こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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母として妻として

2011-12-29 23:31:48 | 訪問看護、緩和ケア
先日、旅立たれた患者さんを振り返って、昨日スタッフと話していたのですが・・。

その方は60代の主婦で、妻として母として、祖母として現役の主婦でありました。

私たちのステーションのスタッフも、みな家に帰れば主婦でもあります。

ですから、現役の主婦として夫や子供を残して先立たなければならないと言う事を、すぐにわが身に変えて考えてしまいます。

わが身に置き換えれば、それこそ夫に申し送らなければならないことは山のようにありますし、片付けておかなければならないこともたくさんあります。
まして、子供たちの未来を見届けられないなんて、どれほどの悲しさなのかと思えば、胸が苦しくなってしまいます。

この方はとても強い方でした。
全部病気のことも、残された時間も知っていました。

スタッフとの会話の中でも、退院後まだ動けるうちに夫を伴って、近所に挨拶しながら回覧板を回した話などをしてくれたようです。
そして、通帳や保険や、細かい日常のいろいろを、夫に毎日教えながら日々を過ごしていました。

夫も、それをちゃんと受け止めて、妻の納得がいくようにしていたようです。

最後の日に、夫は衰弱しきった妻に、メモを見せたそうです。
「お母さん。今までどうもありがとう。もう、大丈夫だよ。」と書かれた紙を、妻がどんな思いで読んだのかは知る由もありません。

その話を聞いて、スタッフはみんな目を潤ませていました。

静かな別れの時間だったのでしょう。

スタッフとの話の中で、「やっぱり、ちゃんと自分の病気を知っていたから、ご主人やお子さんに伝えられたんだよね。知らなければ、伝えきれずに心が残るよね。」
「ちゃんと、子供や夫に伝えたり、身辺整理に時間が欲しいよね。」
「すごく強いお母さんだったね。素敵な奥さんだったね。」

告知は、いろんな意見があるけれど、私たちの関わってきた患者さんを振り返れば、やはり自分の残された時間を知っている方のほうが、知らない方よりもご自分の納得の行く形で過ごされているように思えます。

これから、私たちの身にも、何が起こるかわかりません。

自分だけは大丈夫なんて絶対にありえなし、病気に限らず、人生の転機にとんでもないアクシデントがあったり、家族が病気になったりと言う事も含めて、自分の人生どう生きるか考えておく必要があるんじゃないかと思います。