こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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災害時看護者ボランティア ステップアップ研修1回目

2009-06-27 18:59:59 | 訪問看護、緩和ケア
今日は朝から、災害時ボランティア研修に行ってきました。
今日の主催は看護協会なので、参加者はみんな看護師です。
講師は、NPO災害看護支援機構の山崎先生と言う方で、すでに海外、国内の被災地で実際に活動されてきた方です。
実際の現場のエピソードを織り交ぜ、とてもわかりやすく、今後の課題としてもすごく考えさせられた研修でした。

今テレビでも、救命救急の現場がすごくクローズアップされたりしていますが、こういう災害時の看護ボランティアっていうと、自分がそこでバリバリ「救命病棟24時」みたいに活躍するつもりで名乗りをあげるみたいです。

でも現実は、拠点病院にはDMATと呼ばれる、機動性のある専門教育を受けた医療集団が、厚生労働省から即派遣されるので、病院の人出は足りちゃうのだそうです。
災害時、実際看護師が必要なのは、避難所とか、近隣の老人をまとめて限界まで収容してしまう老人施設、崩れかけた家から出ようとしない老人とかのお世話なんだそうです。
中越地震の時も、あちこちから志願した看護師を、オリエンテーションまで全部して、そちらの支援をお願いしたら、「私たちは、救命医療をしに来たのであって、そういう所に行くつもりではないので、帰ります!」と言って、何もせずにとっとと帰っちゃた方もいらしたそうです。
そういうケースが何回もあったという事で、あきれるやら、くやしいやら、なんで看護師になったんでしょうね。そういう人は・・
自己満足のための、救命ですか?
狭い避難所や施設で、医療や看護を求めている人のほうが、圧倒的に多いのに。

災害時の看護は救命しかないと思っていて、自分がすごいエキスパートなんだと思っているのでしょうか?
せめて、避難所の現場を見るくらいしてもよさそうなものなのに・・

それから、日本人の死生観にも触れ、御巣鷹山の日航機墜落の時のエピソードはさらに衝撃的なものでいた。

飛行機事故の損傷はとても激しく、ほとんどが肉片でしか残らないそうです。
半分に千切れた体は、おりからの暑さですぐに腐敗が始まり、大量のウジがわき、悪臭を放つそうです。

この時派遣されたのは、日赤の看護師だったそうですが、その悲惨さを前に、なすすべをなくした彼女たちは、「今自分たちに何ができるか」を考えたそうです。
なにしろ、残されたものは、片手だけであったり、お中の肉片だけであったりするわけですから、ご家族に確認をさせるのも、非常に辛い場面となることがわかっていました。日本人は、ご遺体をとても大切にする国民です。
それは、日本人の死生観から発しているものです。

そこで、看護師たちは、その腐敗したウジをきれいに取りさり、汚れを取りました。
そして、その方の、性別や身長、特徴などの情報をもらい、同じ大きさの人形を作ったそうです。
それからその方の残った部分をその人形にはめ込み、服を着せて棺に納めたというのです。
悲惨な状況を覚悟で、棺を開けたご家族はどんなに安堵したことでしょうね。

野田 正彰著 「喪の途上にて」を読むことを勧められました。
ネットで検索してみると、著者の対しては賛否両論あるようです。
予定の本を読み終えたら、ぜひ私も読んでみたいと思っています。

実際の写真を見ながらの、ご遺族や支援者の苦しみについてのお話は、胸を何度も詰まらせました。

傾聴すること。逃げないでとどまること。

それは、いつも緩和ケアで確認していることと同じでした。
できれば、災害なんかが起らず、ボランティアなんて必要なければいいのですが、こればかりはわかりません。
もしもの時、かっこいいことでなくても、自分に出来ることが何かを、ちゃんと考えられる自分でありたいと思いました。