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こんな問題もあるんですね レイバーネットの記事から

2010年05月16日 | Weblog
有給で一時帰国すれば退職!?
――トヨタ系「アンデン」構内請負会社の就業規則――
http://imadegawa.exblog.jp/13705724/

■労組、撤廃求め団体交渉
トヨタ自動車子会社・
デンソーグループのアンデン岡崎工場で、構内請負を行なっているブラジル人請負会社・「トゥエンティファースト」(代表取締役:小泉一秀)が、ブラジル人労働者が有給休暇を使って母国に帰国した場合自動的に退職扱いとする就業規則を定めており、
労働組合が撤廃を求めて団体交渉を行なっている。

団体交渉を行なっているのは愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン。
トゥエンティファーストを通じてアンデン岡崎工場で働く十数名の労働者が「名古屋ふれあいユニオン トゥエンティファースト分会」を結成しており、「母国の母親が病気になったので、 有給休暇を使って 一時帰国しようとしたが、 就業規則を理由に現場の管理者から 無理だと言われている」との訴えが労働者から複数寄せられている。

組合が会社側に確認したところ会社側は、就業規則第64条にある退職規定・「従業員が 次のいずれかに該当するときは、 退職とする」の第2項に、
「(2)日本国を離れるとき (例:母国への帰国等)、 ただし会社が認めた場合は除く」
とあり、
ブラジル人労働者が一時帰国する場合は原則として退社してもらうことになっていると説明した。

■トヨタ総行動でも撤廃求め発言
今年2月11日に豊田市・山之手公園で開催された「第31回トヨタ総行動」で、名古屋ふれあいユニオンの運営委員長を務める筆者は壇上に上がり、アンデン岡崎工場における請負会社就業規則の非人道性を訴えた。

「アンデン岡崎工場内で 構内請負をしている ブラジル人請負会社の就業規則には、 退職規定の中に 『日本国を離れるとき』という項目が ある。
 ブラジルに 完全に帰国するときだけでなく、 有給休暇で母国に一時帰国する際にも この項目が適用されるとされている。
 アンデンで働く日本人労働者は、 盆や正月になれば故郷に帰る。
 なのに、
 同じ職場で働くブラジル人は 母国に帰るだけでクビになる。
 労働者を故郷にも帰さない、 こんな非人道的な就業規則は撤廃しかない」。

「11兆円の内部留保を保有する トヨタ自動車直系の企業で、 このような条件で働かされている 日系ブラジル人たちが いるのだということを 知ってほしい。
 名古屋ふれあいユニオンは今春闘で、『帰国すれば退職』の就業規則を撤廃させることを目指して交渉を行なう。
 非正規労働者も、日系ブラジル人も、自らの職場で団結し、立ち上がろうとしている。
 本日お集まりの労働者のみなさん、中小企業のみなさんとともに、『トヨタに攻め上る』闘いの一翼を担いたい」。

筆者は、
トヨタ総行動に参加した1000人の聴衆を前にこのように述べ、トゥエンティファーストの就業規則64条第2項撤廃に向けた決意を語った。

■会社側「日本人とは事情が違う」
名古屋ふれあいユニオンは3月25日、月曜日と金曜日は有給休暇を使用しないようにと有給休暇の使用に事実上制限が加えられている問題や、10年以上夜勤専属で働いてきた労働者が昼夜二交替制に移行することにより深夜勤収入が減るという問題と合わせ、就業規則64条第2項の撤廃を求めて会社側に春闘要求を行なった。

会社側と組合はこれまで2度この問題について団体交渉を行なっている。
団体交渉の中で会社側は、
有給休暇の問題について、「月曜日と金曜日は突発欠勤が多いので有給休暇を使用しないよう『お願い』をして理解をいただいていると考えている」と回答。
昼夜二交替制への移行についても、
「アンデンとの間で合意した請負部署の変更で、これまで深夜のみを受け持っていた部署が減り、その代わり昼間の生産を請け負ったので、これまでのように夜勤だけをやってもらうわけには いかない」とした上で、
労働者らの所得の減少についても
「深夜勤は残業にあたり、会社側は残業について保障するものではない」として所得保障を拒否している。

そして
就業規則64条第2項の撤廃問題については、
「ブラジル人の一時帰国は日本人の帰郷や海外旅行とは事情が違う」と主張し、
その立場を崩していない。

トゥエンティファーストの吉田厚正取締役は団体交渉の中で、「もともとブラジルに帰国する労働者の多くは、いったん退社して頭を切り換えてブラジルでリフレッシュすることを望んでいる。
 当社の規定はそれを明文化したもの」とした上で、
「これまで有給休暇を使用して、
 『また帰ってくる』と言いながら実際には帰ってこなかった労働者がいる。
 当社の従業員の中には
 会社の用意した寮に住んでいる者も多数おり、そうした場合、その寮をどうするのかや、寮に残った荷物をどうするのかといった問題が出てくる」、
「また、
 ブラジルに帰るということになると1週間や2週間というわけにはいかない。
 1ヶ月や2ヶ月有給休暇を使われると、新たな人員を配属せねばならず、ブラジルから帰ってきても仕事がないということが起こりうる」、
「当社としては 業務の円滑な運営が前提であり、公平性の観点からも一時帰国する際は退社という規定にしている」と、
就業規則64条第2項の必要性を強調。

同社の有野徹取締役営業担当も、
「就業規則64条第2項はそうした過去の経緯から出来たものであり、ブラジル人を差別する意思は全くない。
 就業規則の表現の仕方が不適切なら、表現を変えることは検討できるかもしれない」と発言した。

また有野取締役は、
名古屋ふれあいユニオン側が、「有給を申請して母国ブラジルなど外国に出ると解雇になるという就業規則を撤廃することを要求します」と
要求書に記載した点をとらえ、
「解雇ではなく退職です」と反発。
組合側が
「有給休暇で母国へ一時帰国すれば解雇扱いではなく自己都合扱いなのか」と尋ねると
吉田取締役は
「自己都合扱いになります」と答え、組合側は「解雇よりもっと悪いではないか。
 解雇扱いなら、日本に帰ってくれば雇用保険もすぐにもらえるし、その受給期間も長い。
 本人の意思でなく、
 会社の事情で退職扱いにされたのに、自己都合扱いになるとはひどい」と反論した。

名古屋ふれあいユニオンを代表して筆者は、
「会社なりの事情があることを理解しないわけではないが、だからといって『帰国すれば退職』などという規定を就業規則に設けてもいいという理由にはならない。
 昼夜二交替制への交替はやむを得ないと言い、月・金に有給休暇を使えない現状については 組合との合意を締結する意思がないといい、
 就業規則64条第2項を
 撤廃しないというのであれば会社側の回答はゼロ回答だ。
 そのような回答を続けるならば、就業規則64条第2項の是非について、人権擁護機関への申し立てを行なわざるを得ない」と迫り、
会社側が次回交渉までに
就業規則64条第2項の撤廃・改正は可能か、可能であるならばどのようなものかを
具体的に示すことで合意。
組合側は
人権擁護機関への申し立てを一時留保することを約束した。

「有給休暇で一時帰国すれば退職」という、トゥエンティファースト就業規則64条第2項をめぐる攻防はなお続いている。

酒井徹