断片を語っていたのである

 
絵・五十嵐晃

日韓の安全保障連携の糸がプツンと切れた。
よもやと思われた、文在寅(ムンジェイン)韓国大統領の日韓ジーソミア(GSOMIA、軍事情報包括保護協定)破棄宣言(22日)である。 「日本が、元徴用工問題への報復で不当な対韓輸出規制をした」という文在寅政権の曲解を正さなければならない。元徴用工や元慰安婦の問題で無原則な譲歩はせぬという日本の決意を伝える必要がある。

そのために、韓国の良識ある人々へ届く言葉を探さなければならない。

★注
この毎日新聞山田孝男のコラム風知草の書き出しはごく普通である。
ところが、この続きが
『ジーソミアとは、政府同士が軍事情報を交換し合う際、第三国へ洩れぬように縛る協定である。』
と、さりげなく一行だけ一番大事な極秘情報を書いてあった。
何んと、ジーソミアとは、政府やマスコミ、有識者が口を揃えた言っていたような、日韓両国が『軍事情報を交換し合う』ことを定めてものでは無かったのである。

『民主主義の大原則から完全に逸脱している、ジーソミアの隠されていた怖ろしい中身』

政権に一番近い政治記者である山田孝男は、日本政府に慮って、『第三国へ洩れぬように縛る協定である。』と書いて怖ろしい内容を誤魔化しているが、分かり易く書けば、『主権者たる、自国民に対して軍事機密が漏れぬように縛る協定』である。第三国云々というが、本質は自国の一般市民に知られたくない(有権者から事実を隠す)軍部独裁を目指していたのである。
 
『国民主権を否定する軍部の暴走』
 
2007年に日本(安倍晋三首相)が、2016年には韓国(パク・クネ大統領)が結んだジーソミア(GSОMIA)ですが3年前のハンギョレ新聞が指摘したように主権者の国民から知られたくない事柄を政府(軍部)が全部『軍事機密』として丸ごと隠すことを目的とした『秘密情報保護協定』であり、これは例えるなら1932年(昭和7年)の五・一五事件やその4年後の二・二六事件に匹敵する民主主義にとっては危機的な大事件(下剋上)だった。あるいは市民生活まで監視した治安維持の憲兵隊の再来なのである。

 


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歴史 (ちくわ)
2019-08-26 01:05:09
今年の敗戦記念日でいくつか特番がありました。
内容は一言で言えば「日本人がいっぱい犠牲になった」という事でした。
それは大切な面でありますが、他国に対して何をしたのかという視点はいつものようにスッポリ抜け落ちておりました。
反戦平和への思いになればまだしも、逆に
「ここまでされたのに日本は我慢している。だから我慢しない中韓は悪だ」
という歪んだ憎悪に繋がっている一面もあるように思えます。
結局こういう情報の偏り自体が、真の反省にほど遠い状況を示しているのでしょう

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