逝きし世の面影

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続、米国の食肉産業とBSE(アメリカ農業の現状と日韓の対応の違い)

2008年05月06日 | 経済

アメリカ国内で2003年12月BSE(牛海綿状脳症)の発生以前の2002年時点で、
アメリカ農業は、最も国際競争力の高い部門で、アメリカの農産物販売額は20兆円、このうち牛肉産業は4分の1を占める5兆円で、農業分野では最大の産業となっている。
牛肉生産量は860万トン、このうち78万トンが輸出されていた。その最大の輸出先が日本で22万トンであった。
この数字は、当時の日本の全輸入牛肉の4割りを占めていた。

しかし、現在は輸入が再開されているものの、2万トン程度で全輸入量の数パーセントで貿易額として統計的には取るに足らない数字である。

米国の牛肉生産量は、1228.9万t。
消費量は.、1264.5万t。
自給率は、97.2%
米国は、食肉の国内消費を自国で賄えないのでオーストラリア等からの輸入で不足分を補っている。



『アメリカ国内の食肉消費事情』

【ワシントン20日共同】米農務省がまとめた家畜需給見通しによると、牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴う日本などの牛肉輸入禁止が続いた場合、2004年の米国の牛肉輸出は、過去最高を記録した03年の25億7000万ポンド(約117万トン)に比べ、10分の1以下の2億2000万ポンド(約10万トン)へ急減すると予測していることが20日分かった。
 禁輸措置が長引けば、米国の輸出可能な主要国はカナダだけになるためで、農務省は「米国の牛肉関連産業は早期輸出再開という難題に直面している」と指摘している。  
ただ牛肉生産量は国内需要が堅調なことから254億ポンド(約1152万トン)と前年比約3%の減少にとどまる見通し。牛の処理数は15%程度の落ち込みを見込んでいるが、牛の肥育状態が改善することで生産量の維持につながると分析している。
2004/02/21 01:03 【共同通信】




『オーストラリア産の輸入牛肉』

豪州産の輸入量は、穀物肥育牛肉の生産拡大などから、順調に増加してきた。
しかし、牛肉の消費量全般が落ち込み、02年度は減少した。
03年度には国内の牛肉消費回復に伴い、輸入量も前年の同じ月を上回った。
さらに、米国産牛肉の輸入停止の影響により、04年以降は大幅に増加し、40万トンの大台を超えている。





『日本の食肉輸入の経緯』

02年度、日本国内でのBSE発生に伴う消費減退から輸入牛肉も大幅な減少となった。
03年度には回復に転じたが、米国でのBSE発生に伴い、米国産牛肉は03年12月24日から輸入が停止された。
05年12月12日、米国産牛肉が輸入解禁される。
一ヵ月後の、
06年1月20日米国産牛肉から特定危険部位(SRM)の背骨が発見され、再び輸入停止となる。

06年7月27日に輸入が再開されるが、月間2千トン程度。

再開三ヵ月後の
2006年11月8日、輸入許可違反のリンパ組織「胸腺」混入がが発覚。

違反発覚三ヵ月後の、
2007年2月16日、輸入条件違反の牛肉 がまたもや見つかる。

一年後、とうとう、
2008年4月28日、米国輸入牛肉の中に、BSEの原因物質とされる特定危険部位の脊柱が発見される。







『韓国の米国産牛肉輸入事情』

2006年9月にアメリカ産牛肉の輸入を解除したが、韓国国内市場には一度も出回っていない。

(韓国が輸入解禁条件)
1)生後30カ月以下の牛であること
2)脳、脊髄、腸、骨が除かれていること。

06年10月30日、韓国の検疫所は、全量をX線異物検知器にかけて、720箱中1箱から小指の爪程度の1個の骨片を発見。
720箱全部を廃棄もしくは米国へ差し戻した。

06年11月23日には2回目の輸入牛肉が届いた。
今度は3つの骨のかけらが見つかり、全量廃棄または差し戻し処分がおこなわれた。

韓国政府の農林部は、「今になって骨片の規制基準を1センチ以上へと緩和するなんてできないでしょう?
骨片がBSEの危険部位である可能性はそれほど高くないにしても、もし国民が米国産牛肉を食べて、骨のかけらが出てきたら、どんな反応をするでしょうか」とコメントしている。

06年12月1日には3度目の輸入肉10.2トンがネブラスカ州から届いた。
そこでも7個の骨片が発見され、全量廃棄・差し戻し処分。
これで輸入再開から3回の輸入22トンの肉が全量差し戻しになってしまった。

さらに韓国は、3度目の輸入牛肉に対して、ダイオキシンの残留検査を実施。韓国の基準値を超えるダイオキシンがみつかったと発表した。

アメリカにおける牛肉問題のロビー団体である米国牧畜業者牛肉協会は、ロイターの取材に対して「韓国向け輸出は、現在の骨抜き肉だけではほとんど商売にならない」と本音を覗かせている。


2008年05月04日、米国産牛肉の輸入再開を巡って、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領に批判が集中している。国内畜産農家などの反発に加え、先月末に牛海綿状脳症(BSE)を特集した国内テレビ番組の放映がきっかけで一般国民の不満が爆発。
ソウル市中心部で大規模な「輸入反対」市民集会が開か、統合民主党など野党は7日、国会で開かれる米韓の輸入制限撤廃交渉に関する聴聞会で、政府の責任を追及する構え。担当閣僚の解任を求める声や、米国に再交渉を迫る声も上がり始めている。







『日本に入った違反牛肉の行方は?』

日本に対しても、様々な違反肉を輸出しながら、違反を謝るどころか反対に、そのたびに生後20カ月を緩和してアメリカ国内並みの生後30カ月以内にしろという圧力をかけてきている。
危険な違反牛肉から、自国民の保護を優先する韓国政府に対して、他方、日本政府の対応はどうか?
 昨年11月に見つかった胸腺の混入した牛肉はどうなったのか厚生労働省に聞いてみた。
「胸腺の肉一箱は廃棄処分になった」とのこと。
では同時に同じ工場から輸入された759箱(約11トン)の肉は、とたずねたところ、一時的に日本に留め置きにされ、同施設を視察の上、改善措置が確実におこなわれていることを確認されて輸入が再開された12月26日の段階で、輸入手続がとられたとのこと。
すでに危険を何も知らない消費者に届けられている模様。

日本の場合、違反した工場からの輸入肉は、改善措置がとられる前に輸入されたものについても、輸入を許してしまったということになる。

全量廃棄、またはアメリカへ全量差し戻す韓国政府。
反対に、発覚した違反部分だけを廃棄して、その他の残りを自国民に食べさせる日本政府。

『モッタイナイ』と客の食べ残しを、次の客に使いまわした高級料理店船場吉兆の非常識以上の日本当局の非常識な対応振りである。


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7 コメント

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オーストラリア産の輸入牛肉 (kaetzchen)
2008-05-06 19:53:44
の比率が多いのは,民主党系列のスーパーが豪州の牧場と直接取引して輸入しているという事情もあるでしょうね.

豪州産は硬いという悪口がアメリカから出ていたが,どうしてどうして,実際に現地で食ってみるとオーダーの出し方でコックは焼き方を変えてくれる.つまり調理法で幾らでもオージー・ビーフは柔らかくできるのだ.同じことはスーパーの店頭でも言えて,ショーケースの向こうではハンマーの音が良く聞こえている.

ましてや,韓国でダイオキシンが検出されたとなれば,本来は輸入差し止めにするのが国の本来のあり方であろう.私たちは韓国に学ぶべきである.そもそも日本文化なんて支那と朝鮮から学んだものではないか.
保身術 ( 農婦)
2008-05-07 09:59:19
えてして、日本国民は保身術を見に付けてしまったのではないでしょうか?婦人団体にしろ学生にしろ、お上任せで、民衆が騒ぎ立てる光景も見ることはなくなったような感じがします。公務員になるのが夢(?)なんて考える若者が増えすぎてますし、親の希望でもあります。韓国のご婦人方はかっこいいですねー。
対米従属 (ブログ主)
2008-05-07 12:05:58
日本の自民党政府の対米従属と、一貫性の無い腑抜けぶりには、呆れ返る。
日本から見たら弱小国の韓国政府と、対応が余りに違いすぎる。
最初の取り決めは、日本のほうが20ヶ月未満で30ヶ月の韓国より厳しい。
ところが後がいけない。
一度決めたことは決めたこととして守り抜く韓国政府と、ズルズルと譲歩する日本政府。
特に違反牛肉の扱いがひどすぎる。
一箱違反していれば、全箱送り返すか焼却する韓国政府と、違反牛肉だけを送りかえす日本政府。
この自民党や公明党の連中は、ゴキブリ入りのドンブリでも、ゴキブリだけを取り除いて、あとのゴキブリの入っていたどんぶりを食べているのでしょうか。?
公務員=保身かなぁ(笑) (kaetzchen)
2008-05-07 12:32:59
うーん,やむを得ず公務員試験 (国費留学生) を受けた私からすると,他に選択肢がなかったからという消極的な理由になってしまいます(笑) お金持ちじゃなかったので,私費で留学なんてとても考えられなかったし,日本の低いレベルに閉じこもってるとダメになると真剣に思ってたしね.

韓国は光州事件のように,権力側が民衆を虐殺したような事件があって,それに反発して民衆からの民主主義が出て来た所があります.日本にいる在日の人でも一世は大陸と同様,感情を露にする所がある反面,二世や三世の人は日本になじんで感情を抑え込む傾向があるように思えます.私が行ってた国立大はクラスの0.7割ほどが韓国・朝鮮人で,非常に優秀で民主主義に関してとても関心があった記憶があります.

つまり,日本人は自ら民主主義を作り上げる努力をしなくなった時点で保守的になったのかも.安保闘争の沈静化がその典型例でしょうね.「拉致」問題も,被害者も実行犯も統一協会=勝共連合だという事実をマスコミが報道しないから,被害者可哀想で終わってしまう.本当に叩き潰すべきなのは統一協会や日本会議や創価学会などのカルト集団なのに…….

ゴキブリ入りのどんぶり (kaetzchen)
2008-05-07 13:21:40
ブログ主さん,こんにちは.広東省などの中国の南の市場では,ゴキブリが糸でつるされて売られてるんですよ(笑) あれも立派な中華食材らしいです.だから,粉々に砕いて,唐辛子ですよとウソをついたら,きっと自民党の連中は喜んでうどんにかけて食います(笑)
昆虫食 (ブログ主)
2008-05-08 10:55:23
東南アジアや、日本でも信州地方では伝統食として昆虫食の風習がある。
動物性蛋白質を得る為の牧畜では、牛肉1キロを得る為に十倍の穀物や牧草が必要で、牛が一番効率が悪いらしい。
牛→豚→鶏の順番に効率は良くなるが、一番効率が良いのは昆虫らしいですよ。
何しろ穀物や牧草の半分の昆虫淡白質が得られる能率のよさ。将来の食糧危機においては昆虫食が人類を救うかも知れません。
名古屋のチャイロスズメバチ (kaetzchen)
2008-05-08 21:06:38
は結構おいしいです.特に幼虫やさなぎがチーズみたいで美味です.成虫はさすがに焼いてもまずいですが(笑)

チャイロスズメバチというのは比較的高所に住んでて,キイロスズメバチを主食とします.環境の変化のせいか,市街地で巨大な巣を地面の中や屋根の下に作るようになったキイロスズメバチを集団で襲い,全滅させる最強のスズメバチです.

ただ,どちらも生命の危険を伴うのが…….ミツバチやアシナガバチだと刺されても大して痛くないんですけどねぇ(笑)

鹿児島県や沖縄県へ行くと様々なゴキブリが見られますけど,こいつらはさすがにすり鉢で粉にしないと,食べる気にはなれませんね(笑)

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