逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

【TPP】 とか 『NPP』 とか

2011年11月15日 | 社会

『trade(貿易)の意味』

対米従属命の歴代自民党政権とは違う、自主外交志向の『日米安保は第七艦隊だけでよい』の小沢一郎や、『東アジア共同体』『最低でも県外』などと言う鳩山政権などの、今までとは『微妙に違う対米路線』は外務省などが困るので、マスコミ総がかりで日本国の対米自立の有るか無いか判らない程度のささやかな芽を摘み、潰して来た。
マスコミ+官僚主導で出来上がった管政権も諫早湾干拓訴訟の水門開放判決に上告せず『確定』させたり、福島第一原発事故後には『脱原発だ』とか言い出すので、これもマスコミや与野党総がかりで管政権を潰した。
やっと作った現野田内閣に与えられた使命は、ずばり一言
『何もしない。』だった筈です。
それがTPP参加では『何もしない』との基本方針との整合性が無く都合が悪いので、それで何とも歯切れが悪い。
大き目の特殊に過ぎないアメリカンスタンダードを、唯一の普遍的な『グローバルスタンダード』として他人にも押し付けるアメリカも困ったものですが、力任せの無理難題に対して『駄目だ』とはっきり反論出来ない日本の政府はもっと困った話である。
野田首相としては、ハワイのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席して、オバマ米大統領に日本のTPP参加を報告して褒めてもらう心算だったのだろう。
ところが米国は12日、9カ国の首脳だけでTPPの基本的枠組み合意と発表して、日本は最初から首脳会談にも呼ばれずまったくの蚊帳の外。
続く日米首脳会談では、アメリカのホワイトハウス側は野田佳彦首相が『全ての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる。』と言ったと発表している。
これは『何もしない』が身上の野田政権としては不都合である。
この不都合な真実に対して日本のマスコミや対米従属しかない外務省は、右往左往の大混乱。
日本外務省は『そのような発言を行った事実はない。』、『事実無根だとして抗議』し、『米側は誤解を認め陳謝した』と発表する。
この外務省発表を根拠にして、『TPP 米が勇み足』とか『日本側の猛抗議で撤回』との恥ずかしすぎる真っ赤な大嘘の見出しを掲げて報道して仕舞う。
ところが事実は、外務省発表や日本側マスコミ報道とは大違い。
ロイター 11月14日(月)9時23分配信では、
『そのような(日本外務省の)発言は(今回の首脳会談で)なかったことを確認した』として、ホワイトハウス側は日本側の否定にかかわらず最初のホワイトハウス声明を維持して、まったく訂正していない。
ホワイトハウスのマイケル・フローマン米大統領副補佐官(国際経済担当)は、
『両国がTPPの包括性、二国間で解消する必要のあるさまざまな問題、それに向けた第一歩である協議プロセスについて話し合ったとする、われわれの先の声明を支持する』と語り日本の外務省や日本側マスコミ発表を完全に否定している。
もちろん外務省や日本側マスコミ報道の様な、『誤解を認めて陳謝』など何かの夢か妄想で、米国ホワイトハウス公式文書の訂正などの動きは全く無い。

『先祖帰りする日本のマスコミ』

目の前の出来事から判明する明確な『真実』は、残念ながら、この問題ではアメリカ側が正しくて、日本政府や外務省発表を垂れ流すだけで事実を検証しない日本のマスコミ報道が真っ赤な嘘であると証明している。
NHKは11月14日、『カナダやメキシコがTPP参加意向を表明』と発表したがアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道では、『カナダのファスト貿易相はAPEC貿易相会合の記者会見で、カナダ政府は関心を持ってTPP交渉を見守っているが、参加についての決定は下していない』と正反対の相反する記事が並んでいる有様。
日本人が日本国のマスコミしか見ないとでも思っているのだろうか。
発想が敗戦前の66年前から進歩していない。
冷戦崩壊以前の東欧とか旧ソ連の市民は自国の報道機関が『報道』ではなくて政府の『広報宣伝』活動であると看做していて『正しい情報』を知りたい人々は海外のBBCなんかから仕入れていたらしいが同じことが日本国にも当て嵌まり、横並びで金太郎飴状態の日本の報道の信用度は極端に低い。
オリンパスでも同じことがいえ海外では日本よりも何週間もは早く詳しく報道していた。(オリンパスの外国人持ち株比率は約27%)
ところが日本ではtoo little, too late。
日本のマスコミ報道は株価が暴落したからであり遅すぎるし少なすぎる。しかも肝心なヤクザなど裏社会を書いていない。日本の報道では全て20年も前のバブル期の投資に矮小化しているのですから何とも困った話です。
似た例では、枝野通産大臣が予算委員会で、『万が一、一度か二度』なら安全だが一年間なら『暫定規制値』は危ないと答弁しているのに、報道した日本のマスコミがゼロ。日本共産党機関紙赤旗さえ報道しない体たらく。
協調性が何よりも優先される日本では関係者全員が知っている場合には、逆に誰も喋らないのですよ。

『本当は怖い貿易・通商』

【TPP】 とは、【環太平洋連携協定】(Trans Pasific Partnership)の頭文字なのですが、某国では『とってもパーなピープル』であるとも噂されているらしい。
TPPの言う全ての障壁を失くした自由な通商・貿易(trade)ですが『自由な貿易』は日本語的なイメージは薔薇色で、少しも『悪い』ところが無い。
ところが、この名詞としての通商(trade)の本来の意味は動詞としての『騙す』であると言われていますね。売る方は少しでも高く売りたいが、買う方は少しでも安く買いたい。
広い大陸での、価値観の違う異民族相手の利害が対立する通商・取引(trade)とは騙し騙されるのが基本で、少しでも油断したら騙されて酷い目に合う危険が潜んでいる。
英語の通商・貿易(trade)には、日本語に無い『怖い意味』が含まれているのです。
tradeは、島国で同じ相手と永久に付き合う必要がある日本人が身上とする商売上の『正直さ』や『公正さ』だけでは成り立たない、彼我の『力関係』がものを言う弱肉強食の厳しい世界なのです。
trade on の意味は『付け込む』だそうでデイトレーダーは『毎日騙し』か。野田首相は国会でホワイトハウスの発表を平気で『一言もいっていない』と、恥ずかしげもなく白々しい答弁(真っ赤な嘘)をしそうである。( 野田佳彦首相は15日の参院予算委員会で『一言も言っていない。事実関係を米側も認めた』と全面否定)

『Nuclear(原子力)の意味』

【NPP】とは『原子力発電所』(Nuclear Power Plants)の頭文字の略称である。
日本で原子力と呼んでいるNuclear(ニュークリア)には本来『核』とか『核兵器』とか『核保有国』の意味しかないのですが、何故か日本ではNuclearを『原子力』と不正確に訳している。
Nuclear Power Plantsも最初は軍事用の核兵器製造工場の意味であり、後から『発電も出来る』ことから商用の原子力発電が行われるようになる。
原子力発電所とは、そもそもが核兵器の製造工場を転用して作られた歴史的な経緯があり、そのために今でもアメリカなどは原発をNPP(Nuclear Power Plants)『核兵器工場』と呼んでいる。
Nuclear Power Plantsが安全であるなどと考える『原発安全神話』などは、本来あってはならない妄想であるが、その妄想が日本では神話の域にまで達していた。
それでアメリカは『Nuclear(核)規制委員会』と禍々しい名称となる。
対して日本は『Nuclear(原子力)安全委員会』とイメージが正反対の『名称』を名乗ることになった。
日本人は全員が、言葉を誤魔化す事で、本来Nuclear(核)の持ていた恐ろしい意味を何時の間にか完璧に忘れることに成功したのです。
日本の原子力学界は1959年にNuclear(核)の利用・推進だけを目的に作られた創立当時は日本学術会議にも入らない奇形的な組織で英語名はAtomic Energy Society of Japan、略称はAESJと何とも胡散臭い名称です。
ところが国際組織は当たり前ですが原子の力(Atomic Energy)なんて怪しい英語表記はしないで、国際核学会 International Nuclear Society Council (INSC)である。
アメリカ原子力学会は American Nuclear Society(ANS)で、ずばり全米核学会ですね。
ですからこの Nuclear Power Plantsを『原子力発電所』と訳さず【NPP】を本来の意味である『核工場』と呼ぶ方が、広島原爆数十個分の放射能を撒き散らした福島第一原発には相応しい。
【NPP】を『原子力発電所』などと呼ばず、最低でも本来の意味である『核発電所』と正しく訳していれば、度外れた原発安全神話の果てに行き着いた今日の福島第一の悲惨極まる杜撰な人災事故の不の連鎖を、ぎりぎりで避けれたかも知れない。

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7 コメント

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4月11日の韓国の総選挙 (宗純)
2012-03-26 09:53:13
透明さん、コメント有難う御座います。

韓国李明博大統領与党のハンナラ党ですが、何と総選挙直前に名前をセヌリ党に変えるやら、(野党民主党と同一の)福祉や雇用創出を最重要課題に掲げるやら、今までの保守党としてのイメージを薄めることに懸命です。
ハンナラ党最高実力者の朴槿恵(パク・クネ)非常対策委員長は、なんと党綱領から保守の文言削除するとまで言っているのですよ。
保守が党是の保守のハンナラ党が、保守でなくなる訳ですから党名変更程度に止まらず『党』から『保守』が消えるのはハンナラ党のアイデンティティーを失うも同然、それ程今の与党は追い詰められているということでしょう。
与党の不人気ですが、これは李明博大統領側近らの金銭スキャンダル程度の話ではなくて、米韓FTAの締結の影響が大きいと思われるのですよ。今までの対米従属の経済路線で中間層が消滅、貧富の格差が拡大し続けている。
今年は4月11日の韓国総選挙、12月に大統領選も実施される20年に一度の選挙イヤーですが前哨戦の去年10月のソウル市長選でハンナラ党は敗北、政党支持率でも野党に負けている。
李明博大統領にかえて次期大統領選の有力候補の与党セヌリ党の朴槿恵非常対策委員長は保守、進歩の二分法に否定『崩れた中産層を復元し、不平等構造を革新し、新しい大韓民国を創らなければならない。我々の経済を弱肉強食ではなく、公正、機会平等にし、競争の前に安全網を作らなければならない』と保守と決別して中道リベラル指向を鮮明にしています。
野党民主党はTPPの廃棄を主張しているのですが、もしもで選挙保守が勝利しても今までの李明博政権の様な強硬路線の修正は避けれないでしょう。
橋本徹の日の丸君が代の復古路線まっしぐらの日本とは大違いですね。
すいません間違えました (透明)
2012-03-24 18:40:08
× 米韓TPPとは
○ 米韓FTAとは
勉強不足でした (透明)
2012-03-24 18:12:45
TPPについては関税を撤廃した貿易完全自由化ぐらいにしか考えていませんでした。しかし甘過ぎました正直なところたまげました。
グローバリスト、ウォール街に操られた国アメリカ。
米韓TPPとは韓国が完全にアメリカの植民地になってしまった事を意味するんですね。

岩上安身の「5時に夢中!」4/6~米韓FTAの毒素条項
http://www.youtube.com/watch?v=FL_UmUlTNjY
岩上安身の「5時に夢中!」5/6~TPPは植民地政策
http://www.youtube.com/watch?v=YLOnFQw58jw
初めてのノーベル賞受賞者 (宗純)
2011-11-20 14:24:09
現田石さん、コメント有難うございます。

広島で爆発したアメリカの核爆弾はアインシュタインの『相対性理論』を実用化したものであり、日本でもこれは同じで日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏は敗戦前には日本軍に協力して原子爆弾を研究していた。
『核』の言葉を『原子力』と表現する悪賢い姑息な方法は誰が考え付いたのでしょうか。?
湯川英樹が研究していた理論物理学ですが、実質は核物理学だったが、敗戦後に原子物理学と呼ばれだした。
これはヒロシマの惨状で『核』の言葉に後ろめたさを感じていただろうアメリカの思惑と、核の研究に引け目を感じていただろう日本側の思惑とが一致した結果、『核』の言葉が抹殺され新たに原子力(Atomic Energy)なるいかがわしい言葉が出来たのではないでしょうか。
ご紹介の中国や台湾など漢字圏で原子力がなく日本国以外は核なのと同じ様に、
英語圏ではAtomic Energy(原子の力)なんて怪しい英語表記は日本国だけで、他の国は全てNuclear(核)なのです。
明治の初めごろに欧米の言葉にあるが日本語に無い言葉を新しく漢字二文字の日本語の熟語を創作したのですが、今では漢字の本場である中国でも日本製の会社や組合、民主や株式など社会科学用語のほとんどは明治時代の日本製の新しく作られた単語なのです。
日本語の原子力ですが、この怪しい英語表記のAtomic Energyを日本語に変換すると、『原子力のエネルギー』になるのです。
Nuclear(核)がAtomic Energyに変えられた事情を探っていくと、安全神話の謎に突き当たる。
核兵器の経験のある日本人なら、核発電所が安全で無いことぐらい大人でなくとも子供でも判るのです。
だから『核』の文字が意識的に抹殺され、原発から消されたのですよ。それが日本的な異常な安全神話を生み福島の未曾有の国難に繋がったのです。
戦後日本の科学教育のいかがわしさ (現田石)
2011-11-19 22:51:17
Nuclear Power Plantsが中国語で核电站、中国語台湾で核能發電廠とわかりました。电=電ですし、站=standです。中国語への翻訳としは「核」、台湾でも核能=核エネルギーですから、漢字圏でNuclear Power Plantsを原子力発電所などと称しているのは漢字圏広しといえ日本だけでした。中国の新聞などを見ていると、福島第一核电站事故とか出ています。中国語のほうが漢字の組み合わせがはるかに正確ですね。中国語のわかる人が「原子力発電所」の字を見てもたぶん何の意味だかわからないでしょう。
きっと原子力発電所という用語は、日本国内においては神聖にして侵すべからざる存在なのでしょう。こんな用語をほうっておいた日本の物理学者たちは、『とってもパーなピープル』であることは間違いありません。
預言者は殺される (宗純)
2011-11-16 15:42:59
りくにすさん、コメント有難うございます。

『スター・ウォーズ』の悪役が『通商連合』というのはジョージ ルーカスも良く考えていますね。
『天高く馬肥ゆる秋』の言葉の由来となった万里の長城を越えて中国を脅かした匈奴の昔から、洋の東西を問わず、通商を担う遊牧民は、農耕民にとっては貴重な品々を商う『貿易』だけではなくて、時に恐ろしい略奪者なのです。
協調を重んじる日本的な『 和を以て貴しとなす』とは農耕民的な発想ですね。
遊牧民はモンゴル人の暴れん坊横綱朝青龍に代表されるように、顔立ちが似ていても中身が違い基本が『闘争精神』であり、日本的な和の文化とは異質な存在で、良い悪い以前の文化摩擦ですね。
これは日米の考え方の違いにも、まったく同じことが言えそうです。
欧米の一神教世界ですが、旧約聖書に描かれているのはパレスチナの農耕民を攻撃・虐殺して支配した遊牧民の神話で、支配者の精神的な発想(聖書)は日本的な寛容とか和の精神と正反対ですよ。
旧約聖書の記述ですが、正に遊牧民的な過酷な闘争精神で貫かれていて決して交わることは無い。
日本的な適当で曖昧な『和』とは根本的に違っていて正反対です。
この一神教の遊牧民的な発想(キリスト教)の欧州の危険性は大航海時代に如実に現れています。
ポルトガルのエンリケ航海王子の初めから貿易と略奪は紙一重で、バスコ・ダ・ガマのヨーロッパからインドへの初航海でも途中で出会ったメッカ巡礼のイスラムのダウ船をポルトガル海軍が攻撃して略奪や焼き討ちと残虐極まる海賊行為を働いています。
我が日本国でも一応は中国朝鮮を脅かした倭寇の長い歴史があるのですが、基本的に何時の時代でも国は海賊行為を厳しく禁止していた。
ところが、欧州世界では正式な国軍が海賊行為を働いたりイギリスのように海賊を奨励したりしているのですから、意味が大きく違っている。通商に対する発想が、根本的に違っているのです。
私の父親の話によると我が家は祖父の代までは代々続いた網元で丸の中に布の一文字の布引の舟印が残っているのです。幾ら禁止されても海には何処にも柵も区切りも無いのですね。
西日本の多くの漁民は密かに倭寇を働いていたらしいが、日本人の基本である平和と協調の農民と、『板一枚下は地獄』の漁労民とは基本となる精神的な発想が大きく違っていたらしいのです。
映画フォレスト・ガンプにも描かれていたが漁師は当たり外れが大きくて命がけであり博打的な危ない部分が必然的に含まれるのですね。
本当は怖い・・・・・・ (りくにす)
2011-11-15 20:13:55
『スター・ウォーズ』の悪役がどうして「通商連合」なのかやっと分かりました。英語圏の人はTrade Federationと言われると「油断するなよ」と身構えてしまうのですね。まともな人々が通商連合を信用するのか心配です。(あんな見るからに悪そうな悪人は現実にはいませんよね)
それでも「見かけは怖いけど付き合ってみるといい人だ」とか言って騙される日本人っぽいキャラがエピソードⅧあたりに登場するかもしれませんね。
今日はTPPに関する思考がストップしてしまいました。同胞にバビロン行きを勧めた預言者エレミアならなんと言うのだろう、とか、もう頭の中がぐちゃぐちゃです。

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