逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

カダフィ殺害から5年、ロシアカードを使う危険なアメリカ大統領選

2016年10月21日 | 政治
『ヒラリー・クリントン氏が狂喜、「私たちが来て、それであれは死んだの」』2016年10月21日 © Sputnik

2011年10月20日、全世界のテレビ局はヒラリー・クリントン米国務長官が心底喜びを表現して笑う様子を映し出した。
この美しい女性は狂乱した群集が血を流すカダフィ大佐を嘲笑する動画を見ながら嬉しそうに笑っていた。わずか数ヶ月前にホワイトハウスを訪れた際にヒラリー氏本人が握手をして迎え入れたカダフィ大佐は、公衆の面前で暴行を受けた挙句、残酷の限りを尽くして殺害された。
これがヒラリー・クリントン氏には見ていて可笑しかったのだ。
米国のナンバー2のレディーのヒラリー氏はビデオを見て全世界に向けてコメントを発している。
『カダフィっていう人がいたけどね、私たちが来て、それでカダフィは消えました』と。 このコメントでキーとなるセリフは「私たちが来て」という部分。「私たち」とは、あらゆる犯罪、卑劣な行為、シニカルな嘘、いかなる手段に訴えてでも自国の権益を守り通すこの米国という世界大国を指す。
リンチを受けたカダフィ氏のビデオはソ連崩壊後に仕切られた世界秩序に抗おうとする勇気を持つ多くの指導者を立ち止まらせ、再考を強いるものとなることだろう。
賽は投げられた。
今や、大人しく言うことを聞かない国はどんな国であろうと簡単にリビアと同じ立場に立たされるのだ。



『リビア、カダフィ大佐も国家もなくした空白の5年間』2016年10月20日© Sputnik

2011年10月20日、42年間もリビアを率いてきたカダフィ大佐はNATO軍の支援を受けたリビア反体制派(中身はアルカイダ)の手にかかって拘束され、殺害された。
当時リビアで火を吹いていた内戦は種族間の争いへと変わり、6年が経過した今も事実上そのまま続いている。
国の支配機関を創設しようとする試みは全て失敗におわり、経済は破綻した。危機の後にそれに代わってやってきたカオスは中東地域全体を危険に陥れた。
これこそが西側の大国がこの北アフリカの国の政治構造を力ずくで変えようとした試みの結果である。
世界を支配する米国の試みは失敗する運命にある。
カダフィ大佐の死は司法で出された死刑判決によるものではなく、刑事犯罪の殺人だったが、この犯罪がいつの日か捜査され、明らかにされることは無い。
これは西側に金で雇われた傭兵だった。
カダフィ大佐はNATOの特殊作戦の結果、拘束され、その後身柄は集団から集団へと何度も売り買いされた。集団間には殺害の権利をめぐる抗争があった。真実を知るには長い時間がかかるだろうが、それでもいつの日か明らかになる。
西側諸国、とりわけ米国がカダフィ体制の転覆を図った最たる理由は経済的だった。 カダフィは欧米に1800億ドル分の有価証券を保管していた。当然のことながら今、この金はおびただしい数の施設、不動産と同様、すべて押収されている。
アラブの春はリビアには重い傷として残り、その傷はリビア国民にくまなく行き渡ってしまった。
(抜粋)





『奇しくもカダフィ殺害5年目に行われた大統領選挙討論会のクリントン元国務長官の危ないロシア(プーチン)カード』 

『クリントン氏⇒トランプ氏「あなたはプーチン大統領の操り人形よ」』
2016年10月20日The Huffington Post
ネバダ州ラスベガスで開かれたアメリカ大統領選の3回目のテレビ討論では、ヒラリー・クリントン氏(民主党)の陣営幹部から流出し、ウィキリークスが公開したメールについても激論が交わされた。
ドナルド・トランプ氏(共和党)は「クリントン氏は嘘をついている」と痛烈に批判。これに対しクリントン氏は、「サイバー攻撃の背後にはロシア政府、プーチン大統領がいる」「トランプ氏はプーチン大統領の操り人形だ」と反論。互いに中傷し合う場面が目立った。

クリス・ウォレス氏(司会)
『クリントン氏、あなたの立場をはっきりさせてほしい。あなたがブラジルの銀行で講演し、22万5000ドルの報酬を受け取ったことがウィキリークスによって明らかになったが、あなたはこの講演で「私の夢は、開かれた貿易と開かれた国境による半球規模の共通市場です」と述べましたね。 ここが問題です、お静かに。「開かれた国境」それがあなたの夢なんですか?』

ヒラリー・クリントン氏
『言っておきたいのですが、この情報はウィキリークスから引用していますよね。ウィキリークスにはロシア政府が関与している。アメリカに対してハッキングし、ウィキリークスに情報を提供しています。そして、インターネットで公表しているわけです。』

ヒラリー・クリントン氏
これはロシア政府の高いレベル、プーチン大統領も関わっています。我が国の17の情報機関が、ロシアがこの選挙に干渉しようとしたことを確認しています。 今ここで重要なのは、トランプ氏がプーチン大統領からの選挙協力を得ていないことを認め、ロシアのこういった行為や、過去に恩恵を受けたロシアによる諜報活動を批判できるのかということです。』



『トランプ氏、クリントン氏がなぜプーチン大統領を好きでないかを語る』2016年10月20日© Sputnik

選挙前の最後の討論会で共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏は民主党のヒラリー・クリントン氏がロシアのプーチン大統領を好きでないのは彼が彼女よりも賢い行動をとっているからだ、とネバダ州ラスベガスで開催されたテレビ討論中に語った。
「彼はすべての行動につき彼女よりも賢い。だから彼女はプーチンを好きではないのだ」。
「私たちは、6兆ドルを費やした。彼ら(ロシア)は中東を掌握してしまった!」。



『バイデン米副大統領「ロシアにサイバーを攻撃する」と脅迫』2016年10月15日© Sputnik

米副大統領ジョー・バイデン氏は、米政権がモスクワを非難しているサイバー攻撃に対しワシントンは「適切な時期」に最大の効果で応答する、と述べた。
米国の諜報部門の消息筋の言葉として同じ頃NBCが伝えたところでは、CIAは政権の指示によって、ロシアへの前例のないサイバー攻撃を準備していると報じた。
標的はロシア政府であり、CIAがロシアの最高指導部にダメージを与えるような大量の文書を持っている可能性もあるという。
(ラヴロフ外相は米国は依然として『ロシアのサイバー攻撃』の証拠を出していないと述べた。)

ネット世界では皆さんが良くご存じのように、CIA元職員のスノーデンが大量の機密情報と共に真相を暴露したが、アメリカは長年にわたって世界中の通信を丸ごとハッキングしているのは事実だが、『止める』との報道も無いので今でもハッキングを続けているのです。
ところが、今回の大統領選挙に関連して逆に『ロシアがハッキングしている』(米大統領選に介入している)と盛んに言い立てています。
バイデン副大統領は報復のハッキングを行うと明言しているのですから、間違いなく実行します。というか、今まで行っていたのですから、今後は今までよりも比較出来ないほど倍増して『大々的に行う』と宣言しているのです。
アメリカでは人気アニメ『ザ・シンプソンズ』にロシアのプーチン大統領が登場してトランプを勝たせるために不正投票するテレビ映像を全土に配信しているのです。
世間の評判も常識も無視してあらゆる種類のマスコミを総動員して、なりふり構わず大々的に露骨な世論誘導を行っているが、それと同時に新しいタイプのハッキングも行っているのでしょう。


新潟県知事選挙、あ然とする反共チラシが配られた。その配布元は、なんと政府与党の自民党が推薦する森民夫候補の届け出ビラ・法定2号。それも「赤旗を県庁に立てさせてもいいですか?」という古色蒼然とした内容。ほぼ頭が空っぽで目が節穴の可哀想なネットウヨと同じ脳内妄想で、たぶん逆効果である。(野党統一候補が勝利した7月参議院選挙の2000票の僅差が今回は6万票以上に拡大している)
こんな恥ずかしい法定チラシを平気で作成する政府自民党ですが、米軍基地に反対する沖縄県民に対する大阪府警機動隊の『土人』発言と同じ発想で、新潟県民の知性や教養、一般常識などの民度が低いと侮ったのだろうか。

『張作霖爆殺は関東軍ではなく「ソ連諜報機関の犯行だ」との日本の空自の田母神症候群に陥ったアメリカ軍の最高幹部たち』

バイデン副大統領のサイバー空間での対ロシア宣戦布告発言にも驚かされるが、実は10月6日にはアメリカ陸軍トップのマーク・ミリー米陸軍参謀総長が米軍協会の会議で『ロシアとの大規模な戦争はほぼ不可避だ』と強調する危険極まるアジ演説を行うし、同じく米軍の制服組トップのダンフォード米統合参謀本部議長もほぼ同じ時期に米上院の公聴会で証言して同様の危ない発言を行っている。(規模が大きく違うが新潟知事選の自民党の法定ビラの『県庁に赤旗が立つ』と発想が同じ次元)
世界一の大量破壊兵器を持つ暴力装置の直接の責任者である制服組(軍人)のトップが、理由は不明だが、わざと危機感を目いっぱい煽っているのですが、もしかすると悪い冗談ではなく本気かも知れません

実は一番不気味なのは、バイデン副大統領だとかアメリカ陸軍の参謀総長とか米統合参謀本部議長などのアメリカの顔とも言うべき責任ある立場の著名人たちが相次いで同様な発言を繰り返しているのに、マスコミが一切無視していることでしょう。
アメリカに名指しされた当事者であるロシアのスプートニク以外誰も本気にしていないのですが、矢張り、これが一番不思議です。普通なら誰かが報道します。


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リビアを徹底的に破壊した欧米民主主義とそれに立ちはだかる復活したロシアや中国・イラン (鳩と共生)
2016-10-23 01:12:26
冷戦崩壊後 欧米は ソ連(現 ロシア)というライバルがいなくなった事で箍が外れた様に ユーゴスラビア・アフガニスタン・イラク・リビアと 欧米に逆らう国々は 皆 滅茶苦茶にされてきましたが

リビアの場合 この記事にもある様に 民主化・国民を弾圧などというスローガンがマスコミで盛んに宣伝され カダフィ大佐を悪玉として描き NATO軍が違法な無差別空爆を開始し地上の外国人傭兵(アルカイダ)と連携する形でリビア全土を制圧していき最後にはリビア指導者のカダフィ大佐を殺害してしまいました。 実際は弾圧は嘘で仮に弾圧しているからと言って軍事介入する権利は無いと思います。

当時 私は 新聞を購読していたので朝刊の死んだ血塗れのカダフィ大佐の写真を見た時 ショックを受けたのと同時に欧米に逆らうと同じ運命になると思うと震えが止まりませんでした。

シリアでも欧米は リビア崩壊シナリオを行おうとしましたが 二の舞にさせまいと ロシアと中国が国連でシリア非難(軍事介入)決議に拒否権を行使しNATO軍の空爆を阻止し ロシアとイランは実際に実力行使にも出ていて国家転覆が失敗しつつある様です。

フィリピンでも ドゥテルテ新大統領がアメリカに反抗し始めたのが良いと思いますし勇気を持った指導者と国民が世界中に増えるきっかけになればと思います。

リビアやシリアの国家転覆に関与したと言われている ヒラリー候補のメールが出てくるとアメリカ大統領選に大幅に影響が出てくると思いますし トランプ候補が勝利できなければ大きな戦争になる様が気がして恐ろしいです。
人の不幸は蜜の味 (宗純)
2016-10-24 08:31:53
鳩と共生さん、コメント有難う御座います。

仰られているように、普通の知性とは判断力があれば、これでは世界最終戦争になります。第三次世界大戦ですが避けられないでしょう。

ただし、ですね。クリントンが正直だったらとの但し書きが付きます。
口から出まかせ嘘八百の可能性も十分にあるのです。
次の記事に書いたが、アメリカの高官たちが相次いでロシアとのサイバー戦争を口に出しているのは事実なのですが、先例となる1999年の旧ユーゴ、2003年のイラクと、米軍が侵攻して政権を崩壊させているのですから、恐ろしい。
今のマスコミですが、実は良く事情を知っているのですよ。だから、誰も報じない。
今回唯一報じているのは、頭が空っぽで目が節穴のネットウヨの機関紙的な新潮社フォーサイトだけなのです。

2003年のイラク進攻ですが、この時日本のマスコミとか有識者ですが、日本は北朝鮮問題を抱えているから、アメリカに賛成する以外の選択肢は無いと全員が言っていたのです。
知性の欠陥というよりも、道徳の欠陥ですね。

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