心憎いやつ

　全身麻酔から　覚めつつあるとき
　痛いのを　ぐっと　こらえながら、
　母に　小さい声で

　”ごめん”　”ありがとう”と
　ぽそぽそっと　言う

　”この～・・”
　”心憎いやつ・・・”

　朝　お見舞いに　来てくれた　友達が
　”自分よりも　母さんの方が　大変だったと　思うと
　いってたよ”などと・・
　
　と　いったかと思うと
　”母さんは　ぐっすり　寝てた”
　などとも・・

　朦朧とした中でのことは
　夢か　幻か
　息子の言葉に　一喜一憂することでもない

　分かってはいるが　親心を　くすぐる言葉には
　確かに　弱い　
　　　

早めの 対応が 肝心

　息子の　緊急手術　入院・・・

　本人も　数日前にも　病院で　診て貰ってたので
　安心して
　高熱出てても　結構　鷹揚に　構えて
　家のものも　夏風邪か？
　鬼の攪乱か？など　言いたいことを言ってた
　
　秒読みに入った　旅行の目前で
　やはり　もう一度　病院へ・・

　息子も　軽い気持ちで
　一人で　念のために　行って来ると
　診察に　出かけ
　３時半頃に
　”手術して　入院するって”と　連絡が　入る

　前の診察の後　一気に　悪くなったようで
　緊急手術と　なりました

　病名は　たいしたことは　無いのですが、
　そのときに　手術をしてれば
　翌日の　退院で
　旅にも　行けたようです

　旅の費用と　コンサートとの　代金が　
　一瞬のうちに　消えてなくなり
　
　身体の痛い思いと　医療費とが
　ダブルパンチで　きました

　姉は　自分が　誘ったものだから
　消えてしまった　弟の　旅の費用も　出して
　退院の折は　盛大に　お祝いをしようと　言い残し
　友達と　先程　出かけました

　母は　付き添いで
　とりあえず　二晩泊まりましたが、
　若者の　回復は　早く
　今晩は　泊まらなくても　良いかも？

　中々　男気のあるやつで
　さっぱりと　潔く　
　まっ　仕様がないか！と・・

　本人が　いたって　諦めがいいので
　周りに居るものも　安堵する

　病状は　予想以上に　悪かったらしく
　よく我慢してたと　ほとほと　感心！
　
　何事も　早め　早めが　肝心と　肝に命ず！