ミュージカルに劉(ラウ)様が出て来ないし!! 腐で遊佐様愛好家に捧ぐぜ。
※この小説はアニメ黒執事を基に、二次創作として執筆しております。
一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。
その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。
身代わり 前編
テムズ河の接岸で砲台の集中攻撃を浴び、一隻(いっせき)の船舶(せんぱく)が朽ち果て様としている─────── 雄々しく立派な船舶(せんぱく)は幾たびに大海原(おおうなばら)を往(ゆ)き、船乗り達と苦楽を共にした。
上空に烏(からす)が鳴きながら一斉に飛んでおり、人の気配(けはい)が無い事を確認すると船舶(せんぱく)の先端に数羽の烏(からす)は舞い降りた。
テムズが河に浮かぶ船舶(せんぱく)を、頼りなく小葉(このは)の様に水面(みなも)を漂(ただよ)う。
船舶(せんぱく)の甲板(かんぱん)には、つい先程までは息があったが…… くたびれたスーツ姿の年若い男性と青いきらびやかな中国服を身に纏(まと)った男性が倒れており甲板(かんぱん)は赤黒く染まり始める。
「義兄様…‥ ‥義兄様…‥ 」
藍猫(ランマオ)は甲板(かんぱん)に俯(うつぶ)せで倒れ伏し────── 弱く、息苦しく喘(あえ)ぎそう、義兄である劉(ラウ)に呼びかける。
藍猫(ランマオ)は必死で腕を伸ばす、辛うじて指先が劉(ラウ)の腕に触れるが……
(冷たい……)
藍猫(ランマオ)はそう、呟くと瞳を伏せる。
助からない
義兄様
船舶(せんぱく)の先端にとまって居た、数羽の烏(からす)は一斉に空高く羽ばたき飛んで行く。
甲板(かんぱん)に複数の足音と聞き覚えある、声が幻聴(げんちょう)の様に藍猫(ランマオ)に聴きこえた。情(なさ)け容赦(ようしゃ)なく湿気が、帯(お)びた冷たい潮(しお)風が甲板(かんぱん)に吹き付ける。
藍猫(ランマオ)の体温は、削ぎ落とされ意識が徐々(じょじょ)に霞(かす)んでゆく。
遠退(とおの)く意識────── 誰かが藍猫(ランマオ)の名を呼び走り寄る気配(けはい)がし、藍猫(ランマオ)は絶望と救出の狭間(はざま)で意識は揺れ動く。
(‥義兄様…)
藍猫(ランマオ)が薄く瞳を開けると、そこに立って居るのは甲板(かんぱん)に共に倒れ伏して居るはずの義兄の劉(ラウ)である。
「義兄様。」
「藍猫(ランマオ)!!」
劉(ラウ)は屈み込み藍猫(ランマオ)を、優しく抱き起こし力の限り強く抱きしめる。
「怖かったね。もう、大丈夫だよ。」
「義兄様。」
「私の、影武者が暴走するとはね。あれ、程にキツク言い付けたのに。藍猫(ランマオ)を、引き連れて行ったと聞き急いで戻って来たんだ。」
「影武者??」
甲板(かんぱん)に倒れ伏して居る劉(ラウ)を見て、藍猫(ランマオ)は初めて聞く真実を知らされ驚く。
「無理もないね。ほんと、ごめんね。さぁ、傷の手当を急ごう。」
劉(ラウ)は瞳を開け藍猫(ランマオ)を大切に抱きかかえ、背後に居る五人の部下達に命令を下す。
「スコットランドヤードの死体は、遠方の船付き場に棄てる様に。コレは、証拠(しょうこ)を遺(のこ)さず始末しろ。この、船舶(せんぱく)は跡形もなく海に沈めろ。」
劉(ラウ)の指示に返事をすると、劉(ラウ)の背後に居る五人の部下達は迅速(じんそく)に動き出す。
藍猫(ランマオ)は呆然(ぼうぜん)と、五人の部下達の行動をその成り行きをただ見つめた。
「傷を手当したら、藍猫(ランマオ)一緒に暫(しばら)くはロンドンから離れるよ。危ない事がこれから起こるからね。」
「誰から聞いた。」
「うん、それはね。あぁ、長話はゆっくりとしょう。藍猫(ランマオ)の傷の手当が先だよ。」
劉(ラウ)は瞳を開けて柔和(にゅうわ)な優しい微笑を浮かべ、藍猫(ランマオ)を大切に抱きかかえ甲板(かんぱん)から全力で走り船舶(せんぱく)から去って行く。
あぁ、そうだ。藍猫(ランマオ)、私は崑崙(こんろん)の英国支店長で今後は様子を見るよ。だから、藍猫(ランマオ)も、ゆっくりと養生(ようじょう)しょう。
伯爵と執事君?? あぁ、ほって置いても大丈夫だよ。 伯爵は生かしておいても、永くないからね。ん?? 何で知ってるのか?? 藍猫(ランマオ)、私を誰だっと思って居る?? 私は上海(しゃんはい)マフィアの青幇(チンパン)の首領(しゅりょう)だからね。
黒執事S.R.S. 身代わり 後編
※この小説はアニメ黒執事を基に、二次創作として執筆しております。
一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。
その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。
身代わり 前編
テムズ河の接岸で砲台の集中攻撃を浴び、一隻(いっせき)の船舶(せんぱく)が朽ち果て様としている─────── 雄々しく立派な船舶(せんぱく)は幾たびに大海原(おおうなばら)を往(ゆ)き、船乗り達と苦楽を共にした。
上空に烏(からす)が鳴きながら一斉に飛んでおり、人の気配(けはい)が無い事を確認すると船舶(せんぱく)の先端に数羽の烏(からす)は舞い降りた。
テムズが河に浮かぶ船舶(せんぱく)を、頼りなく小葉(このは)の様に水面(みなも)を漂(ただよ)う。
船舶(せんぱく)の甲板(かんぱん)には、つい先程までは息があったが…… くたびれたスーツ姿の年若い男性と青いきらびやかな中国服を身に纏(まと)った男性が倒れており甲板(かんぱん)は赤黒く染まり始める。
「義兄様…‥ ‥義兄様…‥ 」
藍猫(ランマオ)は甲板(かんぱん)に俯(うつぶ)せで倒れ伏し────── 弱く、息苦しく喘(あえ)ぎそう、義兄である劉(ラウ)に呼びかける。
藍猫(ランマオ)は必死で腕を伸ばす、辛うじて指先が劉(ラウ)の腕に触れるが……
(冷たい……)
藍猫(ランマオ)はそう、呟くと瞳を伏せる。
助からない
義兄様
船舶(せんぱく)の先端にとまって居た、数羽の烏(からす)は一斉に空高く羽ばたき飛んで行く。
甲板(かんぱん)に複数の足音と聞き覚えある、声が幻聴(げんちょう)の様に藍猫(ランマオ)に聴きこえた。情(なさ)け容赦(ようしゃ)なく湿気が、帯(お)びた冷たい潮(しお)風が甲板(かんぱん)に吹き付ける。
藍猫(ランマオ)の体温は、削ぎ落とされ意識が徐々(じょじょ)に霞(かす)んでゆく。
遠退(とおの)く意識────── 誰かが藍猫(ランマオ)の名を呼び走り寄る気配(けはい)がし、藍猫(ランマオ)は絶望と救出の狭間(はざま)で意識は揺れ動く。
(‥義兄様…)
藍猫(ランマオ)が薄く瞳を開けると、そこに立って居るのは甲板(かんぱん)に共に倒れ伏して居るはずの義兄の劉(ラウ)である。
「義兄様。」
「藍猫(ランマオ)!!」
劉(ラウ)は屈み込み藍猫(ランマオ)を、優しく抱き起こし力の限り強く抱きしめる。
「怖かったね。もう、大丈夫だよ。」
「義兄様。」
「私の、影武者が暴走するとはね。あれ、程にキツク言い付けたのに。藍猫(ランマオ)を、引き連れて行ったと聞き急いで戻って来たんだ。」
「影武者??」
甲板(かんぱん)に倒れ伏して居る劉(ラウ)を見て、藍猫(ランマオ)は初めて聞く真実を知らされ驚く。
「無理もないね。ほんと、ごめんね。さぁ、傷の手当を急ごう。」
劉(ラウ)は瞳を開け藍猫(ランマオ)を大切に抱きかかえ、背後に居る五人の部下達に命令を下す。
「スコットランドヤードの死体は、遠方の船付き場に棄てる様に。コレは、証拠(しょうこ)を遺(のこ)さず始末しろ。この、船舶(せんぱく)は跡形もなく海に沈めろ。」
劉(ラウ)の指示に返事をすると、劉(ラウ)の背後に居る五人の部下達は迅速(じんそく)に動き出す。
藍猫(ランマオ)は呆然(ぼうぜん)と、五人の部下達の行動をその成り行きをただ見つめた。
「傷を手当したら、藍猫(ランマオ)一緒に暫(しばら)くはロンドンから離れるよ。危ない事がこれから起こるからね。」
「誰から聞いた。」
「うん、それはね。あぁ、長話はゆっくりとしょう。藍猫(ランマオ)の傷の手当が先だよ。」
劉(ラウ)は瞳を開けて柔和(にゅうわ)な優しい微笑を浮かべ、藍猫(ランマオ)を大切に抱きかかえ甲板(かんぱん)から全力で走り船舶(せんぱく)から去って行く。
あぁ、そうだ。藍猫(ランマオ)、私は崑崙(こんろん)の英国支店長で今後は様子を見るよ。だから、藍猫(ランマオ)も、ゆっくりと養生(ようじょう)しょう。
伯爵と執事君?? あぁ、ほって置いても大丈夫だよ。 伯爵は生かしておいても、永くないからね。ん?? 何で知ってるのか?? 藍猫(ランマオ)、私を誰だっと思って居る?? 私は上海(しゃんはい)マフィアの青幇(チンパン)の首領(しゅりょう)だからね。
黒執事S.R.S. 身代わり 後編