逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

北朝鮮代表 日朝合意履行に意欲(笑う金日成・正日親子)

2014年07月08日 | 東アジア共同体

『笑う金日成・正日親子』の巨大な肖像画の下で、日朝政府間協議に臨む北朝鮮の宋日昊・日朝交渉担当大使(右手前から4人目)と外務省の伊原純一・アジア大洋州局長(左手前から4人目)(1日午前、北京の北朝鮮大使館で)=田村充撮影 読売新聞7月1日記事から


『猫騙し?の猫騙し?』

ロシアの入れ子細工のマトリューシュカ人形のように、大きな猫騙しの中に中くらいの猫騙し、その中には小さな猫騙しと次々と中身が『猫ダマシ』の赤いニシン(間違いに誘導するニセの手がかり)で、なにが真実(本命)であるのかが分かり難い。
7月1日は極右の国粋主義者の安倍晋三首相による集団自衛権の閣議決定で日本国のマスコミは騒然となり、報道は『集団自衛権』一色となるが、同じ7月1日に中国北京の北朝鮮大使館では、歴史的な日朝合意が行われていた。
この『逝きし世の面影』では去年末の特定秘密保護法も今回の集団自衛権も、福島第一原発事故の放射能被害の国家的規模の猫ダマシであると主張していたが、日本がどうしても隠したい不都合は原発事故だけでは無いのである。
今から12年前の2002年9月17日、北朝鮮の金正日と日本の小泉純一郎と言う日朝両首脳による歴史的なピョンヤン宣言が結ばれた。ところが、安倍晋三副官房長官らの極右勢力による北朝鮮バッシングが大成功して日朝関係は最悪の状態に陥って現在に至っている。

『幻に終わった日本人拉致問題の完全解決策』

北朝鮮とパイプがある森喜朗首相や中山正輝拉致議連会長が密かに進めていた、シンガポールなど第三国で偶然『見つかった』ことにして、拉致被害者全員が無事日本に帰国する筋道が出来上がっていた。
不真面目に見える『偶然第三国で見つかる』シナリオですが、北は拉致を認めないことで『名』を取り、日本は全員帰国で『実』を取るので、日朝双方の外交的なバランスが取れている。
ところが2002年の小泉純一郎の突然の訪朝(ピョンヤン宣言)では、今までの筋書きとは大違いで、北朝鮮は拉致を公式に認めて謝罪して面子を失い、日本は拉致被害者死亡で実利を失うという最悪の展開になる。
2000年、韓国の金大中大統領が北朝鮮の金正日軍事委員長とのトップ会談実現の為に財閥の現代グループ経由で5億ドルもの大金を払った事がすでに判明している。
北に5億ドルも払った韓国の金大中大統領ですが世界はバッシングすろどころか、南北会談の偉業達成を称えて金大中はノーベル平和賞を授賞している。
そもそも外交交渉とは、金大中韓国大統領のように緊張緩和で戦争を抑止するものなのである。
産経新聞(2008.12.12 )に、『小泉政権が北朝鮮に100億ドルを支払う約束』との不思議な記事があるのですが、これが実は日朝首脳会談の真相に一番近いかもしれない。
5億ドルもの大金を払った韓国は1997年のアジア通貨危機で完全に破産してIMF管理だったが、当時の日本は世界第二位の経済大国なので20倍の100億ドルでも相場としては安いくらいである。
韓国からの5億ドルは現金だったが、日本の100億ドルが『北朝鮮に渡された』との形跡が無いので、ピョンヤン宣言は約束手形(債務証書)だったのだろうと解釈出来る。
それなら100億ドル(1兆円)のツケの清算が、今回の日朝合意の隠された中身であるとの結論になる。
踏み倒し(ピョンヤン宣言の破棄)て居直る覚悟が無いなら、借金(約束手形)はいつかは耳を揃えて全額払わなければならないが、それにしても最悪の時期である。
まだまだ余裕が有った12年前の昔とは大違いで、今の日本ですがレベル7の未曾有の原発事故で事実上の破産状態なのである。

『ホーム・アンド・ アウェー』

ブラジルのサッカーワールドカップですが、公平であるべきスポーツの試合でも何故か地元が有利なのである。ましてや外交とか戦争では圧倒的に地元開催が有利になる。
カイロ宣言とかヤルタ会談、サンフランシスコ講和条約など、歴史的な色々な国際条約とか会談が『地名で表記されている』のは十分に意味がある話なのです。外交交渉ですが、場所的に圧倒的に『ホーム・アンド・ アウェー』原則なのである。
今回の日朝協議が中国北京の北朝鮮大使館と言う、日本の完全アウェーでの『日朝協議の合意』だった。
ところが、その重大事実に注目している日本のマスコミも有識者も誰一人もいない不思議。
日本のマスコミ以外の外人記者の目には、『金日成と金正一親子の巨大肖像画』の下での日朝合意の意味とは、余りにも判りやすい。
今回7月1日の日朝合意とは、まさに『笑う金正一』的な話なのである。

『親密そうに笑いながら語りかける麻生太郎首相と、反対側にそっぽを向くオバマ大統領』

『ホワイトハウス公式ホームページの面白い(日本人としては腹立たしい)写真』(この時、オバマ大統領は自国の通訳の顔を見ながら話をしていたという)
それにしても写真は恐ろしい。
長い論説文よりも一枚の写真の方が、説得力を持っていたり『言葉の裏側』に隠されている真実を暴いたりする事が時たまある。
オバマが2008年末の大統領選でチェンジのキャッチフレーズで当選して、大統領として外国首脳との一番最初の会談が日本(麻生太郎総理)だった。
『ウェルカム 日本の首相』(Welcoming the Japanese PM )と題するホワイトハウス公式サイトに掲載されている2枚の写真が、二枚とも何とも不思議な出来具合である。
日米両首脳が親密そうに顔を近づけて語り合っているが、オバマは正面を向いて顔が写っているが、日本の麻生総理は薄くなりかけた後頭部だけが写っている失礼極まりない『日本蔑視』の二枚目の写真。

ホワイトハウスの2枚の写真には2枚ともが、お馬鹿な麻生太郎個人に対する隠す事が出来ないオバマのどうしようもない『嫌悪感』や『軽蔑感』が露骨に滲み出ている。
ホワイトハウスの公式サイトに掲載されている写真には、『日本国首相とは義理で会談するが、低脳右翼の麻生太郎個人とは話をしたくない。』とのアメリカのオバマ大統領の隠された本音が如実に語られている。

『日朝の二国間問題では無い、日本人拉致事件の解決』

『逝きし世の面影』ブログが何回も強調していることですが、北方領土も尖閣も竹島も同じで、決して日本とロシア、中国、韓国との『二国間問題』ではないのである。
日本は、アメリカが動かないと『話にならない』話を、まるでアメリカに関係のない話であるかのように進めている。
『アメリカのコミット』という一番肝心な問題部分を、マスコミや政治家は(アメリカに無関係な)『二国間問題である』と間違った方向に与論を誘導しているが、そもそもこれでは問題が解決するはずが無い。
(日朝両国には直接の領土問題が無いが)同じことが日朝の最大の懸案である日本人拉致問題も抱えている。
懸案が解決しない理由ですが、アメリカは日本が周辺国と揉める方が『日米同盟』のくびきから抜け出せないので国益に叶うのです。もちろんアメリカとしては、この事実を誰にも知られたくない。(だからマスコミは誰も語らない)
外交についての経験則のひとつは、『ステイクホルダー(利害関係者)の数が多ければ多いほど、問題解決も破局も、いずれも実現する確率が減る』ということである。
日本は69年前の敗戦で自主外交を諦め(放棄して)、あらゆる外交関係において、『アメリカというステイクホルダー』を絡めている。
日本国の場合、『二国間の問題の交渉』など最初から存在せず、必ずアメリカを直接当事者として含む三国間の話なのですね。
だから、日本がフリーハンドであれば達成できたはずの問題でも、アメリカが『YES』と言わない限り何十年も(拉致問題は12年も)さっぱり解決しないのは、不思議でもなんでもなく当然だったのです。
それなら今回『日朝合意』で動き出したのは、(安倍晋三の意向とは無関係に)アメリカのオバマ政権がゴーサインを出した結果であろうと推測出来るのである。
(逆にアメリカの『YES』が無かった場合、今回の日朝合意は破棄され即座に元の木阿弥の膠着状態に戻るでしょう)

『アメリカ(オバマ大統領)の北朝鮮政策が「方針大転換」の可能性』

1994年10月のクリントン大統領による『米朝枠組み合意』により緊張緩和が図られ半世紀続いていた冷戦構造(朝鮮戦争)が終結するかに見えたが、その後現状(冷戦構造)維持派が巻き返して『米朝枠組み合意』は棚上げされて、事実上破棄されている。
1991年に冷戦構造が崩壊した欧州とは違い、ユーラシア大陸の反対側の極東地域(日本とその周辺)では『米朝枠組み合意』の失敗で以後現在まで長らくポスト冷戦が続いていた。
朝鮮中央通信は7月7日、朝鮮半島の南北の無謀な敵対に『終止符を打ち、和解と団結の道を開かなければならない』とする長文の『共和国政府声明』を発表する。
この政府声明は初代の金日成主席が亡くなる直前に署名した南北関係およびその統一について記した『統一文書』作成20周年の節目に出されている。(この「共和国政府声明」は、金正恩体制に入って初めて発表されたもので、北朝鮮国内では国家最高レベルの声明)
声明では今年9月のに韓国で開催予定の『仁川アジア大会』に応援団を派遣するが、北朝鮮が韓国に応援団を派遣するのは2005年9月に開催された仁川アジア陸上競技選手権大会以来9年ぶり。
新華社は同声明を『北朝鮮は7日、政府声明を発表し、南北の敵対関係を終結させ、和解と団結の道を開こうと呼び掛けた』と、短く速報した。
ロシアの声(The Voice of Russia)は『朝鮮民主主義人民共和国政府は、韓国政府に対し、南北朝鮮統一と休戦への道を開く総合的措置を、相互主義を基盤として講じるよう提案した。』と朝鮮中央通信の7日の声明を報道する。
緊張緩和が口先だけなのか中身が有るのかは未だ不明だが、もしも7月1日の日朝合意とも関連しているとすれば本物である可能性も十分にある。
冷戦崩壊から20年以上経過して、遅すぎたがやっと極東地域でも冷戦が終わる歴史的な大変革が起きつつあるのでしょう。


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7 コメント

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想像力が豊か過ぎる護憲派?? (ネプギアソリッド)
2014-07-07 18:28:13
今、護憲派の間で「徴兵」「戦争」「帝国復活」の危機が叫ばれている。共産党非合法化も。
しかしそれは不可能に近い。
(戦争をする国力も意思も無い。)
なぜ、「もしかしたらU+2B55U+2B55に成るかも」を心配して今起きてる現実を心配しないのか。
集団自衛権と北朝鮮対話なら、北朝鮮との(しかも将軍様が見てる!)対話の方が圧倒的に政治的意味が大きい。
多くの護憲派がネトウヨ並みのエスパー預言者やパラレルワールドに住んでるなら残念です。
Unknown (艦隊こねくしょん)
2014-07-07 18:48:54
> (戦争をする国力も意思も無い。)

ただ動機だけがそこにある。

年金の破綻
原発爆裂による首都圏の不動産価値の壊滅的毀損
放射能による死亡率の大幅な上昇
それらにともなう国家財政の破綻
つまり失政を主原因とする日本国の破滅

「それら全てを有耶無耶にする、官僚ら日本支配層にとって唯一にして最適の手段 = 日本自滅戦争」という、動機が。
戦争は煽るだけで愉し (十澄)
2014-07-07 21:57:20
>戦争をする国力も意思も無い。
しかし戦争煽りは防衛費ジャカスカ倍増で死の商人は大もうけだし、軍人は「世界平和のために戦う聖戦士」扱いされてイイ思いができますからね。
政治屋も「非常時」で国民を締め上げ「危険分子」をブチ込むこともできるし、戦争しなくても戦争煽りは便利で愉しいツールなんですよ。
その点を見ず護憲派を馬鹿だアホだ言うのはどうかと思いますがね。
それとも軍事費に福祉や教育予算が食われ、軍人は威張りくさり、「危険分子」が密告でどんどん投獄される、そんな世の中になってもイイとおっしゃるのか。
想像力が無さ過ぎる護憲派 (宗純)
2014-07-08 13:54:16
ネプギアソリッドさん、コメント有難う御座います。

この『逝きし世の面影』ブログでは以前に『9・11と陰謀論』(現在の9・11事件と印象操作)のカテゴリーの記事で、
国家とか有名大学の教授のような『権威があるものは(ばれた時に恥ずかしいので)見え透いた嘘は付かない』との阿呆臭い迷信を何遍も何遍も批判してきた。
それは理想かも知れないが、現実はもっと厳しい。
本当の世界では、権威とか名誉があればあるほど逆に、子供ダマシの見え透いた恥ずかしい嘘を平気で付いても、平然としている。
それが、本当の大人の世界なのですよ。
だから私の様なオルタナティブな政治ブログが世の中に必要なのです。
現実の世界を全く知らない純真無垢の子供の心のままで大人に成った人物が、何と左翼を名乗って護憲派の政治ブログを書いているから、色々な悲喜劇が生まれるのです。
1945年8月15日に、日本人全員がマスコミや有識者や政府が、全員で口を揃えて真っ赤な嘘を付くとの恐ろしい真実を経験する。
ところがですね。
困ったことに『権威あるもの(政府)が嘘を付く』との経験は5年ほどで忘れ果てて、元の木阿弥。
日本人は、以前の『権威あるものは嘘を付かない』に戻っていしまったのですね。
ところが2011年3月11日に、もう一回『権威あるものが恥ずかしい嘘を付く』現場を目撃する。
ところがですね。現状は、やっぱり3年経ったので、全員が元々の『権威あるものは嘘を付かない』との善良ではあるが、一度も酷い目に合ったことがない、幸せな子供モードに先祖かえりしているのです。
『69年前を思い出せ』とは言わないが、
全員が無垢な2歳児では無いのですから自分が経験した筈の3年前を思い出せば、政府など権威あるものが平気で真っ赤な恥ずかしい嘘を付くことを、思い出すはずなのです。
護憲派ですが、あまりにも想像力(超簡単な推理力)が無さ過ぎるのですよ。
あるいは、余りにも記憶力が無さ過ぎる痴呆状態のです。情けないですね。
火事と喧嘩は大きければ大きいほど面白い (宗純)
2014-07-08 14:15:46
艦隊こねくしょんさん、十澄さん、コメント有難う御座います。

昔から『火事と喧嘩は江戸の華』で、自分のところと無関係なら大きければ大きいほど面白いのですよ。
その意味では安倍晋三の集団自衛権でも同じで自衛隊員が外国でアルカイダにカミカゼアタックで殺されようが、その逆に外国市民を無差別殺戮しようが、日本以外の外国でなら日本人はそれ程気にしないでしょう。
所詮は人事なら、どれ程の苦しみで耐えることが可能なのです。
ところが逆に自分自身の話なら、殺すのも殺されるのもまっぴらなのです。
『戦争をする国力も意思も無い。』のは明らかな事実であり、これは誰が何と言おうと動かない真実なのです。
ですから理想の戦争とは、米ソの冷戦のように限りなく戦争に近いが、剣道の名人芸である『寸止め』のように、寸前で止めるのが極意なのです。
ただ、この寸止めは誰にでも出来るような技では無くて、類稀な天才的な能力のあるものだけが可能であり、安倍晋三でなくても我々の様な普通程度の能力では不可能。必ず大失敗します。
「『戦争』じゃない、『秩序維持』だ」はいつ“日本の常識”になるか (相々健々)
2014-07-08 20:00:50
「無人兵器主体の軍隊の開発を日本も積極的に行うべし」
こんな声がかなり早い時期に出てきそうな感じがします。

「遠く離れた海の上の軍艦自体を基地にして無人兵器が出撃&帰投。
操作員はゲーム感覚で軍艦内の管制室から無人兵器を操作して作戦を遂行し、別スタッフが整備、衛星からの情報収集etcの支援作業を行い、完全戦争機械が海から陸を自在に支配する」

SFの世界そのものですが、アメリカは当然研究していることでしょう。
日本が兵器産業を積極的に行えば、その方面での協力も求められ、巨大なビジネスチャンスとして歓迎されること間違いありますまい。
(人間の感情を読み取り、ネットワークでリンクしあって進化していく某『胡椒』ロボットなどすぐ転用できるではありませんか)
非対称の戦争もここに極まれり、戦争どころか何の良心の呵責も感じない“秩序の維持としての人間処分”が常識になりえるかもしれません。

昔の戦争体験が若者たちに嘲笑されがちなのは、『非対称の戦争』の強者の陣営に自分たちがいるという意識があるからでしょうね。
「悲惨な総力戦などありはしない。テロリスト(人&国家)を処分する秩序維持がこれからの戦争の主体だ」
この意識の種はすでに蒔かれています。
さらに拡大させるような煽りはいつ、どこから始まるでしょうか。

「もし自分が軍隊に参加するとしても、無人兵器をコントロールして遠距離から戦いを「楽しむ」か支援するくらいにとどまる」
となれば、よほどの『物好き』を除いては、戦争に反対する人間は一人もいなくなるでしょう。

自分は『物好き』でいたいんですが、それが許されるかどうか、悩ましいです。
余り日本では報道されないが (宗純)
2014-07-09 16:32:17
相々健々さん、コメント有難うございます。

無人機による空爆(暗殺)の横行でいまや核兵器の保有国でもあるパキスタンが凄まじいことになっています。
早晩、イスラム教徒の怒りで、今のアメリカよりの政権は崩壊して、タリバンも真っ青の超過激なイスラム原理主義勢力が権力を握る可能性が否定出来ないほどに治安状態が悪化しているのです。
同じことが、イエメンでも言えて反政府勢力が首都に迫っている。イラクのISISなど、到底アメリカが制御出来る話ではありません。
安全である無人攻撃こそが、一番危険であるとのパラドックスですね。一番安上がりで安全だと言われていた原子力発電が、実は桁違いの損害を出す一番高くつく発電方法だったとのパラドックスと言うよりも、真っ赤な嘘と同じ話です。
安上げりで安全なのは、目先だけで基本的にインチキなのです。

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