逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

日ロ首脳会談と迷走する日本の北方領土 

2009年07月19日 | 軍事、外交

『数字が躍るのはよくない』

自民党の森喜朗元首相は5月12日、訪日しているロシアのプーチン露首相と会談し、北方領土の『3・5島返還論』を念頭に、『数字だけが躍っていることは両国にとりいいことではない。麻生太郎首相と率直に話してほしい』と要請した。
これに対し、プーチン氏は『色々な考え方が今、出てきているようなので参考にしたい』と外交辞令で応じた。
森氏は、旧ソ連が平和条約締結後の歯舞、色丹両島引き渡しに同意した昭和31(1956)年の「日ソ共同宣言」を「交渉プロセスの出発点」と位置づけた平成12(2001)年のイルクーツク声明を原点とすべきだと主張。
プーチン首相も『その通りだ。そこは動かしたくない』と応じた。

★注、
森前首相は日本政府の表向きの公式な態度である4島一括返還ではなく、以前から北方領土や北海道に利権がある鈴木宗男を使って歯舞色丹の二島返還での対ロ交渉の平和条約の決着を模索していた。
小泉首相の時に、4島返還しか聞かされていなかった当時の田中真紀子外務大臣との鈴木宗男や外務省との一連の騒動は有名だが本当の問題である領土交渉が表に出ることは無かった。

『北方領土解決へ作業加速で一致』 麻生プーチン両首相会談

麻生首相は5月12日、ロシアのプーチン首相と会談し、北方領土問題の解決へ向け、双方が受け入れ可能な方法を模索する作業を加速することで一致した。
プーチン氏は会談後の共同会見で、領土問題をめぐる『3・5島返還論』への見解を問われ『7月に開かれる日ロ首脳会談ではあらゆる選択肢が話し合われる』と答えた。
会談終了後、日ロ原子力協定や刑事共助条約などの署名式が行われた。

『何島返還してほしいのか?』北方領土問題の解決を阻む日本側の混乱

ロシアトップの本音は、『日本はいったい、何島返してほしいのだろう』である。
ロシアのプーチン首相が5月11日、3年半ぶりに来日したが、今回の日露トップ会談に関しては、『総選挙を控えて北方領土返還という隠し球が出るのでは?』との噂も流されていた。
ロシア側からすれば、日本政府の考えていることがサッパリ理解できない。
今年の4月には、麻生首相の外交ブレーンで日本の政府代表でも有る谷内正太郎が、『3・5島(返還)でもいいのではないか』と発言している。
一方で『4島一括返還』に固執する現職閣僚も未だに多い。
政府内で意見が完全に分裂していて、どれが政府見解なのかが誰にも判らない。
小泉純一郎首相の時代から、日本では1956年の日ソ共同宣言に基づく『2島先行返還論』と『4島一括返還論『の争いが続いているが、此れではロシア側としても『日本が何を考えているの判らない』(統一政府の体をなさない)と思うだろう。

『領土問題とは基本的に「法的問題」』(国際関係アナリスト・北野幸伯)

日本は『北方領土は(国際法的に)日本固有の領土だ』と主張している。
返還を迫るなら、当然そのことを法的に証明しなければならない。
そもそも4島、2島、3・5島と(固有の領土に関する)主張がバラバラなのは法的につじつまの合わない話であり、ロシア側も対応しようがない。
日本政府が本気で北方領土返還を目指すなら、最低限2つのことをする必要がある。
1つ目は、政府内の意見を一本化し、主張に一貫性を持たせること。
2つ目は、一本化された主張に関する法的根拠を明確にすること。
この2つがなされない限り、『領土返還交渉』は、『始まっていない』も同然である。
日本側は、ロシアにはぐらかされ続けているように感じるかもしれないが、じつは日本側の主張のちぐはぐさこそが、問題を複雑にしている。

『北方領土問題、ロシア紙冷ややか』 3.5島返還論「日本の進歩」2009年5月14日産経

13日付露各紙では領土問題の進展には冷ややかな論調が目立っている。
政府系ロシア新聞は「日本側が強く望んでいた(北方領土を含む)クリル諸島(千島列島)をのぞき、利益ある多くの契約が結ばれた」とし、領土問題の先送りと経済関係の進展を強調した。
有力紙独立新聞は『領土問題が露日関係に占める役割はどんどん小さくなるだろう』というロシアの外交・軍事専門家のコメントを掲載。
この専門家は将来、北方領土の天然資源を日露共同で開発する可能性も示唆した。
共同開発はソ連崩壊後、ロシア側がたびたび提案してきたが、『ロシアの不法占拠を追認することになる』として、日本側が退けてきた経緯がある。
谷内(やち)正太郎政府代表が『3・5島返還でもよい』と述べたとされる問題も尾を引いている。
有力紙コメルサントは『プーチン首相は領土問題を回避した』との見出しの記事で、領土問題の基本的な構図は長期にわたって残るとしながらも、『日本はすでに(4島のうち)1つの島の半分をロシア側に譲る用意ができた』とし、日本側の姿勢を『進歩』と評している

『日ロ領土交渉の裏側』

2005年大統領として初来日以来2度目となったプーチン首相は、麻生首相はじめ、小泉、森の両元首相、さらに民主党の小沢さんとも会談する。
しかし日露両国の原子力協定の締結や犯罪捜査に関する協力体制の確立は地味でマスコミの注意を引かなかった。
また注目すべきは、プーチンさんは日本経団連主催のフォーラムは熱心だったが、対照的に直ぐ後の首脳会談共同記者会見では淡々と事実を述べるだけであった。
プーチン政権発足時に日露の領土問題での法的な側面を徹底的に詰め上げた結果、
ロシアの領土問題は『平和条約締結後 歯舞 色丹の返還(ロシア側から見ると引渡し)』という1956年の日ソ共同宣言の合意事項以外には無いと言うことになった。
プーチンさんは、日ソ共同宣言後、態度を硬化させ、『領土問題存在せず』と一島たりとも渡さないとしたソビエト時代から十分譲歩しているはずで、これ以上の妥協はありえないと考えている。
加えてロシアは対日参戦や北方領土侵攻に対し、罪の意識はない。
日ソ中立条約は、関東軍特種演習により先に日本側が破ったと考えている。
また、対日参戦もヤルタ会談でのアメリカやイギリスとの約束(連合国の義務)である。
全千島列島は、ソ連がドイツ降伏後3ヶ月以内に対日参戦したお礼にもらったものだと確信している。
しかも御丁寧にも日本は、サンフランシスコ条約で南北全部の千島列島放棄を明言してしまっている。
日本政府はこれまでに一度も竹島を『西方領土』と、尖閣列島を『南西領土』などと呼んだ事は無い。
日本政府に世界に通じる道理があれば堂々と固有名詞入りのスローガン『南千島列島の返還』を主張するべきである。
日本政府が有効性を認めているサンフランシスコ条約の為に、法的に『南千島返還』とは主張出来ないので『北方領土返還』などという地名無しの方角だけの可笑しなスローガンを掲げるしかなかった。
対米従属しか外交方針が無いのでこんな不思議な事が起こるが、これでは返って来るものでも返って来ることは無い。
7月のサミットでのメドベージェフ大統領と政権最末期で死体の麻生太郎の会談が形式だけに終わったのは、最初から予想された当たり前のことであった。

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7 コメント

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>ブログ主殿 (孤高の皇戦士)
2009-08-12 00:57:42
北方領土は日本固有の領土です
それをいつまでも強奪したまま返還しない狂産主義ロシアは打倒せねばならない仇敵です。
日本はアメリカに押し付けられたヘッピリ憲法の為に核武装できず、韓国などにさえ舐められている!
一刻も早く憲法を正しく直して武威を日の昇る東の国から全世界に輝かせたいものですね。
とにかくこの選挙では自民政権を死守する事です。民主党などに日本を委ねたら一年で中国と北朝鮮に征服されてしまうでしょう。
危機が迫っていますね。
日本でこんなに知恵遅れのブサヨが蔓延るということ自体が日本の滅亡の予兆です。
共に日本の魁の為に闘いましょう!!
日本固有の領土を売った売国奴 (ブログ主)
2009-08-12 10:26:49
『北方領土』などと呼んでいるうちは、領土問題は一歩も解決しない。
孤高の皇戦士に対して、猛省を促す。

日本政府はこれまでに一度も竹島を『西方領土』と、尖閣列島を『南西領土』などと呼んだ事は無い。

何故、
『北方領土は日本固有の領土です』などと日本古来の固有名詞である『千島列島は日本固有の領土です』
と正しく発言しないのか。

何故、現自民党日本政府が正しい日本語表記を出来ないのかと言うと、
半世紀前に当時の『売国奴』吉田茂日本全権が『千島列島の放棄』を認めたからです。
国際社会に向かって正式に千島放棄を宣言した後に、『千島を返して欲しい』とはいえない。
だから地名抜きの『北方領土』なのです。

千島列島は、択捉一島だけでも沖縄本島の何倍も有る大きな島です。
これを外国に無条件に譲渡した吉田茂は売国奴中の売国奴であり、
其の所属していた今の自民党は、徹頭徹尾売国奴の政党です。

この売国奴達(自民党)が戦後一貫して政権を担ってきたので、正しい千島列島返還が一度も主張できないのです。
この辺の歴史的な経緯や関係は下記の記事やコメント欄の遣り取りを御覧下さい。

欧米契約社会の根本『神との契約』(2009年07月14日 | 宗教
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/d114a3640353b2c8384d475d32b76a03

因みに、日本の政党では唯一日本共産党だけが国後択捉の南千島だけではなく全千島の返還を主張しています。
ブログ主さんへ (東西南北)
2010-09-28 11:04:03
 ブログ主さん自身の意見は、全千島列島の返還ですか?南千島の返還ですか?四島一括返還ですか?

 その根拠と共に教えてください。記事ではなくコメント欄を読んだら、どうも全千島列島返還論がブログ主さんの意見のようですが、その根拠と理由も教えてもらえますか?日本共産党と同じでしょうか?

 同じなら同じと回答してください。それなら東西は知っていますので。ブログ主さん自身の主張を教えてください。

 

 
ブログ主さんへ (東西南北)
2010-09-28 15:02:48
 要するに、こういうことですよね?よくわからないので説明してもらえませんか?

 「日本は『北方領土は(国際法的に)日本固有の領土だ』と主張している。
返還を迫るなら、当然そのことを法的に証明しなければならない。そもそも4島、2島、3・5島と(固有の領土に関する)主張がバラバラなのは法的につじつまの合わない話であり、ロシア側も対応しようがない。日本政府が本気で北方領土返還を目指すなら、最低限2つのことをする必要がある。1つ目は、政府内の意見を一本化し、主張に一貫性を持たせること。2つ目は、一本化された主張に関する法的根拠を明確にすること。この2つがなされない限り、『領土返還交渉』は、『始まっていない』も同然である。」

 「日本政府に世界に通じる道理があれば堂々と固有名詞入りのスローガン『南千島列島の返還』を主張するべきである。」

 「千島列島を放棄したサンフランシスコ講和条約を破棄しないで、条約を結んだままで南千島(北方領土)の返還を『日本固有の領土だから』と返還要求する不見識は、国際社会の常識に反し、誰からも支持されない。」

 「南千島二島と北海道の付属の島で有る歯舞色丹2島が全く性格が違うモノだとも明言している。
日本国が、歯舞色丹の即時返還と国後択捉など千島問題が別物だとの主張をすれば全ての国から支持を得られるでしょうが、現在の主張『4島一括返還』には条約上の権利も道理もありません。」

 なんだかよくわからないのですが。ブログ主さんの主張が。



サンフランシスコ条約を受け入れた以上、2島返還やむなし (一休宗純)
2010-09-28 15:08:40
日本の政党の中では唯一日本共産党は全千島は日本の領土であるとする正しい愛国的態度ですが、これはハゲタ宮内庁長官の天皇の政治利用発言の時の『天皇会見は国事行為ではない』との共産党発言と同じで『正論であるが、残念ながら政治的外交的には意味をなさない』無意味な発言です。
確かに、共産党主張の通りで天皇会見は憲法に規定された国事行為ではない。がしかし、それに準じる公的行為である。
確かに、共産党の主張のとおりで日本国としては自民党歴代政府のように北千島と南千島(国後択捉)を分ける理由は無いが、全千島は吉田茂がサンフランシスコ条約で放棄してしまっている。
敗戦後、はや65年。日本もドイツを見習って不公平で正義であるとは必ずしもいえないが、不承不承でも日本のオーデルナイセラインを認めざるを得ないでしょう。
それで無いと何時までも日本国の戦後処理は終わりません。
ドイツが戦争責任を問われてドイツの揺籃の地である旧プロイセンを全て失って大きく国境線が西(オーデル・ナイセライン)に動いたのですが、今第二次世界大戦の援護処理は不法であるとの正論を唱えれば如何なるかを考えてください。得るものよりも、より大きなものを失う可能性が高いのですよ。
ブログ主さんへ (東西南北)
2010-09-28 16:29:39
 やはり、よくわかりませんが。

 要するに、戦後65年も経過しているので日本は歯舞・色丹の2党返還でもう領土交渉をやめろ、ということでしょうか?

 それとも、まずは、二党返還を実現し、同時に、サンフランシスコ条約の千島放棄条項の「契約」を破棄し、全千島の返還を要求するということでしょうか?

 
記事もコメントも読まずにコメントされても (一休宗純)
2010-09-29 13:25:55
今までも同じなのですが、全ては記事に初めから書いてあるのですよ。コメントする前に分からないなら読み返すぐらいの最低限の常識を働かしてください。
記事に既に書いてあることに対するコメントには重複するので、もう返答はしません。
読まずにコメントを書く不見識には呆れ果てていますが、無責任すぎませんか。?実に不愉快です。
上のコメントに書いてある契約に対する記事を読んでください。現状で千島返還要求は無理であるのです。
幾ら不当で不公平であれサンフランシスコ条約で日本の吉田全権が前千島を放棄した事実は厳然として存在しているのです。
そして、この事実が大戦後の世界秩序を形造っているので、千島返還には条約の破棄が出発点であるのです。
破棄が無い現状では千島返還が無理なので、自民党などは北方領土と言って誤魔化しているのですよ。
日本にとっての千島列島ん返還は、ドイツのオーデルナイセラインの変更に近い主張であると思われかねない危険性があるのですよ。
この、日本の千島返還要求や、ドイツがオーデルナイセラインを変更する危険性に付いてはもう少し詳しくして、新しく記事を書きたいと思います。

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