こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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感謝

2010-01-18 22:37:11 | 訪問看護、緩和ケア
「ありがとう。私、幸せ。」
看護師が行くたびに、その手を取って万面の笑顔をくれたご婦人が逝きました。

いつも、感謝の言葉とおおらかな笑顔。

退院してきたときも、SPO2は80%位しかなかったのに、本当に彼女は「苦しくないのよ」って言っていました。
それでも酸素が入るとやっぱり楽になったようでした。
痛みも吐き気も訴えずに、でも、看護師が行う排せつ援助も気持ち良く受け入れてくれました。
口腔ケアの後は、決まって「あー気持ちいい。ありがとう!」って。

最初にあった時でさえ、彼女は私を見たとたん手を振って、手を差し出して「よろしくね。」って握りしめました。
そして、最後まで誰にでも感謝の言葉と握手を忘れませんでした。

こんなに、明るく最後まで「ありがとう!」「私、幸せね。」っていい続けた方は初めてです。
訪問した誰もが、幸せな気持ちをもらって帰ってきました。

そんな彼女が、逝きました。
とてもきれいな、笑顔だったそうです。
夫も、娘も、息子も、みんなで交代できれいにしたそうです。
本当に幸せだったんでしょうね。

自分が最後の時に、「ありがとう、幸せだった。」と言えるでしょうか?
言えたらいいなと、思います。

さっき、テレビの番組で、夫婦の間で、3行で相手への想いを表現する詩を紹介していました。
その中で、80代のご婦人の詩がとても印象的でした。


   「辛かった」 と言う前に
   「辛かっただろう」と言う・・
    あなたと暮らして 50年


素敵だな~。旦那様の温かな手の温もりが感じられるような・・・
いつも感謝しながら寄り添う、老妻の想いが伝わるような・・

涙でました。
どんな、50年だったんでしょうね。
苦労もきっと、「しあわせ」に変えられる。
そんな50年だったんじゃないでしょうか・・・。