*ご注意*
*腐女子や同人誌の意味が解らない方や気分を害される恐れのある方は此処で御帰院してくださいませ。 一個人の妄想なのでSprayとは一切関係ありません。*
バレンタインに胸を妬(や)く─────── 相手に渡すまでに、あれこれ思い想像をする。手渡した瞬間の、相手の反応と表情が楽しみだ。
一年に一度のそんなお祭り騒ぎの、狂想曲を今宵(こよい)、貴方(あなた)と躍(おど)りましょう。
Valentine's-Mix.(1)
御堂と霧島の業務はいつも変わらず、多忙で特にバレンタインだからと言っても平常である。会議を終えて御堂と霧島は渡り廊下を歩いて居ると、年若い女子社員二人が自販機の前で会話をして居た。
「今日ぐらいは残業をしないで、帰りたいよね。」
「うん。だから、定時上がりに決まってるわ。」
年若い女子社員二人はそう言い合うと自販機で飲み物を、購入すると通りかかった御堂と霧島に一礼をして去って行く。
「私達は、少しだけ残業だ。」
「仰(おお)せのままに。」
霧島は御堂が残業をすると、言えば残業をする。定時で上がると言うなら定時で上がる。統(す)べて御堂の意思に遵(したが)う。
御堂と霧島は執務室へ向かう。
執務室の扉の横にスチール棚が設置されている。それは仕出しの松花弁当の空容器を、置く為にあるがスチール棚に黒の手提(てさ)げの中型の紙バックが置かれていた。
霧島はその黒の手提(てさ)げの中型の紙バックを見ると……
長方形の紙のタグが手提げ部分に付けられており、『御主人様である御堂様と貴方(あなた)へ』と書かれている。
御主人様──────── である御堂様?? 幾ら私がMGN内部で孝典様の狗(いぬ)呼ばわりされていたが…… と貴方(あなた)へ??
「孝典様、MGN内部に私と同じ異府(いふ)の者が存在してますね。孝典様に謁見(えっけん)の申しでもせず、私に連絡もない不届き者でございます。」
霧島は長方形の紙のタグを指先で触れると~ 長方形の紙のタグは光り消滅した。
「タグが、消えた??」
微(かす)かな魔力が施(ほどこ)された長方形の紙のタグに触れただけで、霧島には異府(いふ)のどこの誰で伝言内容が分かる。
「えぇ、百数十年ぶりに顔を、合わす事になりますね。名前は岩永千代と申します。今日はもう帰宅して居るとの事で、週明けに謁見(えっけん)を致しますか??」
「そうだな。その様にその岩永千代と、言う異府(いふ)の女性に指示を。しかし、何の置き土産(みやげ)だ??」
手提(てさ)げの中型の紙バックは黒で良く見ると、黄色と緑でショップのロゴマークが英語で表記されている。
霧島は思った。岩永は暇つぶしにコッチ側に来て、遊び飽きたから今度は人間と一緒に仕事でもする気になったらしい。
西暦で言えば1866年に霧島は、散歩がてらに異府(いふ)から人間界へ出掛けた。
幕府が鎖国し諸(しょ)大名(だいみょう)達に外国との貿易取引を禁止していたが某藩が幕府に内密で貿易取引していた、某国にわざわざ出向いて船旅を楽しむ為に人間に成り済ましこっそりと船に乗り日本へ上陸した。
初めて岩永と出会った時は愛した人を人間に奪われ、自分の愛する人を奪ったその人間達を無惨に殲滅(せんめつ)させてしまい、穏(おだ)やかな仙女が鬼神化していた。
岩永を岩永の仲魔達が居る異府(いふ)へ、連れて霧島は帰った。あの時は名前はなく、名前を教えてもなかった。その時の一件から、知り合いとなった。その後は岩永は異府(いふ)で仲魔達と過ごして居た。
霧島は岩永を仲魔達の元に送り届けると、自分の住まう居城へ戻り─────── 友人の居城新築祝いに、フワフワの毛あしが長いつぶらな瞳の黒猫のぬいぐるみを造った。友人は無類の猫好き。
居城新築祝いを渡そうと思ったらその友人が人間に、召喚(しょうかん)され喚(よ)び出されてしまいなかなか渡せなかった事を思い出した。
霧島を友人と意地でも、認めてくれない大変イケずな友人である。そんなイケずな友人に霧島は、親しみを激しく感じてしまう。数十年会ってもなく連絡もしてないが元気だろう、夏貴と出会ってからあっという間に時間が過ぎ…… 夏貴と初めて出会った、あの初夏の日がまるでごく最近の様な気がしてならない。
霧島はその手提(てさ)げの中型の紙バックを手で持ち御堂と執務室に入室すると、まずは岩永の置き土産(みやげ)を調べる様に御堂は霧島に命じた。
Valentine's-Mix.(2)