バッハ会長のマスク=青野由利
2021/7/17 毎日新聞朝刊 <do-ki>
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日で、前回から気になっていたことがある。到着時にしていたマスクはN95なの?という疑問だ。
高性能のN95マスクは日本ではもっぱら医療現場で使われ、日常生活では見かけない。橋本聖子さんも、菅義偉首相も、普通の不織布マスクを使っているように見える。
きちんと装着するのが難しく、長時間着用すると息苦しいと聞く。11年前のインフルエンザパンデミックの時には私も購入したが、試してみたことはなかった。
残り737文字(全文967文字)
有料記事なので要約して文字起こしすると、
今回車から手を振るバッハ会長の画像解析からマスク表面に「FDA CE FFP2」「KN95」。FDAは米国の、CEは欧州の認証。FFP2は欧州の規格で、米国規格で粒子ろ過率95%以上のN95に相当する。バッハ会長は医療用N95を付けていたということは。「安全安心」と言いながら感染が怖いらしい。
バッハ会長の母国ドイツでは今も医療従事者や公共交通機関、高齢者介護施設ではFFP2(N95)が義務付けられている。
感染拡大する東京との行き来を自粛を求められてい広島に、なぜ今、人々を引き連れていかねばならないのか。
ただでさえパンデミック下の五輪は国民を分断している。広島という日本人にとって大事な場所をめぐり、亀裂を広げないでほしいと思うのだ。
日本国内では五輪マーク入りの別のマスクも使っている。布製に見えるが素材は分からない。
(科学担当の毎日新聞専門編集委員)
(科学担当の毎日新聞専門編集委員)