【AFP=時事】しま模様の動物が木陰の石の上からしなやかに飛び降り、油断なく辺りをうかがう。その様子を野生動物撮影用のセンサーカメラが捉えていた──ただし、ここは人里離れた熱帯雨林ではなく米国の首都ワシントン。被写体は、猫だ。
写真撮影は、「DCキャット・カウント」と名付けられたプロジェクトの一環。ワシントンに生息する全ての猫を数える史上初の試みで、動物愛護団体、自然保護団体、研究者らが3年がかりで取り組んでいる。
プロジェクトの科学責任者を務める保全生物学者のタイラー・フロックハート氏によると、ワシントンに約20万匹の猫が生息していることが判明した。うち半数は完全室内飼いだという。
「実に画期的だった」と、参加した動物愛護団体「ヒューメイン・レスキュー・アライアンス」のステファニー・シェイン最高執行責任者は語る。「誰が正しいかではなく、情報を得てデータを分析するという正しい行動を重視する」という共通の目的が原動力となったとしている。
米首都に生息する全ての猫を数えるため、2600世帯以上を調査し、動物保護施設の記録を分析し、幾つもの決まったルートを実際に歩いて猫を探し、センサーカメラを1500か所以上に設置した。
2018年から始めたデータ収集と分析は現在も継続中で、研究結果は既に査読付き論文として発表されている。また、猫の生息数調査のプロトコルやガイドラインをまとめた広範なツールキットをオンラインで提供している。
設置したカメラには猫の他にも、リスやアライグマ、キツネ、シカ、さらにはボブキャットまでさまざまな動物が写っていた。「私たちは都市を人間だけのものだと考えがちだが、実際はそうではない」とフロックハート氏は語った。「都市には実に多種多様な野生動物がいる」 【翻訳編集】AFPBB News
地元で見守られ25年生きた町田のサビ猫 今も百貨店への感謝の声が絶えない理由とは?
(まいどなニュース)
「私は町田に行ったら必ず小田急百貨店で買い物することにしてます。小田急町田さんは20年以上千疋屋前に通い続けたサビの猫ちゃんの居場所を大事にしてくれて、去年の1月末にとうとう亡くなった猫ちゃんをきちんと供養してくれたことをずっと忘れない。」とつぶやき、2枚の写真をツイッターに投稿した元鈴木さん(@Motosuzukisan)。
そこに写っていたのは、「猫ちゃんに会いに来られた皆様へ」と書かれた百貨店からのメッセージと、猫ちゃんを愛した方々から手向けられたお花やお水、在りし日の猫ちゃんの写真や手紙の数々…。
元鈴木さんの投稿を見た人たちからは、「私もこの子のファンでよく通ってました」「町田を離れて久しくて、どうしてるか心配でした。知らせてくれてありがとうございます」と、長年地元で愛され、たくさんの方々に見守られていた猫ちゃんを偲ぶ114以上ものリプライが寄せられました。
「地元でこんな素敵なことがあったなんて」
「当時は猫を飼っておらず、この子に会うのが楽しみでした」
「まんまるでかわいい猫さんでした。最初見たときは置物かと思いました(笑)」
「たくさんの方に愛されて、ねこちゃんは幸せだったでしょうね」
元鈴木さんに寄せられたリプライの中には、「最期もボランティアの方が看取ってくださったそうで、多分ですが寂しくない最期だったと思いたいです。昔は小田急の清掃員の方がお水をよくきれいなものに替えてくださってました」と、詳細を知る方からの貴重な情報も。
また、「18年前にここのデパ地下で働いてましたが、うっすらそんな猫さんがいるとは聞いたような。粋な温かい対応をしていたという元勤め先に感謝と拍手」「以前、小田急百貨店の販売員でした!いつかの朝礼で百貨店社員から”千疋屋のところに猫ちゃんのおうちができたので共有します”と言われたのを思い出しました」「百貨店勤務です。朝礼で亡くなった事が報告されて、お客さまに聞かれたらちゃんとお話ができるようにと説明がありました」と、当該百貨店に勤務していたという方々からの証言も寄せられました。
百貨店のサビ猫ちゃん、推定年齢は25歳!
寄せられたリプライの数々から、元鈴木さんは百貨店のサビ猫ちゃんの年齢を、「推定25歳以上」と推測。さらに、
・名前がめちゃくちゃ沢山ある
・百貨店に正式?にお家ができたのは約8年前
・寝床、食事、健康管理をきっちりされていた
・通る人みんなに可愛がられていた
と、プロファイル。食事の管理はもちろん、獣医師による定期検診もきちんと受けていたそうです。続々と情報が寄せられるなか、「どなたか小田急町田の猫ちゃんのお写真くださいませんか…あの子をもう一度見たいので」とツイートすると、さまざまな猫ちゃん写真や動画が殺到。
たくさんの方に愛され、見守られてきたおかげで、地域猫としては異例の約25歳という長寿猫だったと思われる、町田の百貨店のサビ猫ちゃん。今も多くの人たちの思い出の中に生きるサビ猫ちゃんについて、元鈴木さんにお話を伺いました。
ーー張り紙のメッセージによると、サビ猫ちゃんが死んだのは2020年の1月28日。今回このタイミングで猫ちゃんのことをツイートされたのはどうしてだったのですか?
「投稿した写真を撮影したのは本当に最近なのですが、猫ちゃんが亡くなったことは死の数日後に千疋屋の店員さんから聞いて知りました。私は猫ちゃんをムギちゃんと呼んでいたのですが、ムギちゃんに会いたくて定期的に千疋屋に行っていたところ、今日はいないんですねと店員さんに伺うと、”亡くなったんです…”と。本当に悲しかったです。
千疋屋を出て、あの場所でメッセージを読んで。お供えものやたくさんのお花を見たら、地域の方達や百貨店の皆様から愛されてたことが伝わってきました。それから1年以上経ち、久々にあの場所に行ったら、写真やいろんなものが色褪せていて…。手厚い供養をしてくれた小田急さんに感謝を伝えたいし、あの子がいたことを覚えていて欲しいなという気持ちになり、ツイートをしました。お空に行ってしまったムギちゃんには関係ないことかもしれないですけど、忘れたくなかったんです」
今も地元で、愛され続けているサビ猫ちゃん
ーー元鈴木さんの中のムギちゃんの思い出というと…?
「夏は冷たい床を楽しむように大胆に転がって、冬は冬毛をモコモコにしてカーペットに座ってましたね。ムギちゃんは遠慮なく触らせてくれるありがたい猫様でした。我が家には4歳になるサビ三毛のみーだんと、3歳になる黒猫のコシアンくんという2匹の保護猫がいるのですが、ムギちゃんを喜んでなでた後に帰宅すると、三毛猫からクンクンされ、”浮気者!”という目で見られたりしましたね(笑)」
ーー今回のご投稿に対して、サビ猫ちゃんの写真や貴重な情報もたくさん寄せられましたね。
「あの子についてもっと知りたいと思っていたので、皆さまの思い出をシェアして頂けてとても嬉しかったです。良い写真が多いので、まとめた写真集が欲しいくらいです!ずっと、お散歩中の飼い猫かな?と思っていたので、皆さまから頂いたお写真やリプライで、お供えされていた場所にムギちゃんのお家があったことを知り、驚きました。
あの場所は屋外ではありますが、屋根もあり、また百貨店の営業時間が終了すれば入り口も閉まり、人通り自体も少ない場所だったため、地域猫としてはかなり好条件の中で生活をしていたんじゃないかと思います。定期的に獣医さんも往診に来ているという張り紙も拝見したので、本当に手厚くお世話をしてもらっていて、愛されていたんだなぁと思いました」
奇跡的に大切にされ、長寿を全うした地域猫
ーーサビ猫ちゃんはなぜあの場所で20年以上も愛され、守られてきたのでしょうね。
「お店側が猫ちゃんの存在を確認したのはいつだったのか…噂によると8年ほど前にあの場所にお家ができたらしいですが、どういったいきさつでそういうことになったのか、夜間はどんなふうに過ごしていたのか、 仲良しの店員さんや警備員さんはいたのかなど、とても気になっています。噂では、千疋屋さんの前に営業していた喫茶店で可愛がられて以来、あの場所に通うようになったと聞きましたが、真実はどうなんでしょうね…」
ーーボランティアの方もいらしたとはいえ、地域猫としては異例の長寿だったとか。
「うちにいるサビ三毛のみーだんと黒猫のコシアンくんは、どちらももと野良猫なんです。野良猫は、交通事故や虐待などで寿命が本当に短いと言いますし、家猫として生きるのがいちばんだと言う意見も理解できます。ムギちゃんの場合は、地域の皆さんでお世話をする<地域猫>にあたるのかなと思うのですが、地域猫でも25歳以上ということは相当すごいことだと思うんですよね。人間で言うと110歳ですから」
ーー改めて驚きますね…。
「人の目が常に届き、温かい寝床があるあの場所で、ひっそりと地域の皆さまから愛されていたという環境が本当に素晴らしかったのだと思います。大々的に、”ここに猫がいますよ”なんてやろうものなら、もしかしたら心ない人間の目にとまることもあったかもしれないですから。私自身、ムギちゃんが元気にしていた時は、大々的に居場所をツイートするのは避けるようにしていました。ムギちゃんのように、環境が奇跡的に整っていて猫生を全うできるケースは特別だと思うので、それ以外はなるべく保護したり家猫にしてあげるのがベストなんじゃないかと思います」
町田の招き猫として生きたサビ猫ちゃん
今回、小田急百貨店町田店への取材は叶いませんでしたが、店側の善意によって猫ちゃんの安全が守られてきたことは紛れもない事実。猫ちゃんが登場した約20年以上前と今とでは、さまざまな状況が異なります。少数の否定的な意見が大きく聞こえることもあるかもしれません。にも関わらず、手間と愛情とお金をかけて「地域猫」を見守り続けるということは、店側にとってリスキーな選択だったはずです。
それでも20年以上もの間、粛々と、お客さまや地域の方が大切にしていたサビ猫ちゃんを最期まで手厚く見届けた小田急百貨店町田店の対応に、今も感謝の言葉がたくさん寄せられ続けています。元鈴木さんによると、お客さまへの心配りや対応も素晴らしい百貨店なのだとか。そんな長年の誠意に対し、「町田に寄ったら小田急百貨店で絶対お買い物します!」という声も殺到しています。
今回のツイートを投稿された元鈴木さんもおっしゃっていたように、地域猫や野良猫は「保護」をし、家猫として飼ってあげるのが安全面でもベストです。だとすればなぜ、これだけ多くのお客さまや地元の方に愛されていた猫ちゃんが最後まで「家猫」にならなかったのか…。
もしかすると、特定の方が保護をしてしまうことで生じる問題…猫ちゃんに会いに来た方をがっかりさせるかもしれない、「自分が保護したかった!」というお客様同士のトラブルになるかもしれないなど、さまざまな問題を考慮してのことだったのかもしれません。
真相は謎のままですが、「ムギちゃん」「せんちゃん」「ボス」「きなこちゃん」など、さまざまな愛称で親しまれてきた町田のサビ猫ちゃん。「サビ猫ってラッキーキャットと呼ばれてるらしいですね」という声も寄せられていたように、今も多くの人に愛され続けているサビ猫ちゃんが「町田の招き猫」だったのは間違いないようです。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)