Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書   約束された場所で underground2    村上春樹著

2014-01-27 23:38:20 | Book



1995年の地下鉄サリン事件の被害者にインタビューした「アンダーグラウンド」を読んで、
その反対に、オウム信者側のインタビューをまとめた本もあると知りました。
それがこの「約束された場所で」。

幹部たちはもちろん逮捕されているのでインタビューできませんが、
当時出家して上九一色村にも住んでいた多くの中の8人と
村上春樹さんが対話した模様が掲載されています。
出版された時点でまだ脱会していない人、
事件の前にオウムから逃げた人、いろいろです。

これ、ある意味、「アンダーグラウンド」よりも面白かったです。
要するに異文化を知るってことなので、
こんな風に考えている人、
現世を生き抜くことができずに苦しんでいる人たちって
世の中にいっぱいいるんだなーって思って。

でも多分どんな人でも苦しい時期ってあったと思うし、
ずーっと苦しんでいる人もいると思うし、
じゃあなんでオウムみたいなのに魅かれる人と魅かれない人がいるんだろう・・・・

・・・という疑問に対して、
著者が心理学者の河合隼雄氏と対談している内容も掲載されていて、
そっちもすごく面白かった。

「悪を抱えて生きる」という章は特に読みごたえがあった。
悪ってなんだっていう定義が難しいんだっていう話から始まって、

なんか上手くまとめられないけど・・・・

ものごとって、善と悪が表裏一体というか、
こっち側からみたら悪だとしても、ある角度から見たら善になったり、
逆もあるわけで、
人間はみんな自分の中にそういう表裏一体の悪の部分とか煩悩とか抱えていて、
それをたくさん抱えながら、
本を読んだり人と話したり何かに触れて感じたりして
ちょっとずつなんか気が付いたりスッとしたりして
なんとかコントロールして生きているんだと思うんだけど、
世の中には、
視力が弱いとか何々が苦手っていうのと同じように
煩悩を抱える力が弱いっていう性質の人がいて、
その人たちはそんなものを長い間抱えている自分に耐えられなかったりして、
それを早く自分から切り離してしてしまいたいって思うわけで、
そういう脱煩悩・純粋志向みたいなのが強いと、
何事にもすっきりする答えを求めすぎるあまり、
ひょいと出家したりして、
外界からの刺激を少なくして禁欲・鍛錬して
純粋であることを突き詰めるようになる。
そうして自分(たち)の純粋性を保とうとすれば、
自分(たち)の外に悪を置いてそれを攻撃したりってことが起こっちゃう・・・

みたいな。


ちょっと笑っちゃったのが、
河合さんと村上さんが、
「僕なんてヨガやったら、
 なんかおいしいもん食べに行きたいなーとかそういうこと考えちゃう」
とかいう話してて、
実は私もヨガやってる時、
帰ったらなに食べよーとかビール飲もうとか、
今日の職場でムカついたー、なんでこうなるんだーとか
そういうのが止まらなくて、
本当に私は煩悩の塊だなーって思ったりしてたんで・・・


この河合隼雄さん、故人ですが、
面白い人だなーって思ったんで、
著書をいつか読んでみたいと思います。


とりあえず、村上春樹を読むのはこれでお休みにしよっかな。
他にたくさん読みたいものがあるんで・・・・